第零話
世の中には、正義を守る人間と、裏社会で生きる人間がいる。
彼らは互いに葛藤を抱えながら、それでも自分の選んだ道を信じ続け、この世界を生き抜いている。
この世界では、裏社会が暗躍の域を超えて活動している。それは、神が人間にある「能力」を与えたからである。
それが「スキル」だ。全人口のおよそ1%の人間がこの「スキル」を持っている。彼らは「能力者」と呼ばれ、そのスキルを正義に使う能力者もいれば、裏社会で生き抜くための力にする能力者もいる。
事はもう何百年も前の話、最高ランクであるSSSランクのスキルを悪用し、この世の秩序を崩壊させた最悪の能力犯罪者がいた。彼に続き、高いランクのスキルを持つ能力者たちは次々に人の道を外れ、この世のルールを役に立たない物へと変えていった。
それを阻止するため立ち上がったのが、一人の能力者だった。彼は「重複能力者」と呼ばれる、スキルを2つ持つ特殊な能力者だった。彼は平和を望む同志を募り、現在の「特殊警察」を結成。能力犯罪の阻止に貢献した。が、完全な制圧には至らなかった。
一人の男から始まった「能力犯罪」と呼ばれる犯罪は、一人の男から始まった「特殊警察」と呼ばれる組織にしか止めようがない。その情勢は、今も続いている。
この世の法すらも無視し、自由に生きる者たち。秩序が保たれる世界を願い、正義のために戦う者たち。
これは、そんな人々が「正しさ」を求め続ける物語だ。