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期間限定のストーカーは変態でした。

一応続編です。


事件後、平和な日々が続いていたがまたもや不幸が訪れるとは瑠璃には想像もつかなかった。


「ねー、お母さん」

「なあに?」


それは、日が暮れようとする頃、瑠璃と母さんが商店街に夕飯の買い物をした帰りだった。


「私、旅行に行きたい!」

「この前行ったばかりでしょー」


「それお母さんの実家帰省してただけじゃない!行きたい!行きたーい!」

駄々をこねる瑠璃に、やれやれと呆れる母であった。


「行きたい!行きたい!」

「もう、わがままさんねえ」

その時だった。

瑠璃は急にポンと肩を触られる。

振り向くと見知らぬ男性だった。


「あの?なんでしょうか?」

「連れて行ってあげるよ。そう旅行へ!」

「はい?」

知り合いでもなんでもなく困惑していると、

男は瑠璃の頭を両手で掴み、なんと、自分のお尻に引き寄せ押し当てた。


「なななな!?ばばばばは!?」

瑠璃は何も喋れない。


「あなた何を!!」

母さんが慌てて止めに入るが遅かった。


「はああああああああああ!!!」

男は叫び出す!!



ボッッゴォーーーーーーーーーー!!!



叫びと共に凄まじい音が鳴り響く。


まるでそれは黙示録。

終焉の鐘の音かのような絶望だった。


その男は瑠璃に放屁をぶちかましたのだ。


「ぐあああああああ!!!あんびしゃすごーーーーーー!!!!!」

瑠璃は叫んだ、兎に角叫んだ。


そして、瑠璃はあまりのことに悶絶した。


「いやあああああああああ!!瑠璃ぃ!!!」

思わず悲鳴をあげる母さん。


「あなたなんでこんなことを!」


「失礼、貴様程度はこれで十分だ!」


ドゴンゴン!!!!


「ぐあああああああ!!!!」

悲痛の叫びが木霊する。


母親にも放屁をぶちかますのだった。


「ボンボヤージュ」

男はそう呟き華麗に去って行った。






2人は気がつくとそこは我が家だった。



「大丈夫か瑠璃!母さん?」

「うう、ここは?」

「家だぞ瑠璃」

「私達外にいたような?」

「たまたま俺と父さんが通りかかって2人を運んだんだよ」


「救急車を呼ぼうかなとも思ったが、外傷も何もなかったため様子見することにしたんだ。


「お兄ちゃん私思い出した。とても恐ろしいことが起こったんだよ」

瑠璃は急に体が震え出す。刻まれた恐怖が蘇ったのだろう。


「お尻が近づいてきて爆発が」


「瑠璃お前疲れてんだよ。もうちょっと休みな」


「うん」


瑠璃は大丈夫だったものの、母さんはこの1件以来寝込んでしまう。

父さんは仕事を休み母さんに付きっきり看病をした。


そして次の日の朝。


「お兄ちゃん……私全てを思い出したよ」

「お、おう」

瑠璃は昨日の事件のあらましを話してくれた。


「いや、ウソだろ?」

「ほんとだって」

「盛ってる?」

「盛ってないよ!」

「大変な事件だったんだから!なんで助けてくれなかったヒーロー!!」

「いやそんなこと言われてもなあ」



「警察にもどう説明すればいいのか?

通り魔?屁こき魔?」



俺は居間の時計を見る。

「とりあえず俺は学校行かないと。

瑠璃は父さんと警察に……」


「あっ、私もエッちゃんと約束あるんだった!学校行かなきゃ」食い気味に言うが体がよろけていた。


「大丈夫か?危ないだろ」


「うーん。お兄ちゃん一緒行って守って!」

そうして俺達は一緒に登校する。


2人で歩いていると1人の男が寄ってきた。


「で、出たー!!」

その男は長身のボサボサ頭のイケメン?だった。


何やら彼は両手人差し指を鼻に突っ込んで苦しそうだ。


「うーん!うーん!息ができない!!」

なんだこいつは……?

瑠璃と俺は意味がわからなすぎて呆然とする。

てか口で息してるじゃん。

「むむ!?むむむ!?」

「え?なんですか?」

瑠璃はすぐさま俺の後ろに隠れた。


「ピッコーン!!」

「ひ!?」


「生娘力たったの5か!ゴミめ!」


「え?え?え?え?」

急に意味のわからないことを言うため瑠璃は困惑している。

ジー。

俺をジッと睨みつける謎の男。

「あのなにか?」

「俺の方がハンサムボーイだ!」

「……あっ、はいそうですか」

俺はある事に気づく。

「あなた、その制服同じ学校なんですね?」

「その通りだ。俺の名は夏川優!」


「あの、夏川さん。昨日家の妹の顔面放屁をしたとか」

「左様」

いや左様じゃねえよ。なんなんだこいつ……


「それ犯罪ですよね?」

「ほお、何罪かな?」

こいつできる!!

「その、あの。屁こき罪かな」

俺何言ってんだろ。でもわかんないし。


暴行罪は怪我なかったし成立しないのか?


「そんな罪ないわい!」


ちくしょう……わかってるよ。クソが!!

「お兄ちゃんもう学校行こ。関わるの怖いよ」

「でもせめて謝罪させるだけでも 」

「なんか余計ややこしくなりそうじゃない?」

妹に言われ俺達は夏川と関わらないように通り過ぎようとした。


だがしかし。


ボキューーーーン!!!!!


ヤツは通り過ぎる一瞬を狙って、俺と瑠璃を放屁で仕留めにきた。


「くっ!早い!!」

流石の俺もたじろいでしまう。直撃じゃなくてもこの威力瑠璃は気絶してしまった。


「ふん!なかなかやるな。貴様の名は?」

「蒼越。朝霞蒼越」

「なるほど。ソエーーイと呼ばせてもらうぞ?」

「いや無理」

「お前はバッドボーイ!!」

ゴソゴソ

夏川は上着脱ぎ始める

「!?」

「それは蒼越ファンクラブ会員のバッジ?バカな!解散したはずだ!」

「俺はずっと乳首ピアスにして付けておいた!!」

やべえなこいつ。乳首に穴開けたのか?イカれてるにもほどがある。


「お前のグッズは至る所に体に装備してるのさ!」


「くっ!!」

怯まずにはを得えない。


「まさか瑠璃を俺の妹と知ってて襲ったのか!?」

「全然違うよ?」

「そうか」

「そいつが旅行に行きたいと言ったから天国へ行かせてやっただけだ」

「いや勝手に人の妹殺すな」

「いや、比喩っていうか例えなんだけど」

シーン。

「でもその様子だとまだ俺に未練があるのか?」

「あたぼーよ。俺はお前のストーカーだ!」

そんな堂々と言われても。

警察!に電話するにはこいつから逃げないといけない。

だが瑠璃は気絶したまま置いていくわけにもいかない。


さて、どうする!?


「こらーーーー!!!」

この一本道の遠くほうから声が聞こえる。

「君は!?ヤッちゃん!」

「ハァハァ、エッちゃんですよお兄さん!」

助けにきてくれたのか!?助かる!


「てめえ、ドコの組のもんだ!!」

「あっ、2年3組です」

そういえばこいつ学生だったか。

年下なのね。


「私と瑠璃と同じクラスじゃん」

なんと言う偶然。

やっぱり瑠璃のこと知ってて狙ってたのか?


「アポ!アポオ!アポックメイキング!!」

シーン

いや、なんも考えてないアホだな。


「お兄さんこいつなんなんすか?」

「いやなんか俺の元ファンクラブの1人だったみたいで」


「じゃあ瑠璃はお兄さんが原因で巻き込まれたと?」


「間接的にそうなるね。面目ない」


「あんたは夏川君?だっけ、何が目的なんですか!!」

おー、流石エッちゃん!ズバッと聞いてくれるねえ。


「そんなもんはなかったが気が変わったよ!」


「あだ名で呼ばしてもくれない朝霞蒼越よ!!ファンクラブ裏切った責任とってもらおうか!!」

ゴゴゴゴゴゴ!

凄い気迫だ!

まるで強風が吹いているようだ!!


「覚悟しろ!!」

「くっ!!」

襲われる寸前だった。

エッちゃんがスライドして夏川とロックアップで組み合った。

「うおおおお!!やらせはせん!やらせはせんぞ!!」

頑張れエッちゃん!!

「俺は今のうちに瑠璃を避難させるぜ!」

ポイ。

「あっ」

「エッちゃん!!」

エッちゃんは軽く投げ飛ばされ何処かへ消えてしまった。


「クソ!万事休すか!!」

俺は死を覚悟した。

「ちょっと待った!!」

もうおしまいと思った頃に助けを呼ぶヒーローが現れた。

「あつし!!」

「助けにきたぜ!蒼越!!」

うん。まあお前がファンクラブ作ったせいでこんなモンスター生み出されたんだけどな?


「あなたは!?ガチホモ連合会会長!!無敵の不破篤」

ん?なんて言った?ん?いやそっち系なのは知ってたけど。


「貴様よくも俺の大事な人と妹に手を出してくれたな?」


「妹?」

あつしって妹いたっけ?


「もしかしてエッちゃんが!?」

「そう俺の妹だ!!」

苦労してそうだなあエッちゃん。


「お前は俺が倒す!!」

「うおおおおおお!!」


「じゃあ、お先に失礼します」

俺は瑠璃を担いでそそくさと逃げ出す。


「待て!!勝った方と付き合え蒼越」

「あつし何言ってんだお前」



「ときめく提案です」

「夏川まで!?」


「優勝商品には少し眠ってもらおう」

夏川はそう言うと近づいてくる。

「はわわ!!えらいこっちゃ」

瑠璃担いでるしどうすれば……

「 俺を頼れよ」

「あつし!!」

瑠璃をポイとあつしに捨てられ、俺は羽交い締めにされた。

「だましたなあつし!!」

「ナイスアシスト隊長!うらあーー!!」


ドゴゴゴゴコゴゴ!!


俺は放屁で気を失う。



「見知らぬ天井」

目覚めるとそこらは知らない家だった。


俺は台の上に乗せられ両腕両足を鎖に繋がれていた。


「勝ったのはやはりお前だったかあつし」


「ああ、紙一重の勝負だった」


「俺をどうする気だ?」

ゴクリ。

緊張感が漂う。


「お前には罪を償ってもらう」


「罪?」


「俺という乙女を!ファンクラブのみんなを傷つけた罪だ!!」


「いやお前乙女じゃないじゃん」


「うるさい!そんなのどうだっていい!!さあ、お医者さんごっこを始めようか?」

「なんだと?」

「オペを始めます」

俺は服を脱がされる。

「やめ!やめろー!」


「お前が悪いんだ!お前が1年前、瑠璃ちゃんと付き合ってなければこんなことにはならなかったんだ!!」

あつしから大粒の涙が溢れた。


そうか夏川にしろ、あつしにしろ俺に惚れちまったために振り回された被害者なんだな。

俺がイケメンなのが罪!


「あつしどうやったらお前らに償える?」

俺は真剣な目をして尋ねた。


「今頃遅いわい!!でも!でも!ちゃんと謝って!!」


そういえば謝ってすらなかったのか……まあ俺が謝る必要ない気がするが。

「わるかった」

「だめ」

「すみませんでした」

「許さない」

「メンゴ」

「ふざけているの?」

「誠に申し訳ございませんでした。いかような罰も受けます許してください。何でもします」


「じゃあ期間限定の?」

「え?」

まじか……これ逃げられねえ。

「瑠璃ちゃんがいいなら俺ともいいよなあ?」

「どういう理屈だよ」

「期間限定の?」

「……恋人になります……」

やむなく承諾してしまうり。

「よっしゃー!!ストーカーをコツコツやってたのが、今この瞬間報われたぜ!!許そう!!」

あつしは鎖を外してくれた。

「お前なら許してくれると思ってたぞ」

「いいえ。まだ終わってないよ。夏川君や他の子達にも精神誠意謝らなくちゃね」

「……マジ?」

コクリ。

あつしは大真面目に頷いた。


それから俺は夏川を始め、蒼越ファンクラブのメンバーの家に行って1件、1件謝りに尋ねたのだった。


時にはビンタされ、時には股間を捕まれ、理不尽な目にもあった。


そしてファンクラブ全員期間限定で付き合うこと

が決まってしまった。


だがしかし、これは俺が犯した罪の精算なのだ。

ほっといたから中途半端に燻って、完全燃焼できていなかったんだ。


「結局はお兄ちゃんが罪な男だったってことだねえ」

「母さんはあんたらのしょーもない騒動に巻き込まれたのかい」


「まあ一応そうなるね」


「でも社会に出ればもっと理不尽なことが待ってるだろうし良い勉強になったよ」

瑠璃は笑う。

「あんな目にあって教訓は得られたんだ?」

「そうだな。自分が悪くなくても謝らなければならない時があるってことかな?」

駄文すみませんでしたぁ!!

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