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とある日の幽霊部  作者: 月読つくし
第2章‐4人目の少女‐
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‐第2幕‐4話〜ホラー映画と学園祭〜


「幽霊部でホラー映画を撮りますっ!!!!」


秋穂さんの一声でその日の部活は始まった。


「「「…は?」」」


あまりにも唐突すぎる一言に、俺、九条、八重さんまでもが全く同じ反応をする。


「あの…秋穂先輩、今なんて??」


「だから、撮るの。ホラー映画。幽霊部で」


「…えぇ」


普段は冷静な九条も、今回ばかりは状況が全く見えない事もあり、当惑するばかりのようだ。


「あ、秋穂ちゃん…急になんでそんな事に…?」


八重さんがそう尋ねると、秋穂さんは良くぞ聞いてくれましたと言わんばかりに、目をキラキラ輝かせながら答える。


「ほら、もうすぐあるでしょ、うちの大学の一大イベント…学園祭が!!」


「あぁ…そう言えば12月だったね…ここの学園祭」


学園祭。

確か学生が主体となって開催されるイベント行事で、 サークルや部活が数々の催しを行うものだったか…


「いや、なんで知らないのよ…。高校でもあったでしょ?学園祭…」


心の声のはずが、九条が冷ややかな目で突っ込んでくる。


「そんなものは無かった」


「いや、でも普通の高校なら文化祭くらい…」


「そんなものは無かった」


「あぁそう…」


そうだ、絶対にそんなものは無かった。

年に一度高校を一般開放して、クラス全員でカレーだのチョコバナナだのを来訪者に売りつけるイベントがあった気がするが、多分それは俺の気の所為だろう。

全員でお揃いのTシャツを来て、たいそう盛り上がっていた気がしなくもないが、きっとそれも俺の記憶がどこかのアニメで見たシーンと混同しているだけだろう。


断じてぼっち時代のトラウマから目を背けているわけではない。

そうだ、準備中にクラス全体に何となく気を使われながら、Tシャツのアイデアを一応聞かれたり、当日も適職がないのでひたすらレジ打ちをさせられたり…


与えられた休憩時間に、クラスの奴らが楽しそうに他所の出し物を見て回っている中、俺は1人使っていない教室にこもってスマホをイジっていたという、

思い出したくない過去を無理矢理封印しているというわけではないのだ。


「はあぁぁぁ………」


「何を思い出したのか知らないけれど…横で辛気臭いため息つかないでくれる?」


九条が若干引いたような目でこちらを見ている。

同時に、秋穂さんもジト目を向けていることに気がついた。


「あの、話進めてもいいかなぁ?」


「あ、はい…どうぞ」


嫌な記憶がフラッシュバックした俺は若干自暴自棄になりながら答えると、秋穂さんはこほん、と咳払いをしながら話を続ける。


「で、文化祭の出し物の件なんだけど、最初はお化け屋敷をやりたいって申請を出したら却下されちゃって…」


「お化け屋敷って文化祭の定番ですし、通りそうなイメージですけどね」


九条がそう言うと、秋穂さんは心底つまらなそうに答える。


「それがさ、他のサークルと被るから駄目なんだって」


「被るって一体どこと…あ。」


言いかけた九条が気がつく。

まぁ、この方面で被るってことは相手は1つしかないよな…。


「オカ研と!被るんだって…!!!」


案の定である。


「まぁ、被ってるなら仕方ないですね…」


「そうなんだよ…それで、どうしようか迷ってた時に閃いたの!そうだホラー映画を撮ろうって!」


「そんな京都に行くノリでその発想になるの、多分秋穂さんだけですよ…」


「えへへ、そうかなぁ…!」


俺が少し呆れながらかけた言葉に、なぜか嬉しそうな反応を示す秋穂さん。

いや、全く褒めてないのだが…


「でも、映画って私達だけじゃ難しいんじゃ…」


そう言って少し不安そうな顔をする八重さん。

確かに彼女の言う通り、オカルト好きとは言え素人4人が集まっていきなり映画を取るなんて、さすがにハードルが高い気がする。


「あはは、そこは大丈夫だよ!ちっちゃな大学の自主制作映画だし、形にさえなってればクオリティまでは求めなくても、ね」


秋穂さんが言いながらウィンクする。


「確かに…見ても数十人くらいでしょうしね」


「でしょ!だから撮ろうよ!映画!」


秋穂さんの意見に九条も同意し、秋穂さんがそれを受けて目をキラキラと輝かせる。

まぁ、確かに2人の意見も分かる

それにホラー映画製作か…少し興味がないこともないが…。


「春斗くん…これチャンスかもです」


俺が悩んでいると、隣りにいた八重さんが耳打ちしてくる。


「チャンスって一体なんの?」


「善良な幽霊を探すって話です。ホラー映画の撮影なら多分ロケ地は心霊スポットになるでしょうし…そこでなら色んな幽霊に会えるかも」


「いや、それほぼ悪霊しかいないんじゃ…」


「でもとにかく色んな幽霊に会わないと、善良かどうかなんて分からないですよ。それにある程度なら…私が守ってあげられると思うので…」


確かに、八重さんが言うことも分からなくはない。

かなり危険ではあるが幽霊探しをする以上、ある程度のリスクは覚悟しなければ先には進めないだろう。


「分かりましたよ…」


「秋穂ちゃん、私と春斗くんも賛成だよ、みんなで撮ろうか…映画」


「やった!!じゃあ決まりだね!!実はもうロケ地の候補も選んであったんだー!」


そういいながら、秋穂さんは俺達にスマホの画面を見せてくる。


そこには、都内某所の廃病院の住所が書かれていた。



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