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とある日の幽霊部  作者: 月読つくし
第1章‐とある少女と幽霊部‐
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第1部完〜エピローグ・その後の幽霊部〜

子供の頃から幽霊が好きだった。


未知のものに触れる高揚感や、話を見聞きした後の背筋がゾクリと凍るような感覚。


そして何より、得体のしれない恐怖を抱えながら布団を被った時の、不安と安心感が入り混じった複雑な感情。




 そんな非日常的な感覚を手軽に俺に与えてくれる。


だから、俺はずっと幽霊が好きだった。


しかしその幽霊好きが、まさかこんな状況を引き起こすとは、、、



実は人生というのは、ホラー映画や怪談話よりずっと怪奇なのかもしれない。





ーー


ーーー


都内某所のとある大学。

その旧校舎の地下にある一室、そこに俺達幽霊部の部室がある。


「すんません、遅れましたー」


「あら、羽倉くん」


「もぉー!遅いよー!春斗くんっ!」


授業が長引いた関係で、少し遅い時間に部室に入ると、いつもの顔ぶれが出迎えてくれた。


「すみません、心理学の教授の話がやたら長くって」


「あなた、心理学なんてとってたのね」


「あぁ、人の思考を理解するのも大切だからな」


「まぁ、あなたの場合人の思考が分かっても、距離の詰め方を知らないから意味ないと思うけど」


「おまっ…、そういう正論ぶつけてくんのやめろ」


「あはは、まぁまぁ2人とも…そんなことより今日のテーマはこれだよ!」


俺と九条のいつもの掛け合いに少し呆れながら、秋穂さんは目を輝かせながらパソコンのページを見せてくる。


「異世界に行く方法…?」


パソコンの画面にはいかにも怪しげかつホラーチックなタッチで、


【異世界に行く方法】


と書かれた画面が映し出されていた。


「そう!何でもエレベーターで特殊な儀式を行うと、異世界に繋がる扉が開くんだって!!すごくない!!?」


「異世界に繋がる扉…つまり異世界転生が出来るってことですか?」


「そういう異世界じゃないと思うけど…」


異世界転生!素晴らしいじゃないかと一瞬思ったのだが、すぐに九条に釘を差されてしまった。


「あはは、確かにこのページで説明されてる異世界は、ファンタジーなやつじゃなくてもっとホラーな感じだよ」


「なんだ…俺の異世界転生の夢が…」


「そう言うのは中学生のうちに卒業しておきなさい…」


「あ、でもね!こっちの異世界だって充分怪しさ満点で楽しそうだよ!?」


肩を落としていた俺に、秋穂さんが若干興奮気味にフォローを入れる。

怪しさ満点というのがフォローになっているのかは若干怪しいところではあるが…。


「まぁ…本当に異世界に行けるならどこでも楽しいでしょうけど…ってか秋穂さんはあんな体験したのにまだこういうの好きなんですね」


「ん?好きだけど??」


俺の質問にあっけらかんと答える秋穂さん。

友人や意中の存在を殺害し、亡くなってしまった実の兄が悪霊のような存在になって、人を殺しかけた。

聞く人が聞けばトラウマになっても良さそうな体験だと言うのに、秋穂さんはもう気にしていない様子だった。


過ぎた事は気にしないということだろうか。

まぁ、この人らしいと言えばらしいのだが…


「そんなことより!今から早速やってみない??」


「今からですか?」


「そう!ほら家の大学タワー型の校舎あるでしょ?あれならエレベーターの階数も足りるだろうし」


すっかりやる気になったようで、具体的な説明をはじめる秋穂さん。

こうなったらもう俺達に拒否権がないので、今日はこの遊びに付き合うしかなさそうだ。


やれやれ、と思いながらどこかこの日常を楽しんでいる自分に気がつく。


「ま、なんだかんだこういうのが一番平和なのかもな」


2人に聞こえないような小さな声で、俺はぽつりと呟いた。


少し、今回の事件を思い返してみる。


紅葉と雪那さんはちゃんと成仏できたのか


雪那さんの後悔を少しは拭う事が出来たのか


今回の一件で疑問な点はいくつかあるが、

掘り返して秋穂さんや九条に聞くのも野暮というものだし、

何より紅葉と雪那さんが俺達の前から姿を消してしまった以上、それをもう確かめる術もない。


まぁこの世には幽霊が実在していることや、俺達の常識では到底当てはめることができないような、不可思議なものが存在することを知れただけでも良しとしよう。


そして何より、俺達の幽霊部としての活動はまだまだ始まったばかり。

こうして続けていけば、不思議な機会に遭遇する機会は今後数多くあることだろう。


だから今は…


このくだらなくも平和な毎日を俺なりに楽しむことにしよう。


「春斗くーん!ほら何してるの?早く行こー!!」


秋穂さんに声をかけられ気がつくと、秋穂さんと九条は既に部室を出て廊下を歩き始めていた。


「あ、すぐ行きます!」


俺は少しだけ急いで最低限の荷物を手に部室を出ていく。


部室の扉を閉める瞬間、


(行ってらっしゃい)


と、誰かに言われた気がした。




長い間お付き合い頂きありがとうございます。

2部以降の構想もいくつかあるため、まだ物語としては続く予定ですが、いったん第1部として一区切りとなります。

初めて書く小説ということで、読みにくい部分や分かりにくい描写も多数あったかと思いますが、最後までお付き合い頂き、本当にありがとうございました。


2部については少し時間を開けて、執筆の余裕ができたらまた再開させて頂ければと思いますので、気長にお待ち頂けますと幸いです。

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