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とある日の幽霊部  作者: 月読つくし
第1章‐とある少女と幽霊部‐
62/77

番外編‐ユメジュウヤ‐ダイゴヤ



こんな夢を見た。



「一ノ瀬って紅葉と付き合ってるのか!?」



「…は?」



あるゼミの日、神妙な面持ちで三月くんからそんな事を言われる。



なぜ急にそんな話をされるのかと一瞬戸惑ったが、ゼミが終わってもう部屋には私と三月くんしか残っていない事に気がつく。



どうやら彼は私と2人きりになるタイミングを待っていたようだった。



「ほら、お前らっていつもゼミが終わると2人で出かけてるだろ?そんなのどう考えたって怪しいじゃんか!」



なるほど、私が紅葉の言う【暇つぶし】に付き合っているから、親密な関係に見えたというわけか。



「別に一緒に出かけてはいるけど、付き合ってるわけじゃない」



「本当か?この前俺の告白を断ったのって、もしかして紅葉と付き合ってたからなんじゃ…!」



「そんなわけないでしょ。前にも言ったけど、私恋愛とか興味ないから」



「じゃあなんで紅葉とよく出かけてるんだ?」



「それはただの暇つぶしだけど」



何のこともないように私が答えると、三月くんが目を丸くする。



「暇がつぶせれば誰でもいいのか…?」



「まぁ、そうなるわね」



「じゃ、じゃあ!今度俺とも暇つぶしにどこか行かないか!?確か一ノ瀬心霊系とか好きだったよな!」



「別にいいけど…って、なんで私の趣味とか知ってるの?」



三月くんとはほとんど話したことがないのだが、なぜそんな事を知っているのだろうか。



それに心霊関係だって、紅葉に幽霊の存在を知ってから興味を持ち始めたという、比較的最近の話なのだが…。



「一ノ瀬、よく心霊系の本とか読んでるだろ?だから好きかなと思ってたんだよ」



「うわぁ…人の本の好みまでリサーチしてるんだ」



そこまで私に興味を持っていたのか。シンプルに怖いのだが…



「と、とにかく幽霊とか好きなら、近くにオススメの心霊スポットがあるんだよ!今日の夜にでも行ってみないか?」



「まぁ…いいけど」



「じゃあ、今日の22時に待ち合わせしようぜ!そうだ、場所あとで送るからLINNE交換してくれよ」



そう言って三月くんはそそくさと携帯を取り出した。


まぁ、特に断る理由もないので私も携帯を出してトークアプリのアカウントを教え、いったん夜まで解散となった。




ーー


ーーー



「来ないじゃん…」



時刻は22時30分、私は三月くんから教えられた廃病院の入口で彼の到着を待っていた。


しかし、待ち合わせの時刻をもう30分も過ぎたというのに、彼は来る様子がない。



何か事故に巻き込まれたのだろうか、少し心配になったので私は三月くんにメッセージを送った。



《何かあったの、大丈夫?》



とりあえずあと15分ほど待って、返信もないようなら今日のところは帰ろう。


そんなことを考えながら、なんとなく廃病院を眺める。



さすがに夜中に見る廃墟というものは、なんとも言えないおぞましさがある。



「やっぱりこういう所には幽霊がいるのかな…」



そんな事をぽつりと呟く。


当然ひとりごとなので、返事などあるはずがない。


のだが…



「ここには誰もいないよ」



不意に後ろから声が聞こえた。


私は慌てて後ろを振り返ると、そこには紅葉が立っていた。



「紅葉…?どうしてここにいるの?」



「あー、ほら今日一ノ瀬さんと三月、心霊スポット行くって話してたでしょ?近くの心霊スポットだから、ここじゃないかと思ってね」



「そうなんだ…にしても、来るなら来るって言ってよね」



「あはは、ごめんごめん」



紅葉は悪びれる様子もなく、手を合わせて謝罪のポーズを取ってみせた。



「っていうかさっきここに何もいないって言ってたけど…幽霊、いないの?」



「うん、ここにはいないみたいだね」



「そうなんだ、いかにも廃病院なんて色々居そうな雰囲気なのに…」



「あはは、確かに病院って色々溜まりやすい場所らしいけどね。でも全部の病院に幽霊がいるとは限らないんじゃないかな」



「そうなのね…」



廃病院=幽霊の住処という偏見があったが、一概にそういうわけではないらしい。


まぁそれでも怖いことには変わりないが。



「それより、もう夜遅いから帰った方がいいんじゃない?」



「え?あ、でも…」



スマホの時計を見ると時刻は22時50分。


既に待つと決めた時間を過ぎていたが、私のメッセージには既読もついていない状態だった。



「三月くん、来なかったな」



「…れは、もう、ないよ」



「え?何か言った?」



私のつぶやきに対して紅葉が何か言ったように聞こえたのだが、声が小さく聞き取ることができなかった。



「なんでもないよ。もうかれこれ1時間近く待ってるだろ?そろそろ帰った方がいいって」



「そうね…ずっと待ってるわけにもいかないし、そうするわ」



私はそう言ってアプリを開き、三月君宛に一言



《ごめん、帰るね》



そうメッセージを送った。



「じゃあ、私帰ることにするね。紅葉、わざわざ来てくれてありがとう」



「うん、じゃあまた学校で」



そして私は紅葉と別れた。









翌日の学校。


そこにはいつも通りの景色が広がってる。



ただ1つ違うのは、その日から三月くんが学校に来なくなった。


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