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とある日の幽霊部  作者: 月読つくし
第1章‐とある少女と幽霊部‐
52/77

第33話〜来たるべき対話と小さな約束〜


「朝…か…」


とにかく酷い夢を見た気がする。


重い頭をなんとか持ち上げ目を覚ます。


「最悪な寝覚めだな…」


誰もいないはずの部屋で1人そう呟く。

だが、俺の予想に反しその独り言に反応するものがいた。


「だいぶうなされてたもんね」


「は…?」


声の方向に振り向くと、秋穂さんが立っていた。


「な…ど、どうやって入ったんすか…?」


「人を幽霊みたいに言わないでくれるー?普通に扉が空いてたから入っただけだよ。ここオートロックじゃないし」


確かに格安の宿に泊まることになったため、部屋は自身で施錠するタイプのものだった。

そして俺自身、鍵を締め忘れて寝たことに気がつく。


「あぁ…なるほど」


「でも不用心だなぁ、気をつけないとダメだよー」


「分かってますよ…ってか、急に何のようですか?」


俺がそう尋ねると、秋穂さんは少し悪戯な笑みを浮かべた。


「用事?私は特にないよー、でも…春斗くんにはあるんでしょ?」


その一言で彼女の笑みの理由を理解した。

秋穂さんは俺達がこれから行おうとしていることに大方気付いているのだろう。


「なんか最近察しいいですよね。出会ったばっかの時は、なにも考えなさそうなタイプに見えたのに」


精一杯平静を装いながら皮肉を返すと、秋穂さんもどこか嬉しそうに言葉を返す。


「あははっ、失礼なこと言うなー。私はなにも変わってないよ、むしろ変わったのは春斗くんじゃないかな?」


「まぁ…確かに俺は色々状況が変わりましたけどね」


「幽霊に取り憑かれたりとか…ね」


「…」


やはり、彼女は俺の状況にも気がついているんだろう。

だとしたら、何としても情報を得たい。


「…この旅行が終わったら、その事で少し時間もらえますか?」


「もちろんいいよー♪」


何の事もないように、あっけらかんと答える秋穂さん。

かなり大切な話をしているつもりなのだが、彼女らしいと言うかなんというか。


だが、彼女と話す約束を取り付けることはできた。


「まぁ色々思うところあると思うけどさ、今は合宿を楽しもうよ」


「…そうっすね」


彼女の言う通り、今はこの旅行を楽しもう。

全ては、その後だ。


ーー

ーーー


「よし、皆揃ったね。それじゃ2日目を始めていこう」


秋穂さんと別れたあと、身支度を整えホテルのフロントに降りていくと、すでにメンバーは全員集まっていた。


「2日目はどこにいくんですか?」


「よく聞いてくれた烏野君。と言っても今日は心霊スポット巡りはなし。普通に観光をする予定だよ」


風見部長はそう言いながら今日の予定をざっくりと話し始める。


それによれば今日は金閣や二条城、三十三間堂などの主要な観光地を巡って、夕方には帰るらしい。


本当に普通の旅行といった感じである。


「それでは出発しようか、まずは金閣寺に向かおう。皆ついてきてくれ」


風見部長のあとに続いて、俺達は移動を開始する。

幸い、ホテルから金閣寺まではそれほど距離もなく、すぐ目的地に到着した。


「おぉー、…前に見たときより金ピカ感が増した気がするな」


「数年前に改修工事したみたいだから、多分それが理由だと思いますよ」


金閣寺を眺めながら漠然とした感想を述べると、横から月白が解説を入れてくれた。


「お前…よくそんなことまで知ってるな」


「旅行前に簡単な事前知識を調べてきたからね、っっていうかこれはニュースとかでもやってたわよ…?」


周りに人がいないことを確認してから、素の口調に戻す月白。


「そうかい、学がなくてすみませんね」


「ふふっ、そうね。あんたはもう少し一般常識を付けたほうがいいんじゃない?」


「善処しますよ。…そういえば今朝秋穂さんが部屋に来たよ」


「…そう。そしたら全部お見通しだったわけね」


さすがは月白。

秋穂さんが来た、その一言だけで状況を察してくれたようだ。


「今日、旅行が終わったら秋穂さんと話をしようと思う。付き合ってくれるか?」


「いいわよ、昨日約束しちゃったしね」


「助かる」


「その代わり、後でなんか奢ってよねー。抹茶ソフトとか♪」


「なんでも言うこと聞くって話じゃなかったのかよ…」


「それはそれでしょー、それに昨日食べそこねちゃったし」


「…ま、そのくらいなら良いけどな」


「やった♪じゃあまた後で、約束ね!」


そう言って月白は手で指切りの形を作りながら、嬉しそうに去っていった。


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