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とある日の幽霊部  作者: 月読つくし
第1章‐とある少女と幽霊部‐
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第28話〜去りゆく足音と残った不安〜


「なんだったんだ…今の…」


足音がしなくなってから数秒、いや数十秒ほどだろうか。

ようやく危機が去ったことを理解した俺は無意識にそう呟いていた。


「なにって幽霊だよ、決まってるでしょ?」


つまんないこと聞くなよ、とでも言わんばかりに少し呆れながら秋穂さんが答える。


「いや…それは分かるん…ですけど」


俺達以外誰もいないはずの空間で突然聞こえた足音。

さすがに心霊現象以外の言葉で説明がつかないのは分かる。だが…


「なんで急に出てきて急に消えたんですか…?それに秋穂さん、なんか話して…」


「あー…それはちょっと話すと長くなるかな、それよりも」


言いながら秋穂さんが目配せをする。

見ると、九条が不安そうな顔でこちらの様子を伺っていた。


「羽倉くん、秋穂先輩…あの、大丈夫ですか?」


「夏凜ちゃん心配してくれてありがとう!でも大丈夫だよー!」


先ほどの様子とは打って変わって、いつも通りのテンションで秋穂先輩は九条に笑顔で答える。


九条のもとへ走っていく秋穂先輩様子を見て、彼女はこの件についてもう何も答えるつもりがないのだと理解した。


(まぁ…あとで改めて聞くか…)


目下の危機は去ったようだし、これ以上不安を煽るような言動は避けたほうが懸命だろう。


ひとまずそう思い、俺も九条と秋穂さんの下へと戻ることにした。


ーー

ーーー


「皆さん…大丈夫でしたか?」


花山洞の入口まで戻ると、すぐに立花先輩と烏野が駆け寄ってきた。

何やら2人も少し心配している様子だった。


「羽倉くん、君の怒声のような声が聞こえたんだが、何かあったのか?」


烏野に言われて2人が心配している理由が分かる。

なるほど、俺が秋穂さんに向けて声を張り上げてしまったのがこちらまで聞こえていたようだ。


「ま、何もないって言ったら嘘になるが…とりあえずは大丈夫だったよ」


「随分歯切れの悪い回答だね、まぁ…無事なら良かったが」


烏野は少し腑に落ちない様子だったがそれ以上は何も聞いてこなかった。


「さて、皆少し疲れただろう。休憩がてら昼食にしないか?」


少しの閑談を挟んだ後、風見部長がそう提案する。

言われるまで気が付かなかったが、確かに時計を見ると時刻はもう午後1時を回っている、あんな事があったせいで腹は減っていないが、何か食べて気を紛らわすのも悪くないだろう。


「あ、さすが先輩ナイス提案!ちょうどお腹空いてたんだー!」


どうやら秋穂さんも同意見だったようだ。

しかしあんな経験をした後でもこの人は普通に腹が減るんだな…本当にマイペースと言うかなんというか…。


「ではご飯にしましょうか、皆さん何が食べたいですか?」


立花先輩の問いかけに月白が答える。


「京都ってどんなものが有名なんでしたっけ?みらいあんまり京都料理って詳しくなくて」


「そりゃ京都って言ったら天下いっp…」


「待った。それは京都料理って括りとはちょっと違うでしょ?確かに美味しいけれど…」


月代の疑問に応えようとしたのだが、先手を打って九条に止められてしまう。

なんだよ、美味いんだから良いだろうに。


「京都名物は色々あるけど…有名なのは京懐石とかかしら」


「な、なんかちょっと高そうですね…」


「ふふ、確かにしっかりしたお店は高いけど、ランチとかなら私達でも手が届くんじゃないかしら」


不安そうな月白にフォローを入れる立花先輩。


「せっかく京都に来たことだし、立花先輩が言う通り京懐石も良いかもしれませんね」


そう言って同意する烏野。

特に否定する理由もないので、俺達は比較的手頃な懐石料理屋で食事をとることにしたのだった。


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