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とある日の幽霊部  作者: 月読つくし
第1章‐とある少女と幽霊部‐
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第25話〜清水の舞台と飛び降りの理由〜


「清水寺!とーちゃく!」


予定通り、俺達は最初の目的地である清水寺へとやってきた。

さすがは日本が誇る観光地、平日だと言うのに観光客でごった返していた。


「何だかんだ中学の修学旅行ぶりだけど、こんなに混んでたっけか…?」


「最近は海外からの旅行客も戻ってきてるみたいだし、ある意味一番混んでる時期じゃないかしら?」


あまりの人混みに呆気に取られていると、九条がそんなフォローを入れてくる。


「この人混みを進んでくのは大分骨が折れそうだな…」


「それはそうね…正直、私もすでに人酔いし始めてるわ…」


人嫌いな俺と九条は、早くも観光地の洗礼に心を折られかけていた。


「もぉ、だらしないよ2人とも!ほらまだ始まったばっかなんだから頑張って!」


死んだ目をしている俺達2人を見かねて、喝を入れてくる秋穂さん。


「はぁ…行くしかねぇか」


秋穂さんに背中を押される形で半ば強制的に覚悟を決めた俺達は、清水の舞台を目指してとぼとぼと歩き始めた。


ーー

ーーー


「やはりいつ来てもこの景色は圧巻だな」


人の波に乗り、どうにか清水の舞台まで辿り着いた俺達はその景色に圧倒されていた。

風見部長は何度も来たことがあるようで、随分と慣れた感想を述べている。


その隣で九条と秋穂先輩も楽しそうに何かを話していた。


「そういえば…清水寺って自殺の名所なんでしたっけ?」


「あ、それは僕も聞いたことがあるね」


ふと中学時代の古い記憶が蘇り、口をついて出た言葉に烏野が同意してくる。


「ふふ、確かに有名な話ですけど、実はそれ、ちょっと誤った情報なんですよ」


「立花先輩、それってどういうことですか?」


清水の舞台から飛び降りが多いというのは昔からあまりに有名な話だ。

それが誤った情報だというのは、正直少し違和感がある。


「涼せんぱい、それみらいも聞きたいです!清水の舞台っていえば飛び降りってイメージあるじゃないですかー」


「そうだね、清水寺は景色以外だと僕もその認識があったな」


立花先輩の話を聞いて俺と烏野、そして話を聞いて来た月白の3人が、先輩に尋ねる。

その様子を見て少し嬉しそうに彼女は口を開いた。


「ふふ、正確に言えば間違ってるのは自殺の名所として知られている部分ですね。多くの人が飛び降りていたっていうのは本当ですよ」


「それって…自殺目的じゃなく飛び降りてたって事ですか?」


立花先輩の答えにますます目を丸くする俺達。

思わず烏野がそう聞き返す。


「烏野君ご名答です!江戸時代頃に清水の舞台から飛び降りると願いが叶う、っていう逸話があったそうですよ、だから願掛けの意味で多くの人が飛び降りたそうです」


「そんな意味があったのか…でもこの高さから落ちたら無事じゃすまないだろ?それじゃ結局自殺と変わらないんじゃ…」


「そう、そこがこのお話の肝なんです!」


俺の問いかけに立花先輩は、待ってましたと言わんばかりの反応をする。


「確かに飛び降りた人達の中には命を落としてしまった人がいるのも事実です。ただそれは全体の15%程度、残りの85%は落ちても生き残ることが出来たみたいですよ」


無事で済んだかまでは分かりませんが、と付け加える立花先輩。


「なるほどなぁ…つまり飛び降りって言うワードが一人歩きして、いつしか自殺の名所扱いされるようになったってことか」


「そういうことです、飛び降りという言葉だけ聞いたら、自殺を連想される方も少なくないですからね」


「立花せんぱいすごい!本当に何でも知ってますよね♪」


「ありがとう、でもたまたまネットの記事を見ただけだよ」


そう言いながら月白に優しく微笑む立花先輩。

なるほど、オカ研は俺達幽霊部よりも、だいぶ幅広く色々なことを調べているようだ。


幽霊部は基本幽霊や怪談、呪いなどの話がメインなのでこういった話が聞けるのは新鮮だった。


「皆、談笑中のところすまないが、そろそろ次の目的地に向かうとしよう。ついてきてくれ」


そう言って先陣を切って歩き出す風見部長。

次の目的地ということは、いよいよ秋穂さんが言っていた花山洞に向かうのだろう。


そう思った瞬間、なぜか背筋がゾクリと凍りつくような不思議な感覚に襲われた。



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