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とある日の幽霊部  作者: 月読つくし
第1章‐とある少女と幽霊部‐
42/77

第23話〜サイコパステストと甘美なご褒美〜


「京都着くまで退屈ですし、ミニゲームでもしませんか?」


新幹線に乗って一呼吸ついた頃、月白からこんな提案があった。


「ゲームって?」


「あ、乗り気ですか?さすが夏凜ちゃん♪」


「いえ、乗り切ってわけじゃないんだけど…」


じゃあ説明しますね♪と言いながらさり気なく九条の隣に移動する月白。

こういう距離の詰め方を素でできるのが、月白の強みだろうか。

人たらしと言うかなんというか…


「今回やりたいゲームはズバリ…!サイコパス心理テストです♪」


「…サイコパス心理テスト?」


「はい!ルールは簡単、私が出す質問に対してサイコパスさんと同じ正解を出せたら勝ちっていうゲームですよ♪」


「それって要するにサイコパス診断ってことか?」


「あは♪さすが春斗くん、知ってるんですね!」


「あぁ、実際にやったことはないけどな」


「それなら丁度いいですね!今回試してみましょ♪」


サイコパス診断について楽しそうに語る大学1年の女子。

こういう様子を見ると、つくづく月白もこっち側の人間なのだと実感する。

服装に関しては地雷系というか、とてもオカルト系とは無縁に見えるのだが。


「ちなみに、ゲームということは勝ち負けがあるのかしら?」


「うーん、そうですねぇ…じゃあ夏凜ちゃんと春斗くん、勝ったほうが私になんでも一つ言うことを聞かせられる、というのはどうでしょう?」


「…それお前にメリットあんの?」


「だって、私出題者だからゲームに参加できないですし、かと言って2人だけに罰ゲームさせるのはフェアじゃないじゃないですか♪」


「…月白さんって意外と律儀なのね」


こればっかりは九条に同感である。

基本的にこいつはキャラを作っているものの、根っこの所はかなりのお人好しなんだろう。


「あ、春斗くん。何でもとは言いましたけどぉ…あんまり過激なのはダメですからね?」


すっと耳元に近づきそんな事を言ってくる月白。

前言撤回、やっぱこいつ性格悪いわ。


「うるせぇ!さっさと始めろ!」


「はーい♪怖いなぁ、もう」


「…」


そんなくだらないやり取りをしていると、九条が無言でこちらを見ているのに気がつく。


「あ、どうした九条?」


「いえ…別に、早く始めましょ」


「2人ともやる気ですね♪じゃあいきますよ!まず第1問♪」


ーあなたはひどい頭痛に襲われています。


そんな時、一人の女性があなたを心配して近づいてきました。


その女性を見るやいなや、あなたは彼女を殺してしまいました。


さて、なぜでしょう?ー


「いきなり物騒な問題だな…」


「あー、この問題は実在した殺人鬼の犯行動機を元に作られたらしいですからね…さて、2人とも答えてみてください!」


「そうね…その女性が自分に危害を加える事を恐れたから…とかかしら」


「ふむふむ、春斗くんは?」


「例えば…人を殺すのが楽しいから、気を紛らわせるためにやったとかか?」


「…うわぁ、春斗くんちょっと引きます」


「なんでだよ!?」


月白がコイツないわ…とでも言いたげな目でこちらを見てくる。

なんだよ、俺そんなに変なこと言ったか?


「だって正解は…」





ー悲鳴を聞くと心が安らぐ気がするからー






「らしいですよ、春斗くんだいぶ近い答えじゃないですか…」


「羽倉くんやっぱりあなた…」


「いや、偶然だろ偶然!?」


「まぁ、いいですけど…じゃあ気を取り直して2問目です!」


ーあなたは小さな町で医者をしています。


あなたは自身の患者に対して薬を処方するフリをして、バレないように毒を盛っています。


そのせいで風邪などの些細な病気であったはずの患者も、次々重い病に罹ってしまいました。


いったいなぜこんな事をするのでしょう?ー


「これは…さっぱり分からんな、医者の地位を利用した快楽殺人とかか…?」


「私も思いつかないわね…激務に対するストレス解消くらいかしら」


「確かに…これはちょっと難しいかもですね。正解は…」





ー毒で苦しむ人を治す事でより医療行為の達成感を得られるからー





「ですって…うーん。常人には出てこない発想かもですね…」


「出てきてたまるか」


「そうね、正解しなくて良かったかも…」


「あはは、じゃあ3問目です」


ーあなたは殺人を犯し死刑判決が下された囚人です。


しかしあなたは刑務所の中でも定期的に殺人事件を起こし続けました。


いったいなぜ殺人を繰り返したのでしょう?ー


「…これは、人を殺すのが楽しいからじゃないか?」


「あー、普通はそう考えますよね、夏凜ちゃんは?」


「多分だけど…定期的に殺人を繰り返す事で、その都度裁判を起こすことを狙ったんじゃないかしら…裁判中は死刑の執行ができないから」


「うわぁ…夏凜ちゃんもですか…正解は…」





ー殺人を繰り返す事で裁判を起こし、死刑執行を遅らせるためー





「九条…どんぴしゃかよ…」


「し、仕方ないでしょ、刑法のことを考えたら、そこが抜け穴かもって思いついちゃったんだから…」


「それもそれで怖いんですけどね…さ、さぁ気を取り直して次が最終問題です!これを正解した方の勝ちですよ♪」


ーあなたはとある人物に一目惚れしました。


ですが、残念なことに相手はあなたに興味がないようです。


それが分かった時、あなたは何をしますか?ー


「潔く諦める…と言いたいところだけど、サイコパステストなのよね。そしたら彼女の家族を脅したりして、無理やり自分のものにするとかかしら…」


「いや…多分だが、危害を加える相手は身内じゃなくて、一目惚れをした本人の方だな」


「え…どうして?惚れた相手でしょう?」


「殺すことで相手を自分のものに出来るからだよ」


「なによそれ…」


「……ちょっと背筋がゾクッとしました。正解は…」





ー永遠に自分のものにするために、惚れた女性を殺害したー





「春斗くん大正解…だけどちょっと怖いですよ?」


「何でこんな問題まで解けるのよ…」


「いや、分かんねぇけど…これだけはすっと頭に浮かんだんだよ…」


「春斗くん…間違っても私に惚れないでくださいね?♪」


「惚れるか!!」


ーー

ーーー


「さてさて、結果発表です♪正解数としては夏凜ちゃんが1問で、春斗くんが2問!なので今回の勝者は春斗くんですね♪」


「…うわ、何も嬉しくねぇな」


「おめでとう、根暗サイコパスくん」


「うるせぇ、変なあだ名つけるな」


「あはは♪じゃあ勝者の春斗くんにはー、私になんでも1つ言うことを聞かせられる権利をプレゼントします!この旅行の間にでもゆっくり考えておいて下さいね♪」


やがて新幹線は目的地の京都に辿り着く。

こうして頭を抱える甘美な問題を抱えつつ、旅は続いていくことになるのだった。




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