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とある日の幽霊部  作者: 月読つくし
第1章‐とある少女と幽霊部‐
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第22話〜旅のはじまり〜

8月某日

俺達は今品川駅にいる。


8月といえば、世間が夏の風物詩とやらに熱を出す季節である。

とかく大学生となればことさらその色は強く、やれプールだのキャンプだの、花火大会だのと言うイベント事に脳をやられている奴も少なくない。


かくいう俺も、入学前は1大学生としてそういったイベントに参加する事もあるだろうと考えていた節もあるのだが…


「皆集まったね!じゃあただ今より、幽霊部とオカ研の合同旅行を開始します!!」


嬉しそうに開始の宣言をする秋穂さんの様子を見て改めて思う。

まさかオカルト系のサークルで合同合宿などいうイベントに巻き込まれるとは、さすがに想像もしていなかった…と。


−−

−−−


「改めて確認しよう、今回の目的地は京都。旅行としては定番な場所ではあるが、今回は霊やオカルトというスピリチュアルな要素にスポットが当たる分、かなり特殊なものになるだろう」


そう話すのはオカ研の風見部長。

相変わらず堅苦しい話し方をする人だが、秋穂さんに任せていると色々暴走しそうなので、こうやって仕切ってくれるのはありがたいな。


「やぁ羽倉君、久々だね」


「…烏野」


「あはは、そんな嫌そうな顔をしないでくれよ」


前回のディベート対決で俺と戦った男、烏野一樹が声をかけてくる。

朝から爽やかイケメンオーラ全開である。


「はぁ…まぁ今回はよろしくな」


「あぁ、今回の旅行で君とはもっと仲良くなれたらいいなと思っているんだ。だからぜひよろしく頼むよ」


「…お、おう」


俺は別に仲良くしたくないが?

といいたいところではあったが烏野のテンションに押されて適当な生返事になってしまった。

イケメンオーラ恐るべし。


そんな事を考えていると、俺達が乗る予定の新幹線が到着したため、ひとまずそれに乗り込んだ。


――

―――


「なんかすげぇ組み合わせだな…」


新幹線の座席は適当に決めたらしいのだが、俺の隣に月白、そして向かいの席に九条が座っている。

そして通路を挟んだ向こう側には残った4名、

つまり風見部長、立花先輩、烏野、秋穂さんの4人席が出来ている。


風見部長と立花先輩、秋穂さんは旧オカ研メンバーだから良いとして、あそこに混ぜられた烏野はちょっと気使いそうだな。

なんてことを考えていると、


「春斗くん、お久しぶりです♪」


と甘ったるい声で話しかけられる。


「月白…」


「どうしたんですかぁ?せっかく旅行なのにテンション低いですよ?」


素の月白と交流した時間が長いからか、

今となってはこっちの話し方は逆に慣れないな…

とはいえ、月白の素の性格については口外しないように釘を差されているため、俺もこっちに合わせるしかないのだが…


「まぁ…朝からテンション上げろっていうほうが無理だろ、なぁ九条?」


「わぁ…!」


九条に同意を求めようとしたのだが、九条は車窓から見える景色に目を奪われているようだった。


「…あの、九条さん?」


「…え!?あ、あぁどうしたのかしら羽倉君っ?」


「お前…もしかして新幹線乗るの初めてか?」


「ま、まさか普段から乗っているわよ?その証拠に…新幹線にはとても硬いアイスが売っているのだって知っているわ!」


旅行前の子どものように謎にテンションが高い九条。

いや、まぁ旅行前というのは間違っちゃいないのだが…


「あぁ…あれな」


「あら、羽倉くんも知っていたの?意外と情報通なのね」


「いや、大体皆知ってると思うぞ…」


「ほんと…?じゃあ月白さんも知ってる…?」


「えっと、はい。SNSでたまに話題になるので…」


「そう、有名なのね…」


露骨にテンションが下がる九条さん。

多分新幹線についても事前に色々調べてきたのだろう。


「ふふっ、夏凜ちゃん可愛い。てっきりもっとクールな人だと思ってました。」


「べ、別に普通だと思うけど」


可愛いとか素直な言葉を言われ慣れていないのか、恥ずかしさを誤魔化すように目を背ける九条。

意外とこの2人の相性も悪くないのかもしれないな。


「まぁ、お前が新幹線初めてなのは分かったよ…せっかくだし後でアイス食おうぜ」


「はぁ…まぁそうね。楽しみにしておく」



こうして慌ただしくも、旅が始まる。


そして…


この旅で俺は、自分の身に起きている出来事の深刻さを知ることになるのだった。



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