第18話~深まる謎と超心理学~
雪那さんに協力をする約束をしてから1週間ほどがたった。
この一週間、俺なりに雪那さんの死因に関する真相を探ってみたのだが…
「なにも…見つからねぇ…」
俺は早々に挫折しかけていたのだった。
今わかっているのは雪那さんの本名は
一ノ瀬雪那さん。
1993年生まれだということなので生きていたら29か、30歳になっている。
ただし本人が記憶している年齢は20歳ということなので亡くなってから10年ほど経つらしい。
これだけ分かっていれば死因の特定など楽勝だろうと思っていたのだが、驚くほどに彼女に関する情報は何も見つからなかった。
どんな些細な事でもいいからまずは彼女に管理する情報が欲しい。
そう考えた俺は大学の図書館に来ていた。
よく分かないが、図書館なら昔の生徒の情報が記録されている卒業アルバムなんかがあってもおかしくないと考えたからだ。
だが結果は残念ながら彼女に関する情報は欠片も得ることが出来なかった。
「はぁ…全然だめだ…」
図書館の机に突っ伏しながら1人途方に暮れる。
「何がだめなんですか?」
「何ってそりゃあ…って、は?」
当たり前のように声をかけられたので一瞬反応が遅れたが、顔を上げるとそこには、1人の少女が両手で頬杖をつきながら微笑んできた。
「お久しぶりです、春斗さん♪」
「えっと…月白だっけか…?」
「覚えててくれたんですかぁ?嬉しいな♪」
このやたらに甘ったるい声で話しかけてきたのは月白みらい。
前にディベイト対決を行ったオカルト研究部の一員で学年は俺と同じ1年だったはずだ。
「お前、なんでこんなとこいんの?」
「私だってこの大学の学生なんですよー?大学の施設を利用してたって不思議じゃないじゃないですかー?」
「そりゃあそうだけど、お前図書館なんて使わなそうじゃん」
「あはは…人は見かけによらないんですよー♪」
俺の問いかけに対して、ハッとしたような顔をした月白は、少し誤魔化すように笑ってみせる。
そして手元のノートを不自然に手で隠してみせた。
「なんか隠したか?」
「な、なんでもないですよー!で、春斗さんはどうして図書館に?」
露骨に話題を戻してきたことに違和感を覚えつつも、話したくないのなら無理に聞く必要もないだろう。
俺はそのまま話を続けることにした。
「ちょっと調べものがあってな」
「それでわざわざ大学の図書館に…ちなみにどんな事を調べてたんですか?」
「あぁそれは…」
一瞬話そうかと思ったが、10年前のうちの女子生徒の死因を調べているなんて話したら不審がられるに決まっている。
向こうも何か隠しているようだし、こちらも本当の事を話す必要はないだろう。
「ちょっとこの大学の歴史を知りたくてな」
「あはは♪そんな訳ないじゃないですか♪」
一瞬で嘘を見破られてしまった。
意外と隙がないなこいつ…
「私こう見えてちょっとした超能力があるんです。そのくらい嘘、すぐ見分けられちゃいますよー」
「は?超能力…?」
何言ってんだお前、と思わず突っ込みをいれそうになったが、よく考えたらこいつもオカ研の一員だったか。
そう考えたらこの電波発言も不思議と納得が行く気がするな…
「そうです、まぁ正確には超心理学っていう学問に分類される能力なんですけどね♪」
「超心理学ってたしか…科学的に説明がつかないような超常現象を研究する学問だっけか?」
「さすが幽霊部さん!オカルト系の知識も詳しいんですね♪私はその中でも精神感応っていう能力に長けてるんです!」
「精神感応…?」
「言い換えるとテレパシーとも呼びますね、その人の思考や感情を読み取る能力のことです♪」
「テレパシー…ってさすがにそんな能力持った奴いる訳ないだろ…」
「あら、疑ってるんですかー?じゃあ…」
一瞬間を置いて、少し悪戯な笑みを浮かべる月白。
「今、見せてあげましょうか?」
そう言いながらこちらを見つめる彼女の表情はどこか自信に満ち溢れているようだった。




