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とある日の幽霊部  作者: 月読つくし
第1章‐とある少女と幽霊部‐
36/77

第17話〜とある幽霊との約束〜


「じゃあ私は帰るけど、春斗くんはまだ残る?」


秋穂さんから雪那さんの真相を聞いてからしばらくした後、帰り支度を追えた彼女から声をかけられる。


「俺は…もうちょい頭の整理してから帰ります」


「そっか、まぁ色々混乱してると思うから早めに休んでね!」


そう言って彼女は部室を出ていった。


「…雪那さん、出てきてもらえますか?」


秋穂さんを見送った後、俺以外誰もいないはずの部屋でそう声をかける。

当然都合よく返事が返ってくるはずはない。

と、思っていたのだが…


「呼んだ?」


これまでに何度か聞いた、落ち着きのある澄んだ声が後ろから聞こえてくる。


「やっぱり…雪那さんって本当に幽霊なんですね」


「そうだよ、今聞いたでしょ?」


「いや、聞いたんですけど…さすがに信じられなくて」


こんなにも普通に会話出来ている相手が、まさか幽霊だとは思えず、やっぱりどこか信じられない自分がいる。


「まぁ、気持ちはわかるけどね」


「でしょ?普通に会話だって出来るし…」


「まぁ、会話はね。でもほら」


雪那さんが俺に手を差し伸べてくる。


「なんですか?」


「手、握ってみて?」


「え…そんな急に言われても」


「いいから」


急な魅力的な提案に心を乱されるが、雪那さんはいたって真剣だった。


「分かりましたよ」


俺はそっと雪那さんの手を握る。

…はずだったのだが、指がすっと雪那さんの手をすり抜けてしまい、握ることは叶わなかった。


「まじ、か…」


「幽霊だからね、基本的に人とは干渉出来ないんだよ」


「こうなったらまぁ…信じるしかないですね…」


「うん、物分りが良くてよろしい」


そう言って雪那さんは優しく微笑んでくれた。


ーー

ーーー


「それで、雪那さんってなんで幽霊になったんです?」


「あぁ、それが自分でも分からないんだよね。そもそも死因も分からないし」


俺の問いかけに対して、まるで他人事のように答える雪那さん。


「いや、雪那さんの事じゃないですか…せめて死因くらいは知りたいとか思わないんです?」


「まぁ…気にはなるけど、今さら知って何も変わらないからなぁ…」


「まぁ、それはそうかもですけど…」


「私としては、いつまで幽霊としてここにいれば良いのかの方が気がかりかな。幽霊って以外と暇だし」


相変わらず他人事のように話してはいるが、不思議とこの言葉は彼女の本心だと分かった。


「つまり成仏する方法が知りたいってことですね?」


「あはは、成仏っていうと何か俗っぽいね。まぁでもそういう事かな」


「なるほど…じゃあ尚更死因とか幽霊になった経緯を知らないと駄目じゃないですか?幽霊が成仏する方法って、前世の心残りを解消するためとか、大抵そんな感じでしょ?」


「まぁ…漫画とかアニメの世界ならそうかもね」


「でしょ?なろうの世界でも一緒ですよ、多分」


「え、何の話?」


「いえ、何でも。じゃあとりあえず、まずは生前の雪那さんの情報集めていきますか」


「…それはいいんだけど、なんでナチュラルに春斗くん手伝ってくれる感じになってるの?」


不思議そうな目で俺を見つめてくる雪那さん。

いや、そんな顔をされても困るのだが…


「いや、だって雪那さん一人じゃ色々しんどいでしょ?」


「それはそうだけど…」


「もう雪那さんの存在を知っちゃったわけだし、見て見ぬふりなんてできないでしょ?俺に出来ることくらいなら手伝いますよ」


「…そう」


「雪那さん…?」


「春斗くんって結構優しいのね」


「いや、別にそんなことは…」


「じゃあせっかくだし、手伝ってもらおうかな。春斗くん、改めてよろしくね」


そう言って握手を求めてくる雪那さん。


「いや、だから触れないんでしょ?」


「あはは、そーでした」


「でも、ま、宜しくお願いします」


伸ばされた手を握り返そうとこちらも手を伸ばす。

当然触れることはできないが、不思議と重なり合った部分に暖かさを感じた。



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