第11話〜離反と過去とディベートと〜
オカルト研究部
主に幽霊や超常現象など、オカルトに関する調査を行うグループのことである。
まぁ要するに俺が所属する幽霊部と活動内容は同じはずなのだが、なぜかうちの大学にはこの2つが両方存在しているらしい。
そして今俺たちはオカルト研究部の部室におり、初めての顔合わせを行っている。
向こうも男女2人ずつの計4人と小規模であり、ますます幽霊部と分かれている理由が謎である。
「やぁ諸君、ようこそ我がオカルト研究部へ。僕は3年で部長の風見誠也だ」
余裕たっぷりの笑みで挨拶をしてくるこの男がオカ研の部長らしい。
挨拶や雰囲気だけでも相当意識が高い人間であることが伺える。
「風見先輩、こんにちはー」
「あぁ七瀬くん。君がこの部室に来るのも随分久々だね」
「あはは、それはたしかにですね」
「あれ?秋穂先輩、前にもオカ研に来たことがあるんですか?」
九条の問いかけにバツが悪そうな顔をする秋穂さん。
「あー、いや、それはね…」
「おや、七瀬くんから聞いていないのかい?彼女、元々はオカルト研究部に所属していたんだよ」
「…初耳ですね、ちょっと驚きました」
九条の言う通りである。
まさか秋穂さんがオカ研にいた時期があったとは。
前回の霊感に対しての疑念といい、つくづく秋穂さんも謎が多い人である。
「ほ、ほら。私のことはいいからさ!まだ自己紹介の途中でしょ!」
「そうだったね。では次に副部長を紹介しよう」
「2年の立花涼です。宜しくお願いします。」
副部長と紹介された少女は、こちらに向き直ると深々とお辞儀をしてきた。
見た感じかなり育ちが良いのだろう、この人とは少しお近づきになりたい気もする。
「じゃあ次はみらいですね!月白未来1年生です♪皆さん、わたしの事はみらいって呼んでくださいね?」
3人目の少女は先程の副会長とは打って変わって、強烈な個性を持っているようだ。
服装もいかにもな地雷系ファッションで、俺の生きる世界ではお目にかからないタイプだ。
この手のタイプはオカ研に興味を持たないように見えるが、つくづく人は見た目では分からないものである。
「さて、最後は俺かな。烏野一樹1年です、よろしくね。」
最後に出てきたのはザ・好青年という雰囲気の男だった。
どう考えてもいわゆる陽キャに分類される人種だろう。つまりは俺が嫌いなタイプだ。
こいつとは仲良くなれる気がしない、出来るだけ距離を置いて話した方が懸命だな。
―
――
―――
こちらを含めて全員の自己紹介が終わり、俺たちはオカ研が用意してくれた席にそれぞれ座っている。
位置的にはコの字型のテーブルに幽霊部とオカ研が向かい合うような形であり、風見部長だけは側面側のテーブルに1人で座っているといった感じだ。
「さて、それぞれ席についてもらったところで、早速ディベートを初めていきたいんだが、いいかな?」
こちらに伺いを立ててくる風見部長。
ディベート対決をしに来たんだったな、そういえば。
「あの、1ついいでしょうか?」
「何かな、立花くん」
「このディベート対決って本当にやる必要あるんでしょうか?せっかく幽霊部の方が来てくれてるんですし、普通に仲良くお話して終わりじゃダメなのですか?」
まさかのオカ研側から異議が唱えられた。
てっきり向こうはやる気満々なのかと思っていたんだが、そういうわけでも無いのだろうか。
「そうですね、せっかくの交流会ですし、俺も親睦を深められる事をした方が良いと思います」
「みらいも同じ意見でーす」
おっと部長以外全員反対派なのか。
え、じゃあこの企画って向こうとこっちの部長の独断で決めた感じか?
「ふむ、皆の意見は良く分かった。だがどうしても今回のディベートは実施しなくてはならないんだ」
神妙な面持ちで風見部長が答える。
「何か理由があるんですか?」
「先程、七瀬くんは元々この部活に所属していたと言っただろう、実は彼女はある日突然部活を辞めてね。そしてその後すぐに幽霊部を作ってしまったんだ」
おおっと、思ったよりも秋穂さんすごい事やってたぞ?
それってつまり…
「僕はそれを明確な離反だと思っていてね、正直幽霊部という団体を個人的には認めていないんだよ」
まぁ風見部長からしたら、後輩が勝手に辞めて類似サークルを作って活動を始めたわけだから面白くはないだろう。
「だから私は七瀬くんに連絡を取って今回の勝負を持ちかけたんだ。もしオカルト研究部が勝った場合、もう一度こちらに戻ってきて欲しい、とね」
ん?つまり勝負に負けた場合秋穂さんが幽霊部やめるってことか?
何だそれ、全然聞いてないぞ
「そして七瀬くんが快く引き受けてくれたおかげで、今回の勝負が実現したというわけさ」
「え、秋穂さんOKしちゃったんですか?」
「うん、したよー」
「…なぜ?」
「勝手に辞めちゃったのは悪いと思ってたから、これで謝罪になるならまぁいっかなって。それに…なんか面白そうだったし!!」
あ、100%後者が理由だ。
こいつ、何となく面白そうだから勝負を引き受けやがったな…
「まぁ勝てば今まで通りだからさ!とりあえず頑張って行こう!」
ものすごく強引に話を進める秋穂さん。
その様子に俺と九条だけでなく、オカ研側の連中も若干引いていたが、とりあえず俺達も付き合うのは確定のようだ。
かくして部員全員が巻き込まれる形で、部長2人による因縁の対決が始まるのだった。




