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勝利

「断る」


 あのクソ王族と関わるのはごめんだ。


「お願いしますよ」


 俺は村人から深くお願いされる。ティルは何故か兵士が連れてきたドラゴンの魔物に対抗意識を燃やしている。

 仕方ない。やるしかないか。


「勝った時の報酬は貰うからな」

「ありがとうございます」


 俺はしぶしぶドラゴンレースを受諾して、スタート位置にティルと着く。


「ぶはっ! なんだアレ! はは、やべ、ツボにはまった。ぶわははははははっはは!」


 奴は俺を見るなり腹を抱えて笑い出した。その後ろのクソ女も一緒に笑ってやがる。

 一体何が琴線に触れたのかは知らんが、笑われているだけでムカムカしてくる。


「いきなりなんだ。ハーネス」


 スタート位置に着いた俺達を見るなり、笑い出したのだ。


「だ、だってよ! すっげえダサイじゃないか!」

「何が?」

「お前、ペット屋でも始めたのか? 鳥もダセェーーーー!」

「ダッセェエエエエエエ! 馬じゃなくて鳥だし、なんだよこの色、白にしては赤紫色が混じっているし、普通は純白だろ!」

「何が普通かは知らんが……」


 コイツの笑いのツボがわからん。

 いい加減時間の無駄だ。こんな奴等無視してさっさと行くか。俺が行こうとすると、ハーネスはティルを指差しながら近付いてきた。

 直後。


「グアアアア!」


 ティルがハーネスの股間目掛けて強靭な足で蹴り上げた。今までヘラヘラと笑っていたハーネスの顔が衝撃で変に歪みながら後方に5メートルくらい錐揉み回転しながら飛んでいくのを。


「うげ……」

「キ、キャアアアアアアアアアア! ハーネス様!」


 はは、アレは玉が潰れたな。

 すっげえ爽快。さすが俺の魔物だ。

 これを見れただけでもティルを育てた価値があるな。

 ティル、今夜は特別に美味い物を食わせてやるぞ。


「グアアアアアアアア!」


 バタバタと羽を羽ばたかせて、ティルはドタドタと走り回る。


「くっそ〜」


 アスタはティル、ハーネスはドラゴンに乗り、一斉にスタートをした。

 開始から俺たちが圧倒的にリードする。

 よし、このままいけば勝利は確実だな。


「我が力に命ずる。彼を地の底に落とし給え!」

「アースホール」


 ハーネスの部下が木陰から魔法の呪文を唱えると、俺とティルの前に大きな穴が出現した。

 俺たちはその穴を避ける為に大幅にコースを外れ、ハーネスに遅れをとった。


「クソ……、汚い真似を」


 俺とティルは体制を立て直しハーネスを追いかける。


「アスタ、ティル! ガンバッテ!」


 イナンナがゴールラインで応援している。

 俺たちは応援に応える様に更にスピードを加速させる。が、またハーネスの騎士たちに減速魔法を使われて、大幅にスピードダウンする。

 ティルもさすがに頭にきたのだろう。更にスピードを加速させる。ラスト一周のあと少しでゴールの所で、一周目に開けられた穴にコースを追い詰められる。

 こんなとこで、負けてられるか!


「ティル、行くぞ!」

「グルァァ」

「ウィンドシールド」


 俺は穴にシールドを張り、ティルにその上を飛ばせた。最終の直線でハーネスのドラゴンと並び、デッドヒートを繰り広げ、ゴールテープを切る。


「……勝った!」

「おめでとう!アスタ!」


 イナンナが俺に飛びついてきた。

 俺たちはドラゴンレースに勝利したのだ!

 ハーネスに付いているエルザとか言う女は、負けを認めたくないのか、俺たちが不正をしたと騒ぎ始めた。


「コイツらは、不正な行為をして勝利したのです! 騎士たち、こいつらを捕まえなさい」

「何を言ってるんだ!! 不正でレースを妨害したのはお前らだろ」


 騎士たちはエルザの命令で、俺たちを取り囲み捕まえよとした。その時、また面を付けた謎の集団がどこから現れた。


「エルザ様! この者が言っている事は本当です! レースの後に騎士たちが魔法を使用した痕迹がありました! これ以上騒ぎ立てると、貴方を処罰しなければなりません!」

「……クッ!!」


 強気だったエルザが黙り込んでしまった。

 何者なんだ!?コイツらは?

 エルザたちは不正を暴かれ、悔しそうにハーネスたちとこの場を去っていった。


「ありがとうございました。これで村も静かに暮らせます」

「そんな事より、報酬はあるんだろうな?」


 俺は村人から小袋を中身を確認し、村を出た。

 村を出てると、夕陽が落ち始めていた。次の町まで日があるうちに着きそうにないので、仕方なく森で一晩を過ごすことにした。

 そして迎えた朝。イナンナに強く名前を呼ばれ、目が覚めると隣には、小さな羽の生えた美少女が眠っていたのであった。

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