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大好きな幼馴染シリーズ

大好きな女の子の兄ポジを堪能する

作者: 青空のら

「おはよう、早く起きて、お兄ちゃん!」


 開けられたカーテンから朝の日差しが差し込んでくる。


「うーん、もう少し寝かしてくれよ」

「駄目よ、早く起きて!」


 引っ張り起こそうとする妹の手を逆に引っ張り返す。


「きゃっ!」


 ドサッ!そのまま妹がベッドに倒れ込む。いい匂いだ。そのまま抱きしめる。


「一緒に寝よう。うーん、いい匂い、それに柔らかい」


 甘いミルクの匂いがする。


「駄目、早く起きて!今日は洋服買いに行くの!付き合ってくれる約束だよ」


 するりと腕を抜け出すとベットから起き上がり腰に手を当てて睨みつけてくる。


「早くしないと時間無くなっちゃう!服を買ったら次は映画でしょ、その次は喫茶店に行って、その次は」

「分かった、すぐ起きるよ」


 来年には高校卒業で家を出る。妹と一緒に過ごす時間もあと少ししかない。


「朝ごはんも用意してあるんだからね」

「ああ、ありがとう」


 妹は可愛い、目に入れても痛くないくらいに。シスコンなのは自覚している。そして女の子としても意識している。


「今日はお兄ちゃんの好きなフレンチトーストだよ」

「うんうん、妹の作るフレンチトーストは最高だな」


 卒業したら食べられなくなるのは悲しい。自ら決めたとはいえ、ケジメをつける為に進学先は県外、帰省には二時間は掛かる距離だ。


「食べ終えたら10分で支度してよ?その間に洗い物済ませておくから」

「俺も手伝う。二人でやれば直ぐ終わるよ」


 今となっては妹を好きになったのが先なのか、義妹だと知って好きになったのかは覚えていない。ただ、大好きな女の子がいつも側に居るという事が嬉しかった。


「ありがとうお兄ちゃん、大好き」


 チュッ!恒例の口付けをほっぺに受け、返礼に妹の頭を撫でた。


***


「これどうかな?」


 更衣室内でくるりと回る。勢いが強い。


「もう少しゆっくり回ってくれよ。後ろがよく見えない」

「えへへ」


 おずおずと妹が後ろを向く。


「じゃあ次は前向いて」

「えへへへ、どうかな?」

「よく似合ってる。世界で一番可愛い」


 狡いとは自覚している。それでも義兄だと判り、距離を取られるようになるまでは今の関係を利用するつもりでいた。


「馬鹿!照れるじゃない」


 バシ!妹の振り上げた手を躱さずにそのまま受け止める。ある意味、ご褒美だ。


「じゃあ代金払ってくるぞ」

「えっ?私が出すよ!」

「こういうのは『ありがとう!』で良いんだぞ。遠慮するもんじゃない」

「うん、ありがとう!」


 好きな女の子に服をプレゼントする事を嫌がる男がいるだろうか?俺は嬉しい。


***


「きゃー!」


 むぎゅ。腕に胸が当たる。


「いやぁ!」


 ぎゅぎゅぎゅ。腰に抱きつかれそのまま締め付けられる。


「えーん、、」


 最後に妹に正面から抱きしめられて動けなくなる。

 下心丸出しでお化け屋敷に誘ったとはいえ効果てきめんだった。鼻の下が伸びてる自覚はある。

 せっかくの新しい服だから外が良いと、映画から遊園地で遊ぶ事に変更し、それをチャンスと捉えた俺はお化け屋敷に誘い込んだのだ。


「じゃあ、目を瞑ったままでいいから。俺が手を引いて歩くからついておいで」

「うん、わかった。絶対に手を離さないでよ!」

「安心しろ!離す訳がない」


 暗闇の中、おずおずと差し出された妹の手を取ると俺は歩き出した。嫌だって言ったって離さないよ。


***


「綺麗な夕陽だね」

「そうだな。次は彼氏と来るといい」


 観覧車から見下ろす街に沈みゆく夕陽は幻想的だった。


「彼氏かぁ、お兄ちゃんがいるから当分はいらないよ」

「いつかは作るんだろ?」

「それよりお兄ちゃんこそ、彼女欲しいんでしょ?」

「うーん、いずれは、かな?」


 妹に彼氏が出来て、この恋心が成仏する頃には、、、きっと


「妹が結婚したら安心して彼女作るよ」

「それだと、いつまで経っても彼女出来ないよ?」


 夕陽に染まった妹の頬は真っ赤だ。俺の頬も真っ赤だろう。


「シスコンだから仕方ないだろ」

「びっくりした!自覚あったんだね。うふふ」


 コロコロと笑う妹につられて俺も笑い出した。


***


「お風呂お先です。お兄ちゃん、次入ってよ。早くしないと冷めちゃう」

「ああ、わかった」

「妹の残り湯を堪能しても良いんだよ」


 ギク!何の話かな?

「バ、バレてないはず」

「あれ?堪能してないの?」


 何の話かなわからないな。

「湯の匂いを嗅ぐくらいは、、、無罪だよな?」

「つまんないの!何か変な事してたらそれに弱みに頼み事しようと思ってたのに」


 頼み事ぐらい何でも聞いてやるよ。

「大好きな妹の、女の子と頼み事を断る男がいるはずない」

「とにかく、早く入ってよ!それと、、、逆なんだから、、、」


 妹は叫びながら俺の部屋の扉を閉めると出て行った。


***


トントン!扉がノックされる。


「入っていい?」

「どうぞ」


 妹の残り湯を堪能し、その余韻に浸っていた俺は現実世界に引き戻された。世の兄どもは新しく湯を張りかえた風呂に入ってるというのに。何という幸せ。


「ちょっと相談があって」


 おずおずと入って来た妹をベットに座らせ、その横に座る。


「あのね、私お兄ちゃんの事は好きなんだけど、今のままじゃいけないと思うの!」


 そ、そんな事ないよ?今のままで十分じゃないか。

「俺も妹の事は大好きだし、家を離れるまでは今の関係で居たい」

「お兄ちゃんが県外を受験するのは知ってる。そして、帰ってくる気がないのも」


 帰ってくるさ。お盆にお正月に!嘘じゃないよ?

「好きな子には幸せになって欲しいけど、他の男と幸せそうにしてる姿を間近で見る勇気がない」

「ヘタレな所も好きだけど、こういう事ははっきりさせて欲しいの!」


 何の話してるのか?よくわからないな?

「俺たちは義兄妹だから何も問題ない。だからから付き合って欲しいって?それを口に出して言えるなら悩んだりしない」

「本当はね、知ってるの」


 何のことかな?

「養子だという話は妹が二十歳になるまではしないはずだし、バレるはずがない」

「私たちが血が繋がっていない事」


 顔が似ていないからって気にしすぎだよ。気のせいだ。

「どうして知っているんだ!?」

「お兄ちゃんって、混乱しちゃうと」


 飛びついて来た妹にそのままベットに押し倒される。


「思っている事と言ってるセリフと入れ替わる癖あるんだよ、知ってた?」


 知らない。

「えっ?嘘、全部喋ってたって?犯人は俺!?」


「だからね、全部丸わかりなの!諦めなさい、逃さないんだから!」

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