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是夕  作者: 鰹会
3/6

第三話 葛籠



「次そっちだー!」



一人の少年が、木の又に仁王立ちして、叫ぶ。



「よいしょ···。おい、晃!そこ代われよ!」


少年の身には重すぎる大きめの木の板を、晃の登った木の根元に下ろして、翔也が不満をたらす。


 「そうだぞ····はぁ、俺達は···荷物を····ふぅ····」


 丸めの体に、少し小さめの角材を背負った鈴木が、息も絶え絶えで抗議の声を上げる。


「でもよぉ」


木の上から二人を見下ろす晃が、体を揺らしながら口を開く。



「一人は見張ってないと」



 「「ウゥー····!」」


「分かった分かった手伝うってば!」


 翔也と鈴木の形相に押されて、晃が木から飛び降りる。


そして振り返り、心配そうな顔をチラチラと木に向けた後、二人と共に材料(・・)を運びに行った。





「あれ?晃は?」


両手に何やら、色んな物が詰まったビニール袋を提げて、誰もいない木を見た木城(きしろ)は、高い声で呟いた。


 「翔也達と木を運んでるんだろ」


 後から来た龍太郎が、木城より更に2段ほど高い声で説明した。


 「でももうできかけてるな····」


 背伸びして、木の上に乗せられた小さな家らしきものを確認して、木城が呟く。


 「完成が楽しみだ」


「そうだな」


 三人目の少年───亜樹あきが、ガラクタを方に担いで合流する。



 「なんか面白そうなもんあったか?」


「一回全部出してみるか!」


 晃の鈴木と翔也が秘密基地の建設をしている間、木城と龍太郎と亜樹の三人は、近くのゴミ処理場に忍び込んで、面白そうなガラクタを頂戴してきたのだ。



 「俺が持ってきたのはー·····これだ!」


「「おぉ〜!」」


 木城のビニール袋から出てきたのは、シックな銀色のラジオだった。もっとも、かなり古いもので、動くのか怪しい。


 「ラジオかー·····動くのか?」


「あぁ····」


龍太郎の問いに、木城が頷いて、ラジオの電源を捻る───、



〝ザザッ·····ザッ·····〟


 ガっ、と電源がつき、砂嵐が荒い音を立てる。それを無視して、木城が左右のピッチを調節すると、明るい音楽が流れだした。


〝茨城県の今夜の天気は──、なることでしょう。───今週の予報です。〟


 所々で雑音ノイズが混じるが、どうやら使えるようだ。


「やったな木城!すげーぞ、これ!」


興奮した面持ちで叫ぶ龍太郎に、木城はにこにこと頷いた。

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