表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/3

プロローグ


 父と兄が魔物による襲撃で亡くなった。突然のことだった。病弱だった母も悲しみに耐えられず2人を追うように儚くなった。

 そこからわずか10歳だったシスティアナの世界は変わってしまったのだ。

 

 ひとりぼっちになったシスティアナの元に見たこともない父の兄を名乗る男とその妻、息子が家に入り込み執事が止める間も無く住み着いた。

 執事が言うに父の兄と言うのは間違いない事、今までシスティアナが見たことなかったのは先代だった祖父に見限られ領地から追い出された事を聞いた。


 システィアナは10歳だった。幼く、無垢で、無知だったのだ―――。


 叔父も叔母も従兄弟も最初はシスティアナに優しかった。

 

 「システィアナ、ギルバートの代わりにもっと領地を繁栄させてみせるよ。ギルバ、いやお父様はどんな政策をしていたかな?お父様の意思を受け継がなければいけないから大事な書類はどこにしまっていたか知っているかい?」


 「システィアナ、そんなに泣いていては立派なお屋敷が暗くなっちゃうわ。―そうだ、新しいドレスを買いましょう!」


 「システィアナ、お兄様だよ。これから仲良くしてね。」

――――

 無知なシスティアナは全てを肯定してしまった。大事な書類が入っている鍵のある場所もお父様から内緒だよ、と聞いて知っていた。父の傍にいたくてよく本を持ってきては執務をしている父の横で大人しく読んでいたからだ。

 真面目な顔で書類を書いている父の邪魔をしたくなくて、話しかけることはしなかったが、時々こっそり本を影にして父の様子を見ていると気付いた父が優しく頭を撫でてくれるのが嬉しかったから――。


 そんな父の代わりをしてくれると言う、それをシスティアナは信じてしまった。

 執事は最後まで反対していたのに。


 叔父一家がシスティアナの後継人となる手続きが完了すると全てが変わってしまった。


 頼もしく時には厳しい執事はもういない。優しかった乳母も、こっそりお菓子をくれたメイドも。

 システィアナの味方だった使用人は全て追い出されてしまった。

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ