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1/8

5――6

ずいぶん昔に書いた作品ですが、楽しんでいただけたら幸いです。

少しでも面白いや、読みやすいな等を感じたらだいぶ↓の方にある☆を入れたり、評価ブクマ等をしていただけたら嬉しく思います。



「俺様に断りなく勝手に死んでるんじゃねえよ、愚図」


 誰に言っているのかわからないが、おそらく俺に言っているであろう、身勝手な言葉。

 間違いない、俺が出会った"沼地の魔女"の、幼くもしわがれにも聞こえる、不思議な彼女の声だった。


 鼻先には水がかびたような臭いと、生暖かい何かに包まれ、体温が徐々に徐々に体から奪われていくのが分かる。

 下がる体温に比例し、吐き気にも似た感覚に胸が襲われ、頭はどんどんと鈍くなっていった。


 ああ自分は死ぬのだろう。

 どこか、他人事のようにそう思っていた。

 すると、

 

「つまらねえな。死にてえのかお前は」


 と、まるで死のうとしている俺を叱咤するような、いや彼女の性格を考えれば吐き捨てているのかもしれない。

 だが、そう言われたとしても俺は仕方がないとしか思っていなかった。

 実際、俺は生きていても仕方がないと思い始めていたのだから。

 

「はっ、糞つまんねぇやつだなお前」


 上から降ってくる口の悪い魔女の言葉がやけに耳に残った。

 いつものような下手糞な罵声なのに、魔女の声はまるで、俺の死を惜しむかのような声色で……。


 ああ、死ぬのが惜しいかもしれない。

 そう思いながら、俺の意識は深く深く沈んでいった。




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