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世間は意外と狭い

 三人で田中家を目指して歩いていると、ちょうど通りかかった公園から声が聞こえてきた。


「結構です!」


「君みたいに威勢のいいこは嫌いじゃないよ」


「うんうん!さっ行こ」


 なんとそこには、男二人に言い寄られている女の子がいた。

 現実にこんなんあんのかよ……。


「いい加減にしてよね!怒るよ!」


「怒るだって、恐えぇー」


 女の子は強気で、両の眉の端がつり上がっている。それに対し、男たちはにやにやしている。そのにやにやした顔が無性に腹立つのは万人に訊ねても納得してくれるだろう。


「ヒロ、助けてあげたら?ほら、喧嘩とか強いじゃん」


 先を歩いていた浩二は、足を止めていた俺に向かってそういいながら、爽やかな笑顔を向けてくる。


「喧嘩なんかと一緒にすんなよ。あれは立派な武術だ。我流だけど」


 ただの暴力と一緒にしてほしくはない。


「まぁまぁ。とりあえず行ってあげたら?」


 同じ女の子として心配なのか、恵里が諭すように言ってきた。


「ったく、しゃーねぇなぁ」


 二人に催促されてしぶしぶ助けに行ったのはいいが、予想外の出来事が起きた。


「しつこいなぁ、容赦しないから!」


 女の子の顔付きが変わった。こう、なんかキリッと。

 そして、次の瞬間。


「ぐっ!……」


 なんと、女の子は男を一撃で気絶させた。

 俺は、開いた口が塞がらない。後ろの二人も口をぽかんと開けているようだ。


「私、空手やってますから。確か、全国選手権に出たことあるんだったかな?」


 女の子は、指の骨をぽきぽきならし、鋭い目つきで威嚇するように言い放つ。男は腰が抜けたのか、地面に座り込む。


「まだなんか用でもあんの?」


「ひっ!!すっ、すいませんっしたぁ!」


 とどめの一睨みで、勢い良く立ち上がった男は、倒れたやつを抱え、引きずりながら逃げていった。

 あまりの衝撃的な出来事に自分が止まっていたことに気づいた俺は、必要ないとは思うが女の子のほうに向かった。

 女の子はため息をつきながら、近くにあったベンチに気だるそうに座った。


「あっ、あの……」


 さっきの光景が目に焼き付いて離れない俺は、恐る恐る声をかけた。


「誰?」


「っ!?」


 女の子が首だけこちらに向け、睨みながら聞いてくる。どうやら、またさっきのような奴が来たと思われているみたいだ。

 威圧感がすごい……。


「さっ、さっきはなんか絡まれてたみたいだけど、大丈夫ですか?」


 必要ないとは思いながらも、一応聞いてみる。やはり先程の光景が目に焼き付いて離れない俺は、必然的に敬語になってしまった。


「当たり前でしょ!あんな奴ら、朝飯前よ!」


 誇らしげに胸を張って答えた。

 自慢されてる?


「でっ、ですよねぇ。あはは……」


 なんか居ずらい俺は、そろそろ帰ろうかと思っていた。しかし、何かに気づいたのか、はっとした表情の彼女の口から意外な言葉が出てきた。

 ちなみに俺は、ずっと立ちっぱなしだ。


「あれ?あなたもしかして、田中君といつも一緒にいる夜月君?」


「えっ?はっ、はい。その田中君が浩二のことだったらそうです」


 初めてあった人にそう言われれば、誰だって不思議に思うだろう。俺は彼女の顔に見覚えがない。

 どっかであったっけ?


「そうだよね!私、同じクラスの早川だよ!」


「……えっ?クラスメート?」


 その時の俺の顔は、果てしなく情けなかったに違いない。


「そうだよ〜、覚えてないか。じゃあ自己紹介するね。私、『早川 凛』。よろしくね」


 ベンチから立ち上がり俺と向き合うと、にこっと笑いながらそう言った。


「あっ、夜月浩之です」


 焦った俺は、背筋をピンッと張り急いで返す。


「あはは。知ってるよ」


 そんな俺の行動がおかしかったのか、笑われた。


「だっ、だよね〜。あはは……。あっ!ちょっと待ってて」


 二人を待たせてたの忘れてた……。

 そう言うと、俺は待ちぼうけだった二人を呼びにいった。早川は一瞬不思議そうな表情を見せたものの、何も言わずにベンチに座り直した。


「ヒロちゃん!あのこ誰!?なんか親しげに話してたみたいだけど!!」


 公園前で待っていた二人のもとへ帰ってきてそうそう、両手を腰にあてた恵里がジト目で睨んで来た。


「あっ、あぁ。なんかクラスメートみたい」


 俺は思わず、恵里の威圧感に少しどもってしまった。


「へぇー、そうなんだ」


 浩二は至って普通だ。


「あっそう!だから仲がいいんだ!ふーん、へぇー」


 頬を膨らまし、怒っていることをアピールしている。


「別に仲が良い訳じゃねぇよ。存在自体知らなかったし。ってかなに怒ってんだよ」


「べっつに〜。怒ってないけど?もし本当にそう見えてるなら、目が腐ってるんじゃない?」


 今度は冷たい、軽蔑するような目を俺に向けて言った。

 腐ってるって、結構酷いな……。もうちょっとましな言い方は出来ないのか?


「だって、本当のことでしょ?」


 どうやら口に出ていたようだ。気をつけないとな。


「そんなことより、彼女待たせてるんじゃない?こっち見てるけど……」


 今まで傍観していた浩二が、急にしゃべりだした。確かに、早川に目を向けると、こっちをちらちらと見ている。


「あぁ、そうだった!あのこに二人を紹介しようと思って」


「じゃあ早く行こうよ。あまり待たせるといけないから」


 そう言うと、先頭に立って歩いていった。


「ふんっ!」


 恵里もその後について歩いていく。様子からすると、まだ怒ってるみたいだ。

 俺は溜め息を一つ吐くと、二人の後ろについて凛のところへ向かった。

 第一話に続き、第二話まで読んでいただきありがとうございます。そして、二話目に期待していた方々、申し訳ありません。


 この物語はこの調子で、ぐだぐだ、うだうだと続いていきます。


 ですがしかし、確実に言えますことは、あと五話くらいしたら幾分かはましになっています。自分でもわかるくらいに。実はもう出来上がっているんでね。


 なので、見捨てようと思っている方……、ちょっとストーーップッ!!後少しおつきあいいただけたらなと。


 それでも生理的に受け付けない方。“ごめん、もう無理。これ以上俺に期待しないで。”って感じなんで、どうぞ見捨ててやって下さい。


 後書きまでぐだぐだ、うだうだと語ってしまい、すみませんでした。今後ともどうぞよろしくお願いします。

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