1話 2度目の転生!?
初投稿です。拙作ですがよろしくお願いします。
ここは剣の國。
戦士たちは剣を用いて戦う。
剣の腕こそが全ての國である。
男2人が炎の渦の中にいた。両者の腹に剣が刺さっている。
ちっ、油断した。仕留めたと思ったのに最期の最期で引きずり込まれた。
「まさかここまでやるとは。正直驚いた。」
「くたばる寸前なのに元気なもんだな。」
「そうでもないさ。後数分で尽きるだろう。もちろん君も。」
「…まあそうだな。俺もお前も力を使いすぎた。最期にお前の顔を見ながらくたばるなんてくそみてぇな気分だけどな。」
奴はフッと笑った。急に朗らかな顔になったような気がした。
「1つ聞きたいことがあるんだ。」
奴は突拍子のないことをほざいたが俺にもチャンスだ。
「奇遇だな。俺もお前に聞きたいことがある。」
「君の方から聞こうじゃないか。」
「じゃあ、お先に。お前はなぜこんなやり方で國を変えようとしたんだ?」
「生ぬるいからだよ、この國は。だから武力でひっくり返し、この國の頂点に立つことで、恐怖で統治しようと思った。このままだと諸外国に乗っ取られるから。」
納得はできない。ただ理解はできた。こいつもこいつで國を憂いていたのだ。ただやり方が違っていただけだ。
「じゃあ、私も君に聞いていいかい。私のは質問さ。君は別の國、いや別の世界の人間なのではないか?」
「……」
「君は転生者という者ではないのか?」
「……」
「その沈黙は肯定ということでいいのかな。やっぱり私の予想は当たっていたよ。」
「それでそれを聞いてどうするんだ?」
「どうもしないさ。別の世界の人間なのにこの國を憂いていることが分かって嬉しいのだよ。」
「そうかい。」
「おっと、そろそろのようだ。君もそうだろ?地獄で待っているよ。今度こそ憎たらしい君の首を…もらう。」
奴はその言葉を最期に塵になって空に消えていった。次は俺の番だ。もう感覚はない。異世界転生で剣の國に生まれてしまった時はどうしようかと思った。魔法もないし思っていた転生とは全く別だったが結構楽しいもんだった。
願わくば…この國が繁栄します…よう…に………
ここに剣の國の英雄と宿敵焔の戦いが終わった。
「……ーー」
ん?なんて?もう死んでるから声なんて聞こえないはずなんだけど
「ーーーーー:::ーー・・ー」
は?
目の前には金髪と茶髪の間のような色の髪を肩の下ぐらいまで伸ばした美女。そしてその隣にはハシバミ色の髪をした笑顔のイケメン。
「ーーーーー・・:・:ーー」
「ーーーーー___・・・ーーー!」
んー、言葉分かんねーわ。ただ二回目ともなれば流石に分かることもある。俺は、また異世界に転生をしてしまったと!
「あ、あうー。あう。」
あ、やばい。なぜか泣きそうになるのを我慢できない。これは赤ちゃん特有の本能か、それとも俺の悲観したような達観したような面持ちの心を表しているのか。んー、前者だな。誰がなんと言おうと前者だ。後者なんて思ってないからね?どんだけ生と死を体験させれば気が済むんだよとか思ってないからね?これでもワクワクしている自分がいるからね?あっ、
「あーーーーーーーん、おぎゃーーーーーん」
2ヶ月が過ぎた。ハイハイができるようになったので家の中をよく見て回ると結構大きな家だった。城みたいな所ではないけども一軒家にしては割とデカい。よし、父の書斎に入ることにしよう。この書斎にはたくさんの本がある。これでこの世界こ言葉を理解しよう!おー!
…よく考えればこの世界の文字は何一つ分からん。文字が分かんないから本読めねーわ。アッハッハー。はぁ。
どうしたら良いだろうか。え、諦めると思った?「諦めたらそこで終了ですよ。」って某バスケ部の先生が言ってたでしょうが。
そんなことを考えていたら何かに体を持ち上げられた。母だった。
「もう、レインったらまたここにいて。動き回っちゃ危ないでしょ。って、ここ書斎じゃない。レインは本が好きなのかな?」
レインって言葉だけは分かった。
俺の名前はレイン・スパーダというらしい。髪は金髪とは言えない茶色。瞳は蒼色。顔は中性的。女に見えなくもない。はぁ…
この日の夜から母が寝る前に読み聞かせをしてくれるようになった。よく分かんないけど、勇者のストーリーのようなものだったと思う。やっぱ違うかも。
更に1年が過ぎた。言葉も大分分かるようになった。そして、驚くべき事実が三つ分かった。
まず1つ目。父はここら辺の地主らしい。だからこんなに家が広かったのか。あ、悪徳地主とかじゃないからね。結構評判のいい地主らしい。
そして2つ目。父は元冒険者兼研究者らしい。なんだこの組み合わせかって思う。と思って父に聞いたら自分で研究している鉱石を現地まで取りに行ったら冒険者にハマってしまって、そのまま登録したら割といい所までいけたらしい。ちなみに母は冒険者ギルド本部の受付嬢。2人はそこで出会ったらしい。
そして3つ目。これが一番驚いた。なんとこの世界には魔法がある。そう、魔法がある。大事な事なので2回言ったが。ただネットでよくある異世界転生物のように魔法がなんでも使えるっていうわけではない。宿る魔法は一つらしい。
例えば父さん、グリス・スパーダの魔法は「遠視」。
これは遠くの物が大きく見えたり、近くの物を粒子レベルで観察したりと用途は様々だ。ただ、粒子レベルに達するまですごく苦労したらしい。
要は強そうな名前の魔法でも鍛えなければ宝の持ち腐れというわけだ。
この魔法というものは10歳の頃から発現しだして、15歳になるまでに固定される。
そして、魔法に関してもう一つ。この世界にはスキルというものがある。どこかのスライムの様にいくつもスキルを持つということは出来るはずもなく、先程と同様に一生に一つらしい。極稀にスキルを2つ持つような人も出てくるそうだ。この世界で成り上がる人間は持っていることが多いという。
このスキルの不思議なところは2つある。
1つ目は15歳の誕生日にスキルが発現するということだ。これを神の祝福というらしい。
神とかいんのかよ、この世界。
2つ目はさほど不思議ではないがスキルは成長する。普通は一段階だが稀に二段階進化するという。二段階進化するスキルはユニークスキルが殆どらしい。
これらの魔法とスキルを組み合わせて戦闘をするらしい。
ちなみに父さんのスキルは「急所突き」らしい。「急所突き」で弱点を暴き、「遠視」で確実に確認し仕留める。研究の方でも、少しでも柔らかいところや硬いところを見つけ「遠視」で緻密な作業をしていくといったところか。
それにしてもこれらの魔法とスキルで魔物と渡り合っていくには結構高い身体能力が必要になってくる。父さんすげーんだなぁ。偶にトレーニングしてるし。
母さん、サリー・スパーダの魔力とスキルも紹介しておこう。母さんの魔力は「追跡」、スキルは「料理人」。「追跡」はマーキングしたものを自分から半径5km以内で補足するというもの。「料理人」は食材を思い思いの味に出来るというもの。絶対に美味しくなるというものでもない。でも、母さんの料理は美味い。よって我が家の食卓はすごく豪華だ。
でも、この魔法とスキルの関係性は全くの皆無だ。魔法とスキルを組み合わせやすいかは運が必要だということがよく分かる。
そういえば母さんは俺がどこにいても見つけていたな。この魔法が原因か。
ぐ〜〜〜
腹減ったな……と思ったら扉のノックが聞こえ、母さんが入ってきた。
「レイン、晩御飯の時間よ。お父さんを呼びに行きましょう。」
「うん。分かったよお母さん。」
父さんを呼びに、仕事部屋の前に来た。
「お父さん。ご飯だよ〜。」
「おーう、今行くよ。」
3人で食卓につく。
「「「いただきま〜す」」」
やっぱり母さんの作る料理は美味い!