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86 強敵

 


『主様。私が戦います』


『お主だけで戦うと?力量差がわからないわけではあるまい。全員相手にしてやる』


「いや、いい。クレナイ下がれ。殺し合いじゃあないんだろ?」


『ああ。殺す気はない』


「なら俺がやる。殺し合いでもないのに全員でやるつもりはない」


『ご主人さまー…』


『良いのか?全員…とまでいかなくともそこの狸二匹と赤い蛇と白い狼と共闘すれば倒せるかもしれぬぞ?』


「倒せるとしても殺す気はないからな。別になめてるわけではないぞ」


『ふん。ならかかってくるが良い』


「クー太達は下がっていてくれ。クロも影の外にいてくれ。こいつなら本気を出すにはちょうどいい。最近本気でやってなかったからな」


 クー太達は何も言わずに下がってくれた。すまんな。

 結構ワクワクしている。なんだかんだで強くなりすぎて最近モチベーション下がっていたからちょうどいい。


「行くぞ」


 駆け出す。まずは小手調べだ。全力で踏み込み体当たりをする。


 ドンッ。


 翼で阻まれた。結構本気だったんだが…。

 一度距離を取り魔力全開で魔法を連射する。

 風球。水球。土球。火球。雷球。風刃。どんな攻撃が有効わからないので全てを放つ。

 かなり魔力込めたがどうだ?


『中々…。いや。十分強者だな。これなら山の上へ行っても多少は通用するが…それだけだな。お主は死ななくともお主の仲間は死ぬぞ?』


 全然効いてねーのかよ。


「ふはっ」


 いいな。レベルの低いうちは必死に戦ってたが最近はそんなことなかったからな。猿の群れや、巨大猿の時も結構本気でやっていたと思ったが全ての手札を使っての本気というわけでもなかったし。

 もういっちょ行くぞ?


『来い。我も反撃はするぞ?』


 そう言って巨大な鳥は両の翼を一振りする。それだけでこちらは蹈鞴を踏むほどの風圧だ。

 精神が研ぎ澄まされていく感覚だ。

 ぶっつけだが…クー太の【雷纏】をイメージして魔力を身体に纏う。なんとなくできる気がしたのだ。身体から紫電が出る。そして身体強化魔法を発動。

 一気に駆け出し鳥の顔を目掛け跳んで殴りつける。

 怪我は回帰や細胞活性頼りだ。ダメージ喰らうのを覚悟で殴りまくり、ゼロ距離での火球。


 ドバンッ!


 攻撃してくる気配がしたので火球の爆発の勢いで距離を取りまた魔法を撃ち込んでいく。

 その後、巨大な鳥も風魔法を使ってきたが全て躱せず身体は傷だらけだが構わず攻撃を続ける。


 特にどの属性が効くとかなさそうなので火と雷を。

 火と雷の魔法をひたすら使い、ランの爆炎を思い浮かべ着弾時に爆発するイメージで放つ。


 ドガンッ!


 ランのより威力は弱いが上手くできた。雷でも同じことをして撃ち込んでいく。

 どれくらい戦っていただろうか。

 巨大な鳥は体中焦げ跡や血が出ている上に呼吸は荒い。だがまだまだ戦闘はできそうだな。

 俺は…。


「はあはあ。ゲホッ…」


 声を出すのもきっついわ。でも思考はクリアだ。アドレナリンがたくさんでてるのかね。


『ご主人さまー!』


『主様!』


『『『『『『ご主人様!』』』』』』


『『ご主人!』』


 心配させたな。回帰を使うには魔力がちときついが…。回帰発動。


 ぐっ…。身体の痛みが消えていくと同時に頭痛と吐き気が…!


「おえっ…。ゲホゲホッ。うぇ…」


『何やってるの!回帰使ったの!?やめるの!』


「だ、大丈夫だ…。身体の、傷はなくなったろう…?』


『ご主人様バカなの!細胞活性だけにしておけばいいの!』


 あー、確かに…。でもあれ寿命減りそうで嫌なんだよなー。


『強かったぞ。全員で掛かって来たら負けていたのは我だったな…。魔力枯渇か。少し分けてやる』


 ん…?気持ち悪さと頭痛が引いていく。

 魔力の譲渡?こいつそんなこともできるのか…。


「ありがとう。傷治すか?」


『魔力は大丈夫か?大丈夫ならば頼めるか?我もこれでもかなりダメージが酷くてな。このままでは縄張りも守れん』


「ああ。今魔力を貰ったからな。一回くらい回帰使っても大丈夫そうだ」


 巨大な鳥へ回帰を使う。

 うっ…。自分に使うのと自分以外に使うのとじゃ消費魔力が多い…。


「ふぅ。今回は大丈夫そうだ。ギリギリだが」


『感謝する』


「ああ。俺も感謝するよ。楽しかった」


『ご主人さま大丈夫ー…?』


『無茶しないでよね!』


『そうですよ』


『本当なの!』


 ランとハク、ラックには怒られたが他の子達も結構心配したようだ。


「悪いな。だけど初めて本気を出したかもしれない。最近は張り合いが無くて驕っていたな。これからもっと強くならんとな」


『お主の名を聞いていなかったな』


「中野誠だ」


『マコトだな。覚えておく』


「お前の名前は?」


『今の我に名はない』


 今の?


「まあ、そうか。そんなに強くてもまだ魔物となって数日だろうしな」


『いや…。元々ここまで身体は大きくなかったが、以前からこの力は使えていたぞ?』


 そう言って風球を作る巨大鳥。


「どういうことだ?」


『そのままの意味だ。我は元々人に飼われていた。もう何十年何百年もの前の話だがな。長生きしてると不思議な力も使えるようになる。まあ我は天狗のやつに教わったが』


 はい?


「待て待て。元から?何百年?」


 ファンタジー化する前からファンタジーな生き物がいたのか?


『ふん。数日前に身体が作り替えられていくような不快な感覚があってな。ここまでの強さと身体を手に入れたが、以前は他の鳥よりも少し大きい程度で力もそれほどではなかったのだ。我のようなものは少なくともこの山には結構おるぞ?』


「まじっすか…」


 そんなことあるのか…。いやまあ…伝承とかが全てが作り話ではなく、実際の話もあるって可能性もなくはない…のか?


「まあいいか」


『お主軽いな』


「あんま深く考えたって答えなんて出ないしな。それよりお前より強いやつってのはそういう以前から魔法みたいなものを使えていたやつか?」


『それもいる。だが…アレは何て言うんだったかな。昔人間のところにいたときに見聞きしたことがあるが…。

 そうだ。竜だ』


 竜って…ドラゴンいるのか?テイムしたいんだが。


「竜?それはここ最近生まれたやつか?」


『そうだな。以前はいなかった。それと鷲の顔と翼を待つ四つ足の生物とかだな。あやつらは数日前に突然現れ、現れた時から強かったがどんどん強くなって言ってな。天狗のやつですら手を出さない』


 おい。どんな無理ゲーだよ。俺が世界初の進化者だぞ?人間じゃ魔物が本気で襲って来たら対抗できないんじゃないか?

 いや…驕るのはよくないな。こいつみたいな奴がいるんだ。人間の中にも元から魔力とか気とかチャクラとかそういうものを扱える奴がいてもおかしくはないか。


「了解。とりあえず今回は戻るよ。力を付けたら山の天辺を目指すよ」


『そうか。ならば竜を狩るときは我も手伝おう。あやつらはたまに我の縄張りまで入ってくるから邪魔でな。1匹くらいならなんとかなるが複数相手では我も勝つのは難しいのでな』


 複数いるのかよ…。まじでこの森にいる魔物片っ端からテイムして使役魔獣増やさないといけないかもな…。


「じゃあ世話になった。またそのうち来る」


『ああ。またやり合おう』


「ああ。次は勝ってやるからな。みんな行くぞ」


 巨大鳥とはそこで別れ移動する。とりあえず虫の縄張りに向かう。


「いやー。色々驚きだな」


『驚きだな。じゃっなーーい!心配かけさせないでよ!』


「悪い悪い。でも殺し合いではないと言ってたじゃないか」


『そういう問題じゃないわよ!』



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