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85 鳥の縄張り

 


 虫達の群れを過ぎてからは巨大なイモムシとかは出てくるが、群れでは出て来ていない。なんでさっきは群れで来たのだろうか。フンフが連れてきた?

 いや、そういうスキルはなかったしな。

 んー?まあいいか。


「カブトムシとクワガタムシだけテイムしよう。ある程度育成したらここの辺りを縄張りにさせて虫達を間引いてもらわないとな」


『かしこまりました。それではそれ以外は倒して移動しましょう』


「ああ。頼んだ」


 その後も魔物が襲ってきたがカブトムシの出現率が低い。クワガタムシはあの大群以外では未だに見ていない。


『主様。蜘蛛はどうされます?ラック殿も元々蜘蛛でしたが』


「あー…。どうするか…。蜘蛛が見えるのか?」


『ええ、上の方に』


 上を見上げてみると黄色と黒の縞模様の巨大な蜘蛛が蜘蛛の巣を張っていた。


「却下で。火球」


 キモかったので魔力を強めに火球を放つ。


「真っ黒とか真っ白なら考える」


『かしこまりました』


 はあ。なんで魔物はみんな大きくなるんだ。せめて虫や蟲は大きくならないでほしかった。

 カブトムシやクワガタムシとも会わずどんどん進んでいく。一時間は歩いただろうか。虫が出なくなった。というか何も出なくなった。


「魔物が全然いなくなったな?」


『いるよー?』


『いるわよ』


『たくさんいるの!』


「どこに?」


『ご主人様上を見てください』


 ん?ハクに言われるまま上を見ると樹上20.30メートル上に肉眼ではっきりとわかるくらい鳥がたくさんいた。結構大きくないか?


「いるな…。カラス達みたいに襲ってくるか?」


『いえ…。敵意はあまり感じませんね』


「なら放っておこう。あの数で来られたら面倒だ」


 鳥が大量にいるから虫達が見えなくなったのか。それからも魔物に襲われることなく、昼が過ぎていたので少し休憩する。


 俺もクー太達も食事はとりあえず魔石で済むし、これくらいで疲れるような身体ではないので別に昼休憩とかはしなくていいんだが気分的な問題だ。


 座ってクー太達を膝に乗せながら頭上を眺める。

 こちらを伺っている鳥もこちらのことなんか気にしていない鳥もいる。こいつら全員テイムしたら虫の駆除してくれるだろうか?というかなんで襲ってこないのだろうか?


『主様どうされました?』


「いや、あの鳥達なんで襲ってこないのかなーと。あいつらも魔物だよな?」


『魔石の反応はあるので魔物です。恐らく肉食ではないからでは?』


「んー?猿とか木とか肉食じゃないよね?」


『ああ。そうではなく魔物になる前の生態ではなく魔物として肉を食さないか、きのみや虫しか食さない。とかではないかと思いまして』


「魔物として、か。魔物の生態なんてわからんからな。元の動物に近い、ってことくらいしか。その可能性はあるか」


『後は群れのリーダーが居て統率されている。とかでしょうか』


「ああ。その可能性もあるな。大猿は巨大猿に従ってる感じだったし、他の魔物もそういうやつがいてもおかしくないか。そういえばきのみで思い出したがアキ以外のリスは見ないな」


『たくさんいるのです!みんな隠れてるだけです!』


「そうなのか?」


『リスかはわかりませんが小型の魔物がこちらを伺っていることはあります』


『そうですね。そういう魔物が煩わしくて威圧したら【魔圧】ってスキルを手に入れたんだと思いますし』


「そうか…」


『呼んでくるです?多分呼べばくるです。わたしと同じリスもモモンガとかも隠れてるだけだと思うです』


「いや…ちょっと惹かれるが今はいいよ。にしても…こうやって見ていると色んな種類の鳥がいるな」


『人面樹達も色んな種類の木がいましたですよ!』


「そうなのか?でも全員種族名は人面樹だったしな。犬も種類は違ったけど種族名は魔犬だよな」


『とりあえず全種族テイムしてみたら?』


「ラン…。それは面倒だ」


『でも全種族テイムしたら称号ってやつが手に入るかもしれないわよ?』


 おお…確かに!でも面倒だからいいや…。


『!?ご主人様!』


「どうしたハク?」


『なんか来ます…。かなり強いです。おそらくご主人様よりも…』


「!?お前がそういうって事は相当だろ。敵意は?」


 膝の上で寛いでたクー太達もいつの間にか起き上がっていたので俺も立ち上がる。


『今のところ敵意は感じませんが…』


『ご主人さまー。本当に強いよー』


「そうか。逃げられるか?いや…一応全員戦闘準備だ」


 バサッバサッ。

 ガサガサッザザザ。


 逃げることも考えたがすでに羽ばたきの音が聞こえたのでやめる。俺より強くても全員でかかれば大丈夫だろう。

 頭上から木の枝葉を折りながらクレナイよりも巨大な鳥が降りてきた。

 クー太達が何も言わないし、飛び出さないので俺も待機だ。目の前に巨大な鳥が降り立った。


『お前達。ここに何用だ』


 っ!?喋った!?

 いや…オーガも喋ったし…でもあれは人型だったからな…。どうする?逃げるか?奇襲するか?

 いや、対話する気があるというならこちらもそうしよう。強そうだが…全員で掛かればなんとかなるだろう…。


「休憩していただけだ」


『ふん。まあ我の配下の者に手を出していないところを見ると嘘ではないな。しかし…中々強そうだ。目的はなんだ?』


「山の上まで行こうと思ってな」


『何をしに』


「……訓練と物見遊山だ」


 なんとなく嘘付くのはよくない気がしたので正直に話す。


『ふん。やめておけ。山の上には我よりも強い奴らがおるぞ』


「忠告は有り難く受け取っておく」


『それでも行くと?』


「ああ」


『ふん』


 巨大な鳥はコチラへ顔を近づけて見つめてくる。俺も負けじと見つめていると巨大な鳥は顔を離し翼を広げた。


『ならば我を倒してみろ。訓練も目的のうちだろう?相手をしてやる』


 まじか。なんなんだこの鳥。そんなことしてなんのメリットがあんだ。


『メリットだと?お前たちはここの鳥達へ攻撃をしなかった。攻撃していれば我も容赦無く襲っていたが…悪い人間ではなさそうだしな。周りの魔物達から慕われているようだ。なのでこのまま死にに行かせるのは忍びないから訓練をつけてやろうと思ってな。不服ならば今すぐ去るが良い』


 おい。こいつ今心を読んだのか?

 はあ…戦わなきゃいけなさそうだな。


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