83 木
クー太とランが力試ししたそうにしていたがとりあえずそれは後にしてもらい、クレナイとハクだ。
少し移動するとまた大猿の群れ。今回は巨大猿はいない。サクッとハクとクレナイが倒した。二匹ともレベル25になったら進化するかな?と思って戦闘後にステータスを見てみたが大猿数匹程度じゃあレベルが上がってなかった。
『主様。動く木です。あそこの木から魔石の反応があります』
え?どこの木?わからないんだが…。
「わからんから攻撃しちゃっていいぞ?倒せるんだろ?」
『はい。尾突で魔石があるところを貫けば。ただ…魔石が壊れてしまいますが…』
「別に構わないよ。魔石はなんだかんだでたくさん貯まってきてるし」
『わかりました』
クレナイが尻尾を伸ばし一本の木に攻撃する。
「ギョエーーー」
物凄く変な声で木が鳴いた…。しかも攻撃された瞬間、人の顔…というかムンクの叫びのような顔が木の幹に浮かび上がったんだが。
他の木よりも小さいな。十メートルないか?クレナイが胴体を持ち上げたら樹上に届きそうだ七、八メートルくらいか?
『主様終わりました』
「あ、もう終わり?」
表情は消えていないが、アレでもう死んでいるらしい。
「クー太たちはこいつが魔物だって気づいたか?」
『気づいたよー?』
『クレナイに言われてから気づいたわ。放ってる魔力が普通の木よりも明らかに多かったから』
『私も言われてから気づきました。気にかけていればもう少し早く気づけるかと』
『わたしはわからないのです!』
『わからなかったっすね』
『うん…』
『ワタシはわかったの』
『僕はわからなかったにゃ』
『わたしもわからなかったです…』
クー太、ラン、ハク、ラックはわかったのか。
というかアキ起きてたのね。静かだから寝てるのかと思ってた。
「ビャクヤそんな気にすることないぞ?」
しょんぼりしているビャクヤを撫でてやる。この子はどうも他の子達と自分を比べて落ち込むな。まだ新参だから気にすることはないんだが…。
その後移動するとすぐにクー太が動く木を見つけた。
『ご主人さまー動く木いたよー』
『主様。テイムしてみてはどうですか?』
えー。あの木を?可愛くも格好良くももふもふでもないんだが。
まあテイムしてみてもいいか。
「んじゃあ俺が火球で弱らせてテイムしてみるな」
火力の弱めた火球を顔があるだろう位置に放つ。
「ギョエーー!」
あ、弱かった。今度は怒ったような顔でこちらに駆けてくる。意外と速いな…。
あんまボロボロなるまで弱らせてテイムしてもどうしようもないしな。回帰使う気にもならないし。
てことでこちらに向かってきた木を蹴り飛ばす。根を張っていなくても流石は木。倒れなかったので何度か蹴ってみる。
「ギョアー…」
動きが止まったな。木でもちゃんと痛みは感じるんだな。
「俺にテイムされろ」
「ギョアー…」
【動く木が仲間になりたそうにしています。テイムしますか?】
【Yes or No】
Yes。
【動く木が仲間になりました。テイムした魔獣に名前をつけてください】
「名前はフィーアで。アインス、ツヴァイ、ドライと名付けてきたから次は四でフィーアだ」
『ハイ!』
枝を使って敬礼してきた。しかも顔もキリッとしてる。テイムされる前と表情変わりすぎじゃね?
まあいいや。
「とりあえずここら辺にいてくれ。山の上まで行くから帰りにまた寄る」
『ハイ!』
また敬礼してきた。喋れないわけではないだろうがハイしか言わないな…。しかも発音がなんか変。あ、ステータス見ておくか。
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個体名【フィーア】
種族【人面樹】
性別【メス】
状態:【 】
Lv【5】
基礎スキル:【薙ぎ払いlv1】
種族スキル:—
特殊スキル:—
称号:—
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人面樹か…。トレントじゃなかったな。
しかも性別があるのか…。メスだし。どこがメス?物凄い凛々しい顔つきなんだが。
種族スキルがないところを見ると進化した個体ってわけではないんだな。
「んじゃ帰りに迎えに来るから」
アレだな。帰り道にテイムして連れて帰ればよかったのか。クレナイが言うようにここら辺の魔物を捕まえて支配してもいいんだが、そうすると指揮を取るリーダー的な個体を育てないとただの烏合の衆なんだよな。結局小屋に連れ帰ってレベル上げさせなきゃいけないし。
その後も大猿ともエンカウントしたが人面樹がたくさんいた。とりあえず出会った人面樹はテイムしておいた。フィーアを入れたら人面樹が十七匹仲間になった。
正直あんまり気は進まないがこいつら動けるけど基本その場から動かないっぽいし、フィーア一匹?一本?じゃ可愛そうだし、ここら辺を支配するかは置いておいて、小屋の周りにこいつらがいてくれればそれだけで防犯になるしな。
ちなみに名前は樹一でジュイチ、ジュジ、ジュゾウになった。全員五〜八メートルくらいの人面樹だ。
フィーアに強くなってもらってリーダーにさせよう。
ジュイチをテイムした時に俺がテイムしたやつと野生の魔物の区別は付くか聞いてみたら、クー太たちは野生の魔物とは魔力の質が違う上に俺との繋がりと似たものを感じられるから分かると言っていた。なのでフィーアのいる方角を教え合流しておくように言っておいた。
十六体全てに一応聞いたところ分かるそうなのでフィーアの元に集まっていてるように言っておいた。
そういえばアキが言っていたイノシシの魔物は出てこないな。
出現する方角が違うのかね?それか個体数が少ないのか。まあそのうち会うだろう。