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79 出発

 


 翌朝まだ薄暗い時間に起きた。小屋の方を見ると扉は閉じられ、小屋の前には親父達がテイムした魔物が寛いでいた。


『ご主人様おはようございます』


『主様おはようございます』


「ああ。おはようクレナイ、ハク。休めたか?」


『はい。それと主様が寝た後主様の御父様達が主様をここに寝かせて自分達だけ小屋で寝るのは良くないと。

 それで主様を小屋へ運ぶか自分達も外で寝るか、との話になりましたので、主様は気にされないから運んだり起こす必要はないと。それとせっかく譲ってくれたのだから小屋で寝るように私から伝えておきましたが、よろしかったですか?』


「あー、俺が外で寝るって言ってなかったっけ?ありがとうクレナイ。それで大丈夫だ。逆に寝ている時に運ばれたり無理に起こされた方が腹立つしな」


『ならよかったです』


「まだ朝早いがレベル上げに向かおうと思うがいいか?」


『はい。それでは全員起こしてきます』


『私も皆を起こしてきますね』


「なら俺はクー太達起こすから頼んだ」


 クー太やラン、フェリ、ラックは頬をつつくとむず痒そうに寝返りを打つので可愛いのだ。相手が俺だから安心して無防備になっているんだと思うと愛しさが込み上げてくる。

 アキ?アキはつついてもひっくり返ったまま反応しないからわざわざつついたりしない。

 ビャクヤとアメリはつつくとびっくりして起き上がってきた。

 ちなみにグレイは狸達のところで寝ているからクレナイ達が起こしてきてくれるのを待つ。


 クー太達を起こし、アキを掴み上げハク達が戻るのを待つ。

 飯はどうしようか…。魔石でいいか。

 洗っておいた魔石を一つ飲み込む。うん。空腹がなくなった。

 まあ魔石で空腹が無くなっても栄養素とかが心配だからたまにはちゃんと料理しよう。

 その後は顔を洗ったり山へ行く準備をする。


「あ。ラン、親父達の使役魔獣を連れてきてくれないか?」


『わかったわ』


 親父達に二日ほど帰らないかもしれないって伝えておかないとな。いちいち戻ってくるのは面倒だから山の上まで一気に行く。


『連れてきたわよ』


「ありがとう。さて、俺の言ってることはわかるか?」


「ワカリマス」


「あー、オーガのお前は片言だが話せるんだったな。それに皆頷いているってことは俺の言ってる事はちゃんと理解できてるな。

 親父達に伝言を頼む。俺たちは二日ほど出かけるからあまり無理しないように、と。それとお前たちは小屋の番と親父たちの護衛…まあこれは俺が言うことでもないか。

 メインのメンバーで行くから大多数の魔物はここら辺で特訓させるから何かあればここにいる奴らに頼れよ?お前たちよりも強い個体はたくさんいるから」


「ワカリマシタ」


 他の狼とかも頷いているので大丈夫だと信じよう。


『ご主人様全員起きましたので連れてきました』


「ありがとう。さて…アカイチ、リョクイチ、コクイチ、シロイチ。それとケンタ、イチロウ、タヌイチ、イタイチ、ドライ。お前達がコイツらの指揮を取れ。

 アインスとツヴァイは総括だな。お前達は同族の部下はいないから全体的に面倒見てやってくれ。

 ドライも部下は少ないから余裕があればアインス達と同じように頼んだ。

 俺たちはちょっと遠出して訓練してくるからな。戻ってきても基本今呼んだ奴らが全体の指揮と各種族のリーダーとしてうごいてくれ」


『『『『『『はい!』』』』』』


「訓練するか休息するかは各々に任せる。それとこの小屋を守るために誰かを残したりしなくてもいい。基本的にここは親父達に居てもらうからな。じゃあ解散」


 そこまで大きな声を出したわけではないので後ろまで声が届いてるかは知らないが、リーダー達には伝えたからいいな。まあ基本的に五感のスペックは人間より上だから聞こえてると思うが。


「じゃあ行くか。っと。その前にバット持っていくかな」


 両手にバット。それと食料や毛布を入れた鞄を持って、クー太を左肩。ランが右肩。アキは胸ポケットに詰め、ラックは頭。フェリとアメリは鞄の中。毛布の上の空いてるところだな。

 アウトドアや釣りなどをする人が着てるポケットが4つとかある服買った方がいいかな…。

 そしてクレナイ、ハク、グレイ、ビャクヤは歩きで合計十匹を連れて山へ向かう。

 耳や尻尾の変化も解く。変化している間は魔力を消費するわけでも窮屈ってわけでもないが、変化を解いている時の方が気持ち的に楽なのだ。

 まあクー太達は小さい状態に慣れすぎて違和感は全くないようだが。


 それにしても狸人になったから感じ取れる匂いが以前とは大違いだ。

 深呼吸をすると草や木、土などの匂いが鼻腔を擽り心地よい。


『ご主人さまやっぱり尻尾出してた方がいいー』


『そうね!』


 やっぱランとクー太は嬉しいようだ。グレイは特に反応を示さなかったが。


「親父達にまだ言ってないしな。なんか言うタイミングがなかったし。まあお前たちとだけの時は隠さないさ」


 クー太達と話しながら歩く。急いでレベル上げをすると言っても初っぱなから走ってまで急ぐ気はない。


「とりあえず戦闘はクレナイとハクがメインで。後ろからの敵や集団なら俺たちも参加する」


『かしこまりました』


『はい』


 移動を続け二十分。未だに魔物と出会わない。気配は感じられるが…隠れている、のか?

 まあ栗鼠とか蛇を無理に狩ることもないか。

 クレナイ達にもそう伝え進み続ける。


『そういえば主様』


「ん?」


『以前こっちの方で動く木の魔物を見ました。なかなか言うタイミングがなく報告が遅くなり申し訳ございません』


「それは気にしなくていいよ。それより動く木か…トレント?」


『あ!わたしもこっちの方でイノシシのヤロー見たでく!あいつら昔より凶暴でした!』


『そういえば自分も報告してなかったっすね。ご主人は以前カブトムシと会ったと言ってたっすけど、クワガタもいたっすよ。会ったのは森の出口の方でしたけどいい訓練相手っす』


「イノシシとクワガタね…」


 ミミズとかじゃ無ければ虫系…カブトムシとかテイムしてもいいかな?と考えたことはあったが、夜にあの黒光りしている巨大な虫を見たら無理だった。

 すでに相当な大きさだとわかってるし、昼間に見掛ければ驚くこともないからテイムしてもいいといえばいいんだが…。

 というかグレイはカブトムシ達とどうやって訓練しているのだろうか…。


「動く木もイノシシもクワガタもテイムしたとしても1匹だな」


『主様。ここら辺で動く木やイノシシなどをテイムしてここら辺の管理を任せたらどうでしょうか?』


「えぇー…。クレナイは俺がこの森を支配したら嬉しいのか?」


『はい!主様ならそれくらい余裕かと』


 いや、テイム数無限だから可能か不可能か聞かれれば可能だけど…


「気が向いたらテイムするよ」


『かしこまりました』


 今日はまだ魔物に会ってないからな。本日初の魔物はなにかな?



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