78 明日から。
「クレナイ、ハク。グレイとアメリ、ビャクヤもおいで」
『どうかされましたか?』
『どうしました?』
『どうしたんすか?』
『にゃー?』
『ごしゅじしゃまどうしたんれしゅか』
「ビャクヤ起こしてごめんよ?明日からの方針を話しておこうと思ってな」
ビャクヤはうつらうつらしている。これ幼いっていうより、もはやこいつの性格だな。
「ビャクヤそんな眠かったのか。すまないな。寝てて大丈夫だぞ。アキは寝てるし」
アキの方を見ると…あれ?いない?寝相が悪くて何処か行ったか?
『ご主人!わたし起きてるのです!わたしだけ呼んでくれないなんて酷いのです!わたしのこと大切って言ってくれたのはやっぱり嘘だったんですか…!』
あ、やべ。なんかまじで泣きそうな顔してる。
抱え上げて撫でてやる。
「すまんすまん。寝てるから起こしたら悪いと思って呼ばなかっただけでアキのこと大切だから大丈夫だぞ?…たまにうざいが…」
『最後!さ・い・ご!なんかボソって言ったのです!聞こえてるのです!うざいってなんですかー!』
うがーって威嚇しているアキを見て大丈夫そうだと判断する。マジ泣き寸前だったからびっくりしたぞ。もう少し優しくしてやるか。威嚇し続けても俺の撫でている手からは離れないアキをそのまま撫で続ける。
「とりあえず明日からの予定だな。レベルがいくつでクレナイ達が進化できるかはわからないからお前たち自身のレベル上げを優先させる。山の上を目指して俺たちでレベル上げに行くぞ。
ケンタやイチロウ、アカイチ達は進化してるから他の進化前や一回進化した段階の奴らはアカイチ達に任す。
タヌイチ達はまだ大狸か?まあタヌイチにはアインス、イタイチにはツヴァイを付けておけばいいだろう」
『かしこました』
『ご主人様よろしいですか?』
「どうしたハク?」
『どうして急に私達の進化を優先させるのですか?』
「ああ。それも話さないとな。山の上を見に行く予定は変えないが、そろそろ旅に出たいと思ってな。ただお前たちが今のままじゃ一緒に行けないからな。
進化して変化や身体のサイズを変えられるスキルを身につけられれば、と思ってな」
『そういうことですね。頑張ります』
『わかりました。私も頑張りますね』
『ご主人ちょっといいっすか?』
「ん?グレイどうした?やっぱりお前は森に残るか?」
『そうっすね。自分もついていきたい気持ちはあるんすけど、あいつらに任せるのは少し心配ですし、まだまだあいつらと格闘の訓練をしたいっす』
「そうか…。まあ無理強いはしないさ。クレナイ達だって進化してもスキルを手に入れられなくてここに残るかもしれないしな」
『ありがとうっす』
「それとハク。ビャクヤには明日今の話伝えておいてやってくれ。ここに残るか俺についてくるかも含めてな」
『わかりました』
そう。ビャクヤはうつらうつらしていたがいつの間にか地面にベターッと倒れて寝てたのだ。まあ問題はないが。
「アメリはどうする?アキは…くるだろ?」
『もちろんなのです!』
『僕は…悩むにゃ。ここは縄張り争いで襲ってくる馬鹿もいないから居心地いいにゃ』
「まあ出る時までに考えといてくれ」
『わかったにゃ』
さてと。ラン達が帰ってくる前に寝床の準備するかね。
何処で寝るか…って焚火の近くでいいか。小屋と焚火を挟んで反対側にブルーシート敷いてタオルケットを敷いて、バッグを枕の代わりにして…うん。終わり。後はクー太達を抱き枕にすれば完璧だな。
ん?ちょうど帰ってきたな。
『ご主人様ただいま』
『ただいまなの!』
「おかえり。ランもラックもおいで少し身体拭いたら寝ようか」
『わかったわ』
『わかったの』
戻ってくる時はランもちゃんと小さくなってるから拭くのは楽だ。水球で濡らしたタオルで拭いてあげ、汚れのついたタオルをもう一度出した水球の中に突っ込み、左手で水球の維持をして右手でタオルを揉み洗いしていく。
その後は物干しを作ろうと思い集めておいた枝を手に取りタオルをひっかける所を作っていく。
今までは小屋の梁に引っ掛けたりしていたのだが今は親父達がいるからな。
二本のYの字の枝を刺す。そのYとYの間に長めの枝を引っ掛け、物干しにする。焚火の近くだからこちらの方が良く乾くだろうな。そこにタオルを引っ掛けてから作った寝床に横になる。
扉開いてるし、声も聞こえるからまだ親父達は起きているみたいだし…焚火はまあこのままでいいか。
「じゃあ寝ようか。明るくても大丈夫か?」
『大丈夫ー』
『問題ないわ』
『問題ないの!』
他の子達も問題なさそうだからそのまま寝るか。
「クレナイ、ハク。イチロウやアカイチ達にもちゃんと休むように言っておいてくれ。じゃあおやすみ」
『おやすみなさいませ』
『ご主人様おやすみなさい』