71 迎えに。
唐突にテイマーのレベルが上がったと言われた。
このレベルが上がる条件がよくわからないよな。
Lv1はテイマーの職についた時点。
Lv2になるには多分二匹のテイム。
Lv3になるには変異体テイム。
Lv4になるには五匹テイム。
Lv5になるには五匹の進化。
Lv6になるには五匹のテイムと進化だっけか?
それで信頼度が一定でLv7になったと。
信頼度が一定になるのと変異体のテイムは、どの段階で行ってもテイマーのレベルは上がるんじゃないかね?
レベル8とか9になる条件は何だろうか。
テイムの数…はないよな。普通のテイマーなら十匹前後しかテイムできないのに、二百匹以上もテイムしてる俺のレベルが上がらないわけないし。
まあ考えてもわからないな…。そのうち勝手に上がるだろう。
『ご主人様ただいま』
「ランおかえり。少し汚れてるな?ちょっと待ってな」
クレナイたちは全員日が落ちたら戻ってきたが、ランだけは戻ってきていなかった。ランは強いから心配はしていなかったがそろそろ寝たかったしな。ちょうど良かった。
水球を出しタオルを濡らす。
濡らしたタオルでランの身体を拭いてやる。怪我はしてないが結構汚れていた。頑張ったんだな。
「よし!綺麗になった。ランあんまり無理するなよ?」
頑張ったようなのでたくさん撫でてやるとランは目を細め気持ち良さそうにしている。そんな喜ぶなら撫でてる方も嬉しくなるな。
「さて、そろそろ寝ようか」
『ええ。疲れたからもう寝るわ』
『一緒にねるー』
『あんま眠くないのです!』
「アキ…お前は寝すぎだ」
『今日も一緒なの!』
『僕もにゃ』
『わ、わたしも!』
「おお、ビャクヤも来たのな。いいぞ」
クレナイ達に全員いるか確認するよう言っといたが確認し終わっただろうか?
「クレナイ!全員いたか?」
『はい。大丈夫です』
「ありがとう。なら今日はもう寝るよ。クレナイも休んでくれ」
『わかりました。おやすみなさいませ』
『ご主人様おやすみなさい』
『おやすみっす』
『私も一緒に寝る….』
「おう。フェリもおいで」
今日も全員くっついて寝る。この子達とこれだけくっついて寝るなら冬でも暖かそうだ。
さて…明日はどうするかな…。やっぱり訓練か。クレナイ達が離れてる間指揮するメンバーがいないと困るしな。
俺はどうするか…。ああ…いいや。眠くて考えがまとまらない…。
「みんなおやすみ」
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んーーーっ。
よく寝たな…。
隣を見てみるとアキがひっくり返って寝てるだけで他の子は居なくなってる。だいぶ寝過ごしたか。
小屋から出るともう陽がしっかりと昇っている。木々の間から陽の光が漏れている。
この小屋の周りの木々と上の枝でも切るか。
そうすれば洗濯物干せるしな。着替えだってそんなたくさんあるわけじゃないし。
『ご主人さまおはよー』
『ずいぶん寝てたわね?』
『おはようなの!』
「クー太、ランおはよう。疲れてたんだろう。お前達はなにしてたんだ?」
『水あそびー』
『ラックが訓練だ、って水球出してたからそれで遊んでたのよ』
『そうなの!』
「そうか。身体拭くか?」
『いいわ。陽も出てるしすぐ乾くわ』
「了解」
『ご主人様おはようございます』
「おはよう。クレナイ今日も頼むな」
『お任せを』
「クー太達も今日は訓練しておいで」
『わかったー。ご主人さまは今日もビャクヤとー?』
「いや…」
どうするかね。変化の練習して尻尾と耳をうまく隠せるようになったらクロを迎えにいくか。変わりにコクジとかコクゾウとか潜影を覚えてるやつを親父達につけるかな。
コクイチやドライ、ビャクヤでもいいが…あいつらは優先的に強くなっておいてほしいからな。
「変化の訓練をしてるよ。その後は一回街に行ってくるかもしれない」
『ならボクも行きたいー』
「すぐ帰ってくるから待っててくれ、な?」
『むー。わかったー…』
「クレナイ、ハク。みんなもそういう感じで頼む」
いつのまにか周りに集まってきた子達へ今日の予定を伝える。
その後はクレナイが小屋へ顔を突っ込みアキを捕獲し、狩りをしに森へ散って行った。
俺は大黒蛇を四匹、コクジ(黒二)〜コクゴ(黒五)と一緒に小屋で待機する。というか訓練だな。
「コクジ。耳と尻尾隠れてるか?」
『はい!隠れてます!』
「ならよかった」
一時間ほどで耳と尻尾を隠せるようになった。
変化を使うのに魔力を使ってる感じはあるがこれを維持するのは全くと言っていいほど魔力使ってないな。多分。
んじゃあとっとと行って帰ってくるか。今は十時前だし急げば昼ごろには戻ってこれるだろう。
小屋は見張りとか居ないけどいいか。
あ、その前に俺とコクジたちだけだから今のうちに木々を伐採しちゃうか。
風球…じゃあ厳しいか。
クー太の風刃をイメージして手を振り木の根元へ飛ばす。
おー、できたできた。クー太達使役してる魔物のスキルなら意外と簡単に使えるんじゃないだろうか?潜影でも練習してみるか?
意外と綺麗に切れたのかなかなか倒れないな?切れてるよな?
ズズズズズ……ズドンッ!
おー、倒れた倒れた。一本切るだけで陽当たりがよくなったな。
あ…俺たちとは反対の方へ倒れたが、倒れる向きとか全然考えてなかったな…。小屋には当たらなかったが気をつけないと。
その後はちゃんと倒れる向きを考え風刃を使い木々を倒していく。
ある程度倒した後は風刃で木々を小さく…といっても一メートル大だが。適当な大きさに切っていく。下から見たらわからなかったが木は小さいもので十メートル、大きなのは三十メートルくらいはあるのではなかろうか。
こんなのが瞬く間に生えたと思うと本当凄いな。
木の成長力が凄いのか。魔力や魔法が凄いのか。それかあの声の神様っぽいのが凄いのかわからんが。
切った木は一箇所に纏めておく。
バラバラになった木が散乱してたら何があったのかと心配させるだろうしな。纏めておけば俺が意図的にやったことだとわかるだろう。
「じゃあ行くか。お前達は影に入っててくれ。全力で走る」
『『『『わかりました!』』』』
四匹が影に入ったことを確認し、木々の合間を走る。
自分でも驚くほどの速度だ。全力じゃなくても車よりも断然速い…。全力で走ると電車と追いかけっこしても勝てそうだ。
歩いて一、二時間かかった距離を十分ほどで走りあっという間に森を抜けた。
速度を落とし避難所まで向かうが、道中に魔物がたくさんいる。この前はこんなにいなかったよな?日に日に増えてるのか?
走って避けるにも限度があるほど魔物が溢れてた。緑のゴブリンに赤のゴブリン?多分ゴブリンだ。それに俺より背のデカイやつが何種類も。オーガとかオーク、トロールだろうか?テイムしないと名前がわからないのは不便だな。それと魔犬。多分魔犬だ。凶暴そうな柴犬とかチワワとか…魔物だよな?
俺がテイムしたやつらはあんな凶暴そうじゃないんだが…。
とりあえず一旦森まで戻る。
さて…どうするか。いちいち倒してたらキリがないし、集られても面倒だしなぁ…。クレナイの体色変化でもできないかな。
魔力を意識し、腕が透明になるイメージをしてみる。
んー…できないか。戻ったらクレナイにコツでも聞こう。
仕方ないから強行突破か。デカいやつは結構強そうだけど、脅威は感じないし何とかなるだろ…。
『ご主人様。我々も出ますか?』
コクジが…コクジだよな?まだこいつらの判別がちゃんとできん。とりあえずコクジでいいか。
コクジが顔を出し自分達も出て戦闘するか聞いてくる。
「いや、大丈夫だ。真面目に戦闘はしないからな。蹴散らして進む」
透明になれればなー。と思いつつ避難所へ進む。速度は結構上げ俺に襲い掛かろうとしたやつを振り切り、振り切れない正面から出会った敵は殴り飛ばす。
「あー。うざい…というか避難所不味くないか?こんだけ魔物が溢れてたら確実に襲われてるだろ。もう少し急ぐか…」
避難所である学校に着くと壁や門は壊され、校舎の入り口も破壊されていた。
「おいおい。親父たちはクロがいるから大丈夫だろうが…こりゃひどいな。メイたちは無事か?」
屋上から戦闘音がするな。親父達かね?なんとなくクロがいる気がするのでジャンプして屋上に上がってみるか。今なら十メートルや十五メートルくらいなら飛び上がれると思うんだが…。
勢いをつけ飛ぶ。
お、おおー!飛べるもんだな!そのまま屋上へ着地。
俺凄くないか?というか風魔法で空とか飛べないかな?
なんて考えてたら、屋上にいた人とゴブリン、オーク?が俺を凝視していた。
おお。全員知ってる顔だ。クロとメイ、親父の三人…二人と一匹が戦っていたようだ。
お袋とミミも全員バット持っている。
そういえば俺バット全然使ってないな…。
とりあえず硬直しているゴブリン達に突っ込み蹴飛ばす。周りのオークも殴りつけすぐさま十匹いたゴブリンと三匹いたオークを倒しきる。
「みんな無事だな」