閑話 クー太・ラン
—————— クー太 ——————
ご主人さまと会う前ボクはいつもみたいに太陽が昇っているときは自分のおうちでゆっくりしてたの。そしたら突然草がたくさん生えてきて木が大きくなって、慌ててお外に出て振り返ったらおうちがなくなっちゃった…。
気に入ってたのに…。
仕方なくお外に出て新しいおうちを探そうとふらふらしてたら小さい赤い蛇さんが襲いかかってきて…びっくりしたけど弱かったのー。
またふらふらして小さな赤蛇さんと戦って。
そしたら人間さん、ボクのご主人さまに会ったのー。
その人間さんは怖い気配はしなくて、ボクを見つけると何かゴソゴソしはじめたから、何してるのかなーって見てたらボクの方に何かを投げてきたの。
甘い匂いで美味しそうだったから食べたらやっぱり美味しかったー。
またくれるかなー?って思って移動した人間さんについて行ったら頭を撫でてくれて、なんとなくこの人と一緒にいたいなー。って思ったら、いつもはぽや〜ってしてた頭がはっきりしてきて、テイムされたって理解できたの。
それがボクとご主人さまとの出会いー。出会えてよかったのー。
その後は一緒に闘ったり、たくさん撫でてもらったり、ランが仲間になったり、クレナイやハクと戦って。アキにクロ、ラックも仲間になった。
森では人間さんを見つけたり、ご主人さまと離れてレベリング?狩りをしたり、ご主人さまが戻ってきてからまた肩の上でのんびりしたり。
ご主人さまの肩にいるとご主人さまの手がたまに伸びてきて撫でてくれるから肩の上にいるの好きー。
森から出たら、ご主人様のお家へ行ったりお父さんとお母さんに会ったり、アメリが仲間になって。
森に戻ってきたら凄い数の魔物をハク達が集めてご主人さまにプレゼントしてたの。
ボクも捕まえてきたら褒めてくれるかな?今度捕まえてこよう。
いつもご主人さまはボクのこと頼りにしてくれるの。それに頭も撫でてくれるし、たまに身体をマッサージ?してくれるの。あれ気持ち良いー。
そうやってご主人さまといるとたくさん仲間が増えて、進化して、色々なことがあって楽しいの。
それにボクは小さくなれるからずっとご主人さまといれるのー!
少し前にご主人さまが新しく仲間になったビャクヤって子と訓練に行っちゃって1人で狩りしてたらご主人さまの気配が、ぶわーってボクがいるところまで来た時はびっくりしてすぐに駆けつけたんだけど無事だったからよかった。
それよりもご主人さまの耳と尻尾!なんか気持ちが溢れてきて。
『違うのー!耳と尻尾一緒!』
咄嗟に言葉が出てきたの。
大好きなご主人さまがボクとお揃いだったのー!
あ、ランも一緒だよ?でもボクとも一緒!
凄く嬉しかったー!
ご主人さまもそのうち尻尾が4本になるかなー?
なったら本当にお揃いだからなって欲しいなー。
その後ご主人さまの訓練に付き合って、ボクに頼ってくれるから嬉しいのー。でもあんまり上手くアドバイスできなかった…。
ご主人さまはきっとまたすぐに森を出ていくの。
ボクもそうだけど、きっとランもクレナイもハクもみんなついて行きたいと思うー。
ボクは必ずついて行くけど、できればハクとクレナイとも行けたらいいなー。
—————— ラン ——————
私のご主人様は適当で面倒くさがり屋!
仲間が増えたから仕方ないけど私のこと置いてくなんて!置いてかれるとやっぱり少し寂しい…。もう仲間増やさなくていいのに。
初めてご主人様と出会った時はクー太だけで、なんであいつは人間といるんだろう。この人間はなんで私のこと見てくるのだろう。って思ったわ。
あの頃は人間が言っていることなんてわからなかった。今だとご主人様はもちろん、ご主人様のお父さんやお母さん、メイ達がなに言っているかちゃんと理解できる。やっぱり私テイムされる前は知能が低かったのかしら?
あの時のご主人様はなんか喋りかけてくるし、ずっと見てくるくせに悪意がない人間って認識だったわ。
クー太は、「おいでー」とか「落ち着くよー」とかよくわからないこと言っていたっけ。今なら意味がわかるけどね。
そしてご主人様は丸い石みたいのを転がしてきたから少しびっくりしたけど、その石は食欲を誘ってきて、食べたら意外と美味しかった。というより力が出てくる感じがしたわ。
その後はクー太とご主人様は離れて行ったから少し気になって追いかけてみた。少しして私に気付いたご主人様は手を伸ばしてきて頭を撫でられた。
なんでか凄く気持ち良かったわ。もっと撫でて欲しいって思った時テイムされたわ。最初はなんかこの人間と繋がりが出来た?って思っただけだったけど「ラン」って名前をもらった瞬間わかったわ。
ああ。この人が私のご主人様になったんだ。って。
それからはクー太と共闘したり仲間がたくさん増えたりして…。
そうよ!仲間増やしすぎなのよ!
森を出る前に出会ったラックまでの9匹だけで充分なのに何百匹も…。まあ少しの間なら我慢できるからいいわ。でも長期間何処かへ行くなら絶対ついて行ってやるわ!
少し前にご主人様がビャクヤを訓練しに行く時は、索敵が苦手なご主人様だからこっそり追いかけたらバレないとは思ったけど…見つかって怒られたら嫌だからやめたわ…。
仕方ないからクー太達とも別れて私だけで狩りの時間。でもここら辺の魔物は弱いし、群れでも二、三匹だし…。弱い者いじめしてる気分になるから楽しくないわ。
前なら食べたりもしていたけど…今はご主人様の魔力とか魔石食べてればお腹は空かないし、菓子パンとか缶詰?とかの方が絶対美味しいもの。
私だけで狩りしてたらご主人様の魔力が膨れ上がったから何があったのかと思ったらピンピンしてたわ!あんまり心配かけさせないでよね!
でも尻尾と耳を見てそんな気持ち吹き飛んだわ。
クー太が凄く喜んでご主人様に飛び込んでたけど、私だって凄く嬉しい!
『お揃い…ふふ…』
多分誰にも聞こえてないと思うけどつい口に出ちゃったわ…。
でも…私達とお揃い。ご主人様と一番のクー太と二番の私。なんか特別感を感じたわ。
普段は仲間達に順番だとか上下とか気にしないけど、二番目に仲間になれたことは私の誇りだから。
ご主人様はきっと凄い人間になる。今でも知っている人間とは比べ物にならないけど、きっともっともっと凄くなる。
だから私はそんなご主人様についていけるように、クー太に負けないように頑張らないと!
その後はまた狩りに出てるけど、ご主人様もクー太もいない狩りはあんまり気が進まない…でもクー太がいない時に頑張ってクー太に追いつかないとね!
クー太はご主人様の初めての仲間だし、特別なのはわかるけど今じゃ何百匹もいる仲間の中で私は2番目なの!強さだってきっとクー太の次には強いわ!ハクとクレナイも強いけど…彼女達とはなんか張り合う気が起きないのよね…。
とりあえずクー太ばっか褒められるのは納得いかないし二番だからって、同じ狸の耳と尻尾だからってそれに甘んじてられないわ!頑張らないと!
次回からメインの話に戻ります。