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68 霊狸

 

 決めました。まあアレだね。きっと俺のこと知っている人は…多分ハク達は予想できるだろう。


【使い魔作成(特)】!


 霊狸ってのが気になって気になって…。

 狸をたくさん召喚できるってのも魅力的だしね!

 それに魔力次第で永続的に顕現って、つまりはラックのような仲間が増えるってことだよな。


 さて。爪を剥ぐのも髪を抜くのも嫌だけれど、少し切ればたくさん毛は取れるしたくさん使い魔作れるんじゃね?ってことでやってみる!

 髪の毛を包丁で少し切る。これだけで掌にある毛は数えるのが億劫になる程だ。


 コレを…どうすればいいんだろうか。


「霊狸作成!」


 掌に魔力を込め、霊狸がどんなものか分からないのでイメージではなく、霊狸を作ることを強く念じ、髪の毛を投げる。


 ポンッ!ポポポポポポポン!


 地面、空中、とにかく目の前を埋め尽くすほどの半透明の青白い狸が現れた。


『『『『『『ご主人様ご命令を!』』』』』』


 狸の幽霊か!このスキル強すぎないか?魔力が結構減った気がするが大量に魔狸と霊狸を作ったら物量戦ができるな。

 あ、でも能力はどうなんだろうか。



 ————————————————————


 個体名【■■】

 性別【■■】

 状態:【使い魔】

 Lv 【■■】

 基礎スキル:【噛み付きLv2】【体当たりLv2】


 種族スキル:—


 特殊スキル:—


 称号:—


 ————————————————————



 え?

 名前と性別、レベルが見えない。使い魔はその3つは無いのか?


 これじゃあ強さがわからないな…。


『『『『『『ご主人様ご命令は!?』』』』』』


 なんか命令の催促をしてきた…。


「いや…特にないんだが…」


『『『『『『!?!?』』』』』』


 おい!全員で、目を見開いてからしゅん…。って感じで下向いて落ち込むなよ!俺が何かしたみたいじゃ無いか!


「あー、いや、お前らがどんな存在が見てみたかったしな…」


 下を向いたままだ…。くそ。


「ならお前らがどんなことできるか見せてくれるか?幽霊みたいに俺の身体を通り抜けたりできるのか?」



『『『『『『できます!』』』』』』


 お、おう…。

 どうするか…。


「お前達でここら一帯にいる魔物を挑発してここに連れてくることとかできるか?」


『『『『『『できます!』』』』』』


「な、なら頼む」


『『『『『『はい!』』』』』』


 わぁーーーっと散らばっていく霊狸。

 たくさん召喚するのは時と場所を考えよう…。


 十分ほど待つと霊狸達が戻ってきた。


『『『『『『連れてきました!』』』』』』


 ポンッ。


 え?一斉に消えた…。

 命令したことを達成したから消えた、とか?

 それともただ込める魔力が少なくてこの命令を遂行するだけで限界だったのか。多分魔力が少なかったのだろうな…。

 扱い難しいわぁ…。


 ドドドドド。


 あ、やべ。あの数の霊狸がここら辺の魔物を集めて消えたってことだよな?

 俺としては霊狸も頭数に入れていたんだが…。


「ビャクヤ来い!」


『はい!』


 ビャクヤを抱え、音がする方…と言っても全方位から魔物の匂いと音がする…。

 逃げてもいいんだが…とりあえずやれるだけやろう。


「火球!火球!火球!」


 周りに向けて火球を無造作に放つ。

 火に怯えて逃げてくれれば良し。そのまま死んでくれれば良し。

 無理そうなら逃げる!だ。


 ドンッ!ドンッ!ドンッ!


「ギャー!」


「キキー!」


 猿達の叫び声が聞こえる。


 野球ボールくらいのを連射しているせいか巨大猿とやった時より威力が弱い。が、叫び声を聞く限りなんとかなるだろう。きっと。


 その後も連射し続け、周りが火の海になる。


 うん?やりすぎかな?火の手が近づいてきたのでそこへ水球を打ち込む。


『ご、ごしゅじんさま!す、すごいのですけど、だいじょうぶですか!?』


「大丈夫だ。…たぶん」


『た、たぶんですか!?』


「大丈夫だ」


 大丈夫かなー?森林火災とかにならないか?いや、水球を連射すればいい。頭痛もふらつきもないから魔力はまだあるだろうし。

 十分時間をおいたので水球を火の海に打ち込み消火していく。


 煙がすごいなー。


『ご、ごしゅっ』


 ビャクヤがパニックになっているので抱き抱えた状態で頭を撫でてやる。

 なかなか触り心地はいいな。


 火と煙が収まってきたのでビャクヤを下ろしてやる。

 撫でている間に落ち着いたようで少し辺りをキョロキョロするだけで慌てている様子はない。

 さて、どうなったか…。


 おー…。やっぱやりすぎたかな。俺らを中心として草木が完全に燃え、死体がまばらにあるが…結構吹き飛んでそうだな。これじゃあ生き残りはいないだろう。


 ガサッ。


 ん?音がしたな。生きてる奴がいるのか?ぐるっと360度目を凝らし見てみる。


 お、アレは巨大なやつか?巨大猿なら生きてても不思議ではないが…虫の息だな。


「ビャクヤあいつやれるか?攻撃してみてくれ。頑丈だから歯が立たなそうなら俺に任せてくれていい」


『はい!』


 ビャクヤは巨大猿に近づき喉元に噛みつく。

 うーうー言って噛み付いてるが…文字通り歯が立たないってことでいいのだろうか。


『無理そうです!』


 やっぱ無理か。まあ攻撃したし経験値は入るだろ。

 俺は包丁でトドメを刺そうと思ったが、あの硬さだと刃が折れそうだから火球を打ち込む。


 ドンッ。


 巨大猿はそのまま燃えて動かなくなった。

 よし、魔石取るのは諦めて移動するか?ここら辺の魔物が集まってきたならここにいても当分襲われることはないと思うが…。


『ご主人さまー!!』


『『ご主人様!!』』


『主様!』


『『ご主人!』』


『大丈夫…?』


『ご主人様大丈夫なの!?』


『なにがあったにゃ!』


 あー。全員集まって来ちゃった。全員と言ってもクー太、ラン、ハク、クレナイ、アキ、グレイ、フェリ、ラック、アメリの幹部と幹部候補?の九匹だが。

 幹部候補はアメリだ。アメリだけは【制限解除】を覚えてないからまだ候補だ。


 よく見るとハク達の後ろからアインス達も来てるな。

 火球の音にびっくりしたか?


『魔力が突然膨れ上がって、すごい音がしたけど…これはなにがあったよ?』


「あー。心配かけたか?すまんな。スキルを試してたら魔物が集まっ…おっと。」


『ご主人さまー!?』


 クー太が飛びついて来た。


「どうした?そんな心配しなくても大丈夫だぞ?」


『違うのー!耳と尻尾一緒!』


 間延びした話し方じゃなくなっている。どうしたクー太。

 一緒?

 ああ。戦闘ですっかり忘れてた。横の耳を、ではなく頭部にある耳を掻く。人間の耳はもうなくなったのだ。


「お揃いだぞ?」


『お揃いー!』


『本当だわ!なにそれ!私達と一緒ね!』


 クー太もランもテンション高いな。でも嬉しがっているようだしよかった。


「進化してこうなった。どうだ?」


 尻尾をふってみる。


『お揃い嬉しいー』


『ご主人様それはどうされたんですか?』


「狸人っていう獣人の一つに進化したんだ。」


『ご主人様も進化ってできたんですね?クー太さん達と同じでとても可愛らしいです』


 だろ?

 尻尾を動かす感覚が新鮮で楽しい。耳は自分の意思で動かせないが…。



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