31 魔法だった。
30話の最後に風魔法と書いたのですが、風球に変更させていただきます。
『連れてきたよー』
『主様の帰還気付かず申し訳ありません。おかえりなさいませ』
『ご主人!おかえりなのです!たくさん敵をたおしたのです!』
「お、おう。ただいま」
ステータス内容に驚いていたらクー太、クレナイ、アキがやってきた。
ランのステータスに魔法っぽいものがあったがクー太のステータスってどうなっていたっけ。進化してから確認していない気がする。
後でちゃんと確認しよう。
「全員揃ったな。先に彼女らと新しい仲間を紹介しておこう。新しく仲間になったのは大黒蛇のクロと魔狸のグレイ、魔鼬鼠のフェリだ。クロは以前クー太に捕まったやつだな」
『よろしくお願いします。クレナイと申します』
『アキなのです!よろしくです!』
『よろしく』
『グレイっす!よろしくっす!』
『よろしくね…』
五匹は各々の自己紹介をする。こいつらはお互い話せるからな。メイとミミ、藤堂は何言っているかわからないだろうから俺から紹介するか。
「大赤蛇のクレナイと大栗鼠のアキだ。んでメイにミミに藤堂だな。明日まで一緒に行動することになったからよろしくな」
『かしこまりました』
『わかったのです!』
「メイ達はもう少し待っててくれ。クレナイ達はお互いのこと話しながら待っててくれ。先にステータスの確認をする」
さて。ハクのレベルが四なのは経験値の持ち越しがあったからかな。
ランは風纏と風球、ハクは魔纏だな。
風球はウィンドボールって読めばいいのか?普通にカゼダマ?ガザダマかな?
ルビを振って欲しい…好きに呼べばいいだけなんだけどさ…
魔纏もそうだが、魔法っぽいんだよな。
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【風纏】
・風を纏うことができ、速度が上がる。
【風球】
・風属性の魔法。魔力で圧縮した風の球を放つことができる。
【魔纏】
・魔力を身体に纏わせる。魔力を纏うことにより身体能力が上がる。
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あー。やっぱり魔法なのね。俺も使いたいなー。
魔纏と風纏はそのままだな。魔力を纏うか風を纏うか。魔力ってのがイマイチどんなものかわからないが。んで、速度特化と身体能力向上か。
ハクの身体能力がどんどん上がっていくな。
これ、俺にも上乗せがあるのだろうか。【テイム(特)】にテイムモンスターの能力が一部俺にも入ってくるようなことが書いてあったが、どれくらいなのか未だによくわからない。確かに俺の身体能力も以前とは全然違うのはわかるのだが…。
そして、風球な。風属性魔法。羨ましいな。
とりあえずランとハクに試してもらうか。
「ランとハクおいで」
『どうしたの?』
『どうかしました?』
「スキルにランは風纏、風球。ハクは魔纏ってのがあるから試してもらえないか?使い方がわかればだが」
『うーん?多分わかるわ』
『そうですね、なんとなくですが新しい技が使える気がします』
「ならハクから頼む」
『はい』
ハクは集中して…なんか熱気というか圧力のようなものを感じるな。これが魔力か?見た目に変化はないが…。
『ご主人様これでよろしいですか?』
「あぁ。やっぱりスキルを使ってるんだな。どんな感じだ?」
『そうですね…。力が漲る感じがしますね』
「了解だ。次の戦闘はその状態でやってくれ」
『わかりました』
「次はラン。やってみてくれ」
『わかったわ』
ふわっ。風が顔を撫でた。
ランの周りの落ち葉が揺れ動いていて、確かに微風を纏っているのだろう。
「説明文に速度が上がると書いてあったが、速く動けそうか?」
『うーん。なんとも言えないわ。走ってみてもいい?』
「いいぞ」
許可した瞬間ランが走り出し、瞬く間に俺の後ろの方へ移動した。なんとか目で追えたが、風のように移動した。って感じだ。
『ご主人様!凄いわ!風に推されてるって感じで気持ちが良いわ』
そう言ってランは先程の位置まで戻ってきた。
「速かったな。今までの倍くらい速くなったか?」
『そうね。だいぶ速く走れるわ』
「あ、ハクの魔纏もそうだがどれくらい持続できる?」
『多分結構な時間纏ってられるわ』
『そうですね。明確にどれくらいかは分かりませんが、すぐ使えなくなるって訳ではなさそうです』
「なら戦闘で常用しても問題なさそうだな。じゃあ風球を頼む。そうだな、あそこの木にぶつけてもらえるか?」
『わかったわ』
少し離れた木を指し放ってみるように言う。
ランはそちらに向き、集中する。するとすぐさまランの鼻先の方に薄緑だろうか?夜目を持っていても暗いことに変わりはないから色がイマイチわからない。
というか風なのに色があるんだな。いや、魔力の色なのか?
まあ色の付いたバスケットボールくらいの球が出来上がり、飛び出す。
ドンッ!
凄い音がし、木が抉れたように丸く凹んでいる
え。威力強くないか…?
「な、中野さん!今の音なんですか!?」
「そっちから聞こえました…よね」
「な、なんの音?貴方がなにかやったの⁇」
大きな音に反応し三人が駆け寄ってきた。
あー、驚かせたか。まあ突然あんな音がすればな。俺も驚いたし…。
「すまんすまん。ランにスキルを試してもらっていたんだ」
「敵じゃないのね。でも、いくらライトを三つも付けて照らしていると言っても、私達この暗がりじゃ貴方達が何やってるかあまりわからないのよ。説明くらい欲しかったわ…」
藤堂に怒られてしまった。
素直に謝っておく。確かに説明くらいすれば良かったか。
にしても…風球一発で大猿くらいなら即死なんじゃなかろうか。
『ご主人様。これあんまり連発できないわ。四、五発で魔力?ってのが無くなりそうよ』
「わかった。ありがとうな」
あの威力の球を五発撃てれば充分だ。ランは基本速さを生かした接近戦だしな。
「ねぇ。そろそろ移動しないかしら?野宿するにしてももっと開けたとこか、出来れば建物が良いわ…」
「確かに、そうだな…」
『ご主人様。言い忘れていましたが狩りをしている時建物を見ましたよ。木が生えてましたけど』
ふむ。崩れてないのだろうか?まあ街へ行った時も木に貫かれても形が残っている建物は結構あったしな。酷いのは風化したかのように崩れていたが。
行ってみるか。昼間から狩りばかりでみんな疲れているだろうしな。
俺は何故かこんなに歩いたり闘ったりしていたのに全然疲れていない。不思議だ。
「ハク案内できるか?」
『はい。大丈夫です』
その建物にメイ達三人と護衛で誰か待機させてレベル上げに繰り出そうか。
クー太たちのステータスは移動してから確認しよう。今確認したらまた色々試したくなりそうだしな。
「みんな。移動しよう」