表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/250

27 動揺

次の投稿は少し間があくかもしれません。

 

 ライトを向けた先にはなにもいなかった。かのように見えたがコレ、アレだよな?通常時のクー太よりデカいんだが。


 そこには灰色の森狼並の大きさの立派なツノをもつカブトムシが居た。


「きもいわ!」


 襲ってくるわけではなかったので一目散に離れる。アレはダメだ。あのサイズの虫は無理です。カブトムシかっこいいと思っていたこともあるよ?別に嫌いでもないし。

 でもさ、中型犬サイズって厳しくない?うちじゃあ飼えません。それに暗がりでこんな大きな虫を見たら誰でも驚くだろう…?


 それにしても…あんな大きかったら木の割れ目から漏れ出る樹液程度じゃ満足できないんじゃないだろうか…。

 どうでもいいな。気を取り直して他を探そう。


 また出来るだけ音を立てながらウロウロする。

 また音が聞こえた。そこにレベルアップによって上がった身体能力を全力で使い移動し、ライトを当てる。

 よっしゃ狸!結構大きい。クー太達より大きいな。成体か?それにこれ、灰色か…?

 逃げようとする狸を素早く捕まえる。


「待て待て待て!驚かして悪いが暴れないでくれ!」


 そのまま暴れるので地面に押さえつけ、テイムされろ、と念じる。

 お?大人しくなったがアナウンスがない。

 もう一度。今度は声に出して。


「驚かせてすまない。仲間になってくれ」



《魔狸が仲間になりたそうにしています。テイムしますか?》

【Yes or No】


 Yes。


《魔狸が仲間になりました。テイムした魔獣に名前をつけてください》



 よし。


『人間の旦那。逃げないんでどいてもらってもいいっすか?』


「お、おお」


 予想外の不意打ちを食らった…。人間の旦那って。

 しかも学生時代の後輩を思い出すような喋り方だし。


『旦那どうしたんすか?』


「あ、ああ。これからよろしくな。名前はグレイだ」


『おお。格好のいい名前ありがとうっす!響きがいいっすね!よろしくっす』


 少し動揺していたせいか咄嗟にグレイと名付けちまった。いや、まあ灰色だし、グレーだし、色シリーズでもいいんだけど…。


「ステータス見せてもらうぞ」


『旦那』


「ん?」


『すていたす?とは一体なんすか?』


「えーと、だな。グレイのステータスはグレイがどんな特技があるかとか、どれくらい強いのかとかがわかるんだ」


『ほほう。便利なもんすね』


「なあ。旦那ってのはどうにかならないか?呼ばれ慣れてなくて自分が呼ばれてるのがわからなくなりそうだ」


『旦那は旦那っすよ!どうしても嫌ならご主人とかにするっすか?』


「ああ。それで頼むよ」


 旦那旦那言われるのは違和感が半端ない。

 ステータスは…。


 ————————————————— ———


 個体名【グレイ】

 種族【魔狸】

 性別【オス】

 状態【エネルギー過剰】

 Lv【8】

 ・基礎スキル:【噛み付きLv4】【気配察知Lv2】


 ・種族スキル:ー


 ・特殊スキル:ー


 ・称号:ー


 ————————————————————



 ふむ。森の外縁にいる割に強いな。亜成体とも書いてないしやっぱり成体かね。

 しかもエネルギー過剰なんだが。

 それにしてもグレイは灰色だからクー太達とは種が違うだろうに魔狸だな。


「グレイ。早速だが頼みたいことがある。仲間をあと一匹は増やしたいから魔物を探してもらえないか?」


『了解したっす。どんなやつがいいんすか?』


「夜の行動も大丈夫なやつがいいな」


『それなら近くに友人がいるんでそいつ呼んでくるっす!』


「お、おい」


 飛び出していってしまった。

 落ち着きがないな。

 にしても友人ね。狸だけどんどん増えていくなー。

 ボケーっと森の暗がりを眺めているとグレイが戻ってきた。


『旦那!』

「だから旦那はやめろっての」


『あ、すみませんっす。ご主人。友人連れてきたっす』


 そういうグレイの少し後ろから一匹の狸が現れた。ん?ずいぶん小さいな?ライトをちゃんと向ける。

 薄茶色?の十五センチくらいの生物がいた。

 これってさ。初めてみたけどイタチだよね?フェレットに似てるし。


『あ、コイツの言葉わからないんすね。コイツ飯もらえるならついていくらしいっす』


「飯と言っても…菓子パンくらいしかないぞ?」


 菓子パンを開けて千切ってあげてみる。

 クンクンと匂いを嗅いで少しずつ食べ始めた。

 少し経って食べ終わったようだ。



《魔鼬鼠が仲間になりたそうにしています。テイムしますか?》

【Yes or No】



 本当にそれでいいのか。クー太もランもそうだが、野生を忘れてないか?

 そういえば餌付けで仲良くなれる魔物なんてクー太とランくらいだろうと考えてたりしていたな。

 他にも餌付けされる魔物がいたか…。


 もちろんYesだが。



《魔鼬鼠が仲間になりました。テイムした魔獣に名前をつけてください》



 名前ねえ。イタチ…フェレット…。フェレ?フェリ?

 あ、ステータスを先に見ようか。


 ————————————————————


 個体名【未設定】

 種族【魔鼬鼠】

 性別【メス】

 状態【 】

 Lv【7】

 ・基礎スキル:【噛み付きLv5】【隠密Lv2】


 ・種族スキル:ー


 ・特殊スキル:ー


 ・称号:ー


 ————————————————————



 メスならフェリにしようかな?


「名前はフェリで」


『ありがとう。さっきのもっと欲しい…』


「気に入ったのか?それは後でにしてくれ。これから俺の仲間と合流して森の中を移動したいんだ。仲間を護衛したり周囲を警戒する仲間を探していたからな」


『わかった…』


『無事テイム?できてよかったっすね!これからお仲間のところへ行くんすね』


「ああ。ついてきてくれ」


 そんな遠くに行っていないので数分で戻ってこれた。

 フェリとグレイを見てまた齋藤さんが興奮しなければいいが…。


「ただいま」


『ご主人様おかえり』


「クロありがとうな」


「中野さんおかえりなさい!急にどうされたんですか?」


「お、おかえりなさい」


「ああ。この暗闇の中進むから仲間を増やそうと思ってな。フェリとグレイだ。よろしくな」


「中野さん!!この子達ください!私もテイマーになりたいです!」


 そう言って突撃し、グレイがつかまった。

 フェリは上手く逃げて俺の肩に登っている。

 はぁ。やっぱりこうなるか。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ