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214 勝利



「…っ! あれ…痛く、ない…?」


腕で鎌を受け止めたのだが…痛くない。


……こいつら酸…毒のような特殊攻撃と防御力だけか? 物理攻撃弱い…?

となれば…。


『ハク!』


『はい! なんでしょう?』


『お前が召喚してる狼って大体どれくらいの強さだ? 防御力…頑丈さとか』


『えーっと…イチロウくらいでしょうか? いえ、少し劣るかもしれません』


イチロウ…あいつの今のステータスがわからないな…。


『イチロウって今、幻狼だったか?』


『確か、そうです。そろそろ進化するって言っていた気がしますが』


なら、ハクの使い魔は低レベルの幻狼くらいか…。


『使い魔は攻撃くらったか?』


『いえ、まだ使い魔を含めて誰も攻撃を受けていません』


『なら…すまんが、使い魔一匹にわざと攻撃受けさせて見てくれないか? 毒じゃなく普通の攻撃を』


『わかりました』


ハクたちにわざと攻撃を受けろとは言えないが、使い魔なら…いや、あいつらも意思があるならやめさせた方が…。やっぱり訂正しておくか…。


『ご主人様』


あ。遅かった。


『使い魔は大丈夫か? 回復が必要なら、なんとかそっち行くが』


『いえ、大丈夫ですよ。使い魔はダメージをほとんど受けていません』


『よかった。そうか。やっぱり…。こいつら攻撃力、というか、力は大したことはないな』


ムカデもカマキリもその程度なら、他のもそうだろう。


体が大きいし速度もあるから、力が無くても魔狼くらいなら殺られるだろうが、俺らには大したことない。


『こっちのカマキリも力自体は弱い。防御力が異様に高いだけみたいだな。ハクありがとうな』


『お役に立てたのなら良かったです』


さてさて…。


今までは異常に攻撃が効かないせいで無意識に攻撃力も高いと思って全て避け、ほぼ魔法戦をしていたが…攻撃は気にしなくていいのならやり方を変えてみるか。


無銘剣を無銘斧に変える。

突っ込んできたナメクジの頭部を蹴り飛ばし地面に叩きつけた。


飛んでくる毒は避けるが、カマキリの鎌とミミズの突進は腕を払って弾く。


「ダメージはなさそうだが…問題なく弾き返せるな」


そして俺は【浮遊】を解除し、【重力制御】で自身の体重を重くし、倒れたナメクジに向かって落下の勢いを使い斧を振り下ろした。


…ちょっと耳を塞ぎたくなる水音がして液体が飛び散ったが、頭部を半分ほど切断できた。同じ場所へ斧を振り下ろすと完全に切断される。


「おし。一匹」


カマキリに対しては、避けるのが難しいほど速さで振るわれる鎌を斧と腕で弾きながら、柔らかいだろう腹部まで潜り込んで斧を振り下ろす。


「うわっ…危な…」


避けるのが遅かったら透明の液体を被っていた。間一髪だ。


ミミズはナメクジと同じ要領で殺る。攻撃を喰らっても問題がないのなら、攻撃が当たるのを気にせず接近できる。それに物理攻撃はまだ魔法攻撃よりも効くからやりようはある。


フナムシっぽいのや、追加で出てきたバッタみたいなやつなど、サイズの大きいやつから倒していく。


そして箱から何も出てこなくなったようで残るのは三十匹ほどのアリだけだ。


チラリと視線を逸らすとハクたちがムカデを倒したところだった。結構時間かかったな…。


俺は吐き出される毒を避け接近し、細い首に斧を振り下ろす。たまに毒じゃなく手足を出してくるやつがいるが、そういう奴は楽だ。出してきた手を掴んで引きずり倒してしまえばいい。


もしくは出してきた手を掴んだまま跳べばひっくり返ってくれるので、注意するのは他のアリから飛んでくる酸だけだ。


…と言っても酸自体も大したことはないかもしれないが。まあダメージが無くとも虫の液体を被りたいとは思わないので、避けるが。


アリを端から倒しているとクー太たちも合流しそう時間をおかずに殲滅できた。


「あー…疲れた。というか、キモかった」


「お疲れ様です。ご主人様」


「ああ…。ハクも…皆もお疲れ様。それとハクすまんな。お前の使い魔を実験台みたいにしてしまって」


「いえ、気になさらないでください。どうやら個としての意思はないようですので」


「ん? 意思、ないのか?」


「はい。と言っても考える頭はあるようですが、なんと言いますか…死にたくないとか戦いたい、休みたい。そういった感情はないようなのです。私の意思と命令を汲み取って動くだけで、会話もできませんし…」


ほお。感情はないのか。なら俺も気にしなくて済むな。


「それならよかった。それにしても…お前たちだいぶ時間かかったな? 魔法はほぼ効かなかったが、噛み付きなんかは効くだろう?」


「え、ええ…」


うん? 珍しくハクの歯切れが悪い。


「どうした?」


『ハクだってあんなのに噛みつきたくないわよ! ご主人様だって虫に噛み付くの嫌でしょ!?』


『僕もやだー。なんかテカテカしてたしーヌルヌルもしてたー』


言い淀むハクを見ていたら肩に乗ってきたランとクー太にそう言われた。


「あー…そういうことか。確かに…嫌だな」


「すみません…」


「ハク。責めてないんだから謝らなくていい。俺だってヌルヌルしてなくても虫に噛み付くのは嫌だしな」


ただハクたちがそんなことを気にするとは思っていなかったが。野生を忘れたか…? まあ構わないが。


「じゃあどうやって倒したんだ?」


「口内は多少魔法が効きましたので。後、少し殴ったり…でしょうか? あまり触れて気分の良いものではありませんでしたが…」


「魔法撃ちまくったの!」


「基本的に魔法で少しずつ削ったわけか。だから時間かかったんだな。了解。納得した」


ラックは接近戦がほぼできないから、本当に撃ちまくっていたのだろう。魔力量大丈夫か? と思ったが、元気そうだ。


よし。宝箱を開けるか。


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