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閑話 番外編1

本編に関係は…ないかと。

書籍化記念で番外編書いてみました(*´ー`*)



 

 とある日。



 今日は戦闘訓練も狩りも無しの日、完全休日にしてみた。ご主人様権限で強制だ。


『ねぇーご主人さまー?』


「クー太どうした?」 


 今はクー太と二人だ。いつもならランかフェリ、ラックの誰かは一緒なのだが、今日は戦闘すら休みにすると言ったら、ランが「ご主人様を一日独占させてくれるなら戦うのは我慢するわ!」って言い始めたのが原因である。

 ランが言い始めたのに、なんでクー太と二人でいるのかって? そりゃあ…ランが独占することを許さない子がいたからである。主にクー太とかラックとかフェリとか。

 そんなわけで時間を決めて独占。という形になった。時間を測るのは親父だ。時間を知らせるのはコクイチらしい。

 ランたち曰く公平を期すためらしいが、別に俺がやってもクレナイに任せてもいいと思うんだけど。


『たまにはボクがご主人様を乗せたいー』


「そうだな。今日は特に目的がないし、時間までクー太に乗って散歩するか」


『やったー!』


 肩から飛び降りたクー太がすぐさま四メートルほどに巨大化し、しゃがむ。


『乗れるー?』


「おう」


 しゃがまなくとも乗れるが…クー太の気遣いだし、お礼を言って乗る。


『乗れたー?』


「ちょっと待ってな」


 座る位置を決める。鞍があるわけでも、首輪やリードがあるわけでもない。だからと言って毛を掴むのもな。


『毛を掴んでいいよー?』


 どこを掴もうか悩んでいたのかわかったのかそう言ってくれるクー太。痛くないのか…?


 結局、毛はそっと掴み、主に両足に力をいれてバランスを取ることにした。


『じゃあいくよー!』


 クー太が駆け始め……。


「!? いきなり速度出し過ぎじゃないか!?」


『そおー? まだ駆け足だよー? それにご主人様の駆け足の方が早いよー』


 まじで? 

 自分で走るのとは違うのか、かなり速く感じる。

 風圧はあんま感じないが【風繭】だろうか?


『どおー?』


「ああ、新鮮だし、風圧もそんな強くなくていいぞ」


 というか気持ちがいい。風圧をあまり感じないとはいえ、全く風が当たらないわけではなく、そよ風程度は感じる。

 自分で走るよりいいかもしれない。


「そういえば…クー太は他の子達のことどう思ってるんだ? 俺から見たら仲良くやっているとは思うが…やっぱり好き嫌いあるか?」


『うーん…皆仲良いよー?』


「例えば…ランのことはどう思ってる?」


『ランはねー妹ー!』


「妹…?」


『そー! 生意気な妹って感じー。あとはねー。すぐ怒るし、すぐ叩くし、わがままだしー! なんて言うんだっけ? じょーちょふあんてー?』


 情緒不安定って…そんなことないだろ…。じゃあ他の子はどう思っているのか、順番に聞いてみた。


『ハクはねー妹!』


「え、ハクも妹…?」


『そー! しっかりしてるけど、結構寂しがり屋なんだよー? ご主人さまの肩に乗ってるボクとランのこと羨ましそうにいつも見てるんだよー』


 寂しがり屋なのはクー太では…?とは思ったが水をささないでおく。


『クレナイはねー弟!』


 弟!? どうしてそうなった!? 絶対兄とか親戚のお兄さん的立ち位置だろ!?


『いつも一歩引いたところでボクたちのこと見てるけどねー本当は混ざりたがってるんだよー! 不器用なのー』


 えー…本当か…? というかクー太よ。自分を兄を自称するなら俺から離れて弟たちに俺を譲ってやれば…と思うんだが…。


『フェリもクロもラックも妹ー! フェリは会話するの苦手なのにお話したがってるんだよー。だからご主人さまも話しかけてあげてねー。クロもクレナイと一緒で不器用なのー。影の中が居心地いいのは本当みたいだけど、本当はもっと外に出て撫でてもらったりしたいと思ってるんだよー? どっちも寂しがり屋さんなのー』


 寂しがり屋多くね!?


『ラックはねー、小さい人型から大きい人型になってからは特にご主人さまともっと仲良くなりたがってるんだよー』


 ん? 仲良いだろ。


『ボクみたいな感じじゃなくって、土屋と木元みたいな感じに憧れてるみたいー』


 誰!?


「待て待て待て。色々と聞き流していたけど、待て。土屋と木元って誰だよ!」


『んー? 人間さん?』


 …。なんで疑問系なんだよ。


『藤堂の連れてきた人ー。土屋と木元は恋人なんだってー』


 あー、土屋って藤堂の部下…みたいなやつか。木元は…聞いたことない。クー太、もしかして俺より藤堂たちと仲良くしてる…? いや、俺は必要最低限すら関わってないけど。


「誰に聞いたんだ?」


『水島がイチャイチャするのはほどほどにしてほしいって文句言ってたよー。それでラックがイチャイチャってなにかーとかー、恋人ってどんな感じなのかーって聞いてたから、ボクも聞いてたのー』


 水島…藤堂の取り巻きのもう一人か。木元は知らないが…。

 というかラックって意外とコミュニケーションとってんだな…クー太も。


「後は…グレイとアキは?」


 とりあえず初日メンバーについて聞いてみるか。


『グレイは変な狸ー!』


「ぶっ」


 吹き出してしまった…。グレイも弟って言うのかと思ったら変な狸って…。


「なんでだ?」


『なんで…? なんでだろー? でも変だよねー?』


「そ、そうか」


 別に変じゃない…よな? 話し方は変かもしれないが…。


『アキはねー妹ー。とにかく手がかかるのー。だから目が離せないのー』


 いや、目離してるだろ…。というかクー太が言ったことは本当だろうか? クー太がそんな周りに目を向けているとは到底思えないんだが…他の子達にもお互いをどう思ってるか聞いてみたいな。今日は個別で一緒にいる時間を作ってるし、聞いてみようか。


「ちなみに、アインスたちは? 妹とか弟って感じなのか?」


『アインスとツヴァイは部下ー。リーフとドライとー…アメリ、ビャクヤは妹ー。フィーアもゼクスもフンフも部下だよー。でもでもー皆大好きー!』


 部下なのか…まあ仲良くしてるみたいだしいいか。


『フィーアは枝で滑り台作ってくれるんだよー。フンフの角に乗って飛ぶのも楽しいし、ゼクスのハサミは毛繕いにちょうどいいんだよー!』


 …え? いつそんなことしてたんだ…? そう聞くと、夜に目が覚めた時に遊んでいたらしい。そりゃあ朝寝坊するわけだわな。


 狼…幻狼のイチロウや化け犬のケンタも部下枠らしい。つまり初日メンバーとアメリ、ビャクヤ、リーフ、ドライのよく連れ回す、クー太と一緒にいる時間が比較的長い子は弟か妹で、それ以外は部下らしい。


 クー太…お前長男のつもりなのか…。


「じゃあ…親父とお袋、メイとミミは?」


『うーん…ご主人様のお父さんとお母さんは優しい人!』


 流石に妹や弟ではなかったか…。


『メイとミミはねー…未熟者ー!』


「ブフッ!」


 予想外の答え来た!? 友達とか妹かと思ったら未熟者!?


「ど、どこがだ?」


 笑うのは我慢する。話の腰を折らず最後まで聞きたい。


『うーんとねー…全部! 今のままじゃご主人様のつがいとして誰も認めないよー!』


 …………つがい? 番、恋人、繁殖相手ってことか…?


「どういうことだ。誰がそんなこと言った?」


『ひぅっ!? なんで怒ってるのー!?』


 ん?


「怒ってないが」


『そんなことないー! 声も低かったし、魔力漏れてたもんー! 背中でそれやめてー』


「そうか…? すまん」


 無意識だな。


『やめてねー? 振りじゃないよー? やめてよー?』


 振りって…どこでそんなこと覚えてきたんだ。


『それでねー、メイとミミが、ご主人様のつがいにふさわしくないってのは皆言ってるよー? 今はねーハクとラックがつがいになるって意見が多いのー! その次にランが人化してつがいになるか、メイが頑張るか、かなー?』


 賭けでも行われてんのか…?

 というかハクとラック、ランにメイとミミか…。


『ご主人様はつがいにするなら誰がいいのー?』


 えー…。クー太から恋バナ…? を持ちかけられるとは思わなかった。

 誰、ね。その四人から選ばなきゃいけないのか? つか恋人か…欲しくないとは言わないが…。

 そういえば最近そんなこと考えなかったな。


 ハクは…人型だと綺麗系だしスタイル良いし、面倒見もいい。狼状態だともふふわだし、もふり心地も、抱き心地もかなり良い。だけど、狼だし、主従関係あるし。ずっと人間の姿のまま接していれば恋心くらい産まれる…かもしれないか。


 ラックも可愛いしスタイルは良いな。明るいし気遣いもできる。けどクー太ではないが、妹って感じなんだよな。


 ランは人型になったらまた見る目は変わるかもしれないが、今のところ妹、もしくは娘って感じだな。


 メイとミミは…まあ可愛いとは思う。初めの頃は人任せでなんも考えてないのか? って思っていたが、そんなことはなかった。良い子だし、頑張っているしな。逆に今は俺があいつらに無理して欲しくなくて、大人しくしてろって言っているくらいだ。足手まといって理由もあるけど。

 だがなぁ…全員に言えることだが、そういう対象として意識したことがなかったんだよなあ。

 メイとミミに関してはそういう感情が生まれるほど一緒に過ごしてないし。恋に時間は関係ないとたまに耳にするが、一緒に過ごす時間って大事だろ?


 強いて言うなら…ハクの人型状態の裸を見た時や、抱きつかれた時にドキドキしたくらいか? ん…?そしたらハクが第一候補? いやいやいや。なんでこんなこと考えてんだ俺。


 かなり長考してしまったが…。


「特にいない。…俺のことはいいんだよ。話を戻すが未熟者ってどういうことだ?」


『弱いー!』


 …まあ俺らと比べればな。別に人任せで怠惰に過ごすならまだしも努力はしてるし、それに関して特に文句はない。面倒見ると決めたのは俺だしな。


『後はねー。なんでかわからないんだけど、ご主人さまのこと好きなのにご主人さまに好きって言わないしー。ご主人さまのために行動してないでしょー? あとあと! ご主人さまのそばにずっといるって気持ちが弱いー!』


 いや、それって普通だから。テイムしたお前たちがべったりしすぎなだけだから。それに好きと言わないっておかしいことじゃないからな? 好きじゃないなら言わないし、好きだとしても、それほど深く関わり合ってないのに突然好きなんて言わないし、言われても困るわ。


 その後は森の中を駆け抜け、親父の伝言役であるコクイチが「時間です!」と伝えにきて拠点に戻った。


 とりあえずクー太はツッコミどころ満載だったな…。



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