205 贔屓
お待たせしました!
なんとか日付が変わる前に投稿できました…!
『えぇ!? なんでだい!?』
「俺は自分の目で見て仲間にしたいと思ったやつしかしない。別に俺は無理して配下を作りたいわけじゃないし」
『だけど強くなるために仲間を増やしているでしょう?』
「だからって見た目が好ましくないやつとか、性格の悪いやつ、ましてや破壊活動するような魔族なんぞ契約する気はない。動物…魔物たちは皆純粋なんだぞ? 人間たちみたいに互いに足を引っ張ることも偏見で仲間を虐げたり不快な悪意は持ってない。だから俺も気軽にテイムしているんだしな」
『うーん…まあテイムされる前は自我が薄いのがほとんどだし、本能に従って生きているからねえ。けど、知能が高くなれば必ずそういった魔物は出てくるよ?』
「それは主人であり、家族である俺にも問題があったってことだろ。そしたらちゃんとそいつと向き合うさ。それに今のところ純粋に慕ってくれているしな」
『そうかい…。まあ君にテイムや契約について何を言ってもその考えは曲げなさそうだし…わかったよ。じゃあまた何かスキルをあげるから協力してくれないかい?』
「思いつかない」
『考えてないでしょう!?』
チッ。どんだけ協力させたいんだこいつ。他の奴らにやらせろよ。あ、やらせてるのか。
「最上のスキルはなんだ?」
『うーん…。君の希望や適性にもよるからなあ。あ、じゃあ君の配下の子達全員に【人化】のスキルをあげようか?』
全員人化…見てみたいが…。それはどうなんだ?
「つかそんなに力を使って大丈夫なのか?」
『駄目だねえ。だから魔族を倒し終えた後の報酬って感じになるけど』
報酬か…。
「じゃあ【人化】はとりあえずいらない。魔族を倒し終えたらなんでも願いを叶えてくれ」
『なんでもは無理だよ〜。人類を絶滅させてくれとか言われても困るし?』
「んなこと言わないわ。人類に迷惑かけず、お前たち神ができる最大限でいい」
『最大限でいいって…強欲だねえ? まっ! それで手を打とう! じゃあそういうことで誰を入れ替える?』
「それは…とりあえずルナたちと話してから決める。それとこの階層なんなんだ? アホみたいに強い魚がいるし」
『ああ、ここの魔物? というか疑問に思わなかった?』
「何をだ。お前の考えと殺し方に対してなら常に疑問だが?」
『違うよっ。透き通ってる水中に魔物がいなくて、深いところにいる魔物は襲ってこなかったこと!』
「襲ってきたが? わからん」
『ここの階層は別に戦わせるために作ったわけじゃないんだ。魔物がいない透明な範囲では水中系スキルを鍛えてほしかった。それと深いところの用途は水棲の魔物をテイムさせてあげようかと思って用意したんだよ』
は?
無理だろ。
「あんなアホみたいな数の魔物を一度にテイムするのも、少数を誘き寄せてやるにも難しいだろうし」
『君が光の魔法を使わなかったら襲って来なかったんだけどねぇ。まさか光魔法を使うと思わなかったよ。攻撃しても攻撃された個体しか反応しないようにしているんだよね」
見てたのかよ。
というか、反応しない?
「一匹一匹にわざわざ精神干渉してんのか?」
『ああ、違う違う。結界みたいなものかな? 説明しにくいからそういうものだと思ってほしいね』
あー。なんか結界みたいなのを通り抜けた感覚はあったな。
「そうか…って! そんなこと言われないと気付かないだろうが!?」
『ええー? 君ならとりあえず食料にするつもりで風の魔法か、剣で倒すと思ってたからさー。そうすれば周りの魔物が攻撃してこないってわかるでしょう? それに【暗視】を持ってるのに光魔法使うと思わないじゃないか』
「考えなしにそんなことしないわ! というか今、食いしん坊のメンバーはいないから食料調達なんてわざわざしないわ」
『あー…そういえば…食事を取る習慣があるのはオークの子くらいか…。失念してたね。まあ君も普通の食事はした方がいいと思うけどね?』
「ったく…ん? なあ。あの全長何メートルあるかもわからないクジラもテイムできるのか?」
『アィルホエール。全長五十メートルだね。テイムしても良いけどどこで飼う気?』
「……そんなこと言ったら他の水棲の魔物もテイムしても生活させる場所ないだろうが! そんなやつを放流しておくなよ!」
あー、くそ。なんでこいつ相手だとこんな乱されるんだ。本当に精神干渉してきてないか…?
…腹立つ。アキが持っているような挑発するスキルでも使ってんのか?
『実は君が水棲の魔物をテイムしたら拠点をあげようと思っていたんだ』
何言ってんだこいつ?
「なんで俺が水棲の魔物をテイムしたらなんだ? 報酬ってわけでもないし」
『報酬の一つだよ。このダンジョンを攻略してくれるだろうと思っていたし、そうでなくても僕のお願い通り鍛えてくれているでしょ? だから報酬』
「…俺はお前がわからん。俺の意思を確認せず、俺を怒らせるようなことするくせに、めちゃくちゃ贔屓するし」
『それは君が素直に僕のお願いを聞いてくれないから、無理矢理にでもやらせるしかないっていうだけで、怒らせたいとか嫌われたいなんて思っていないよ? それに贔屓するのはそれだけ期待しているからさ!』
…もう少しやり方考えろよ。
「他の奴らも手伝ってくれてんだろ? ちゃんと報酬出してんのか?」
『もちろんだよ。まあ手伝ってはいるけど、基本的に力を使うのはそれぞれの担当だけどね。他の人間たちにも拠点となる場所や訓練場所は提供しているよ?』
そうなのか。
「それで? 報酬で拠点ってどういうことだ?」
『君はあの森を支配したいと思っているけど、それは時間がかかるでしょう?』
「まあな」
現状でドラゴンたちとどれくらい戦えるのかもわからないしな。巨大鳥曰く他にも厄介なやつはいるらしいし。
『それにあの森に今の君でも厳しい魔物は少しだけどいるしね。あとは君の城を目指して移動してきている悪意を持った人間もいるし、匿っている人間たちや力の弱い魔物が安全に過ごす場所、ほしくないかい?』
「悪意を持った人間については気になるが…他の場所に安全な拠点が欲しいとまでは思ってないな」
『そうかい? 一応既に用意してあるんだけど、そこは孤島なんだけど…なんと! 魔力樹がないんだ!』
「へえ?」
魔力樹ねぇ。周りの魔力を吸う木だよな。
『あの樹があるとレベル一桁くらいの者だと呑まれる可能性がある。だから魔力樹がない方が人間にとっては安全だよ?』
「ならそこら辺の人間の避難場所にしてやりゃ良いんじゃないか?」
『魔力樹がないってことは魔物が発生しにくいんだ。そうなると強い魔物も現れにくい。確かに普通の人間にとっては安全地帯だろうけど、人間たちには強くなってもらわないといけないしね。でも君が保護してる人間に関しては別だ。君が百人力、千人力だから君さえいれば数十人程度安全地帯で暮らしてくれても問題ない。これは他の神からわざわざ許可を得たんだよ?』
「レベル二桁程度なら半日かからず上がるだろ。わざわざそんなところに逃げないといけない人間を保護する気もしてるつもりもないんだがな…」
『うーん。そうかい? じゃあもう一つの目玉だ! その孤島は木の実や果物がたくさんある! そして弱い魔物なら多少いるし、魚たちも弱いからレベル一桁でも食料を取ることに不便しない! そして水棲の魔物を住まわせることができる! どうだい?』
…人間はどうでもいい。だが、木の実や果物、魚か。
水棲の魔物をテイムしても問題がなくなる。それに前々から海には行きたいと思っていたし…。
「わかった。ありがたくその報酬を受け取るよ」
『じゃあ水棲の魔物をテイムしてね! あ、それと水中関連のスキルのレベル上げも!』
「ああ…なあ。普通の動物っていないのか? 食料になるような」
『いないねぇ』
「じゃあその島にニワトリみたいな魔物と牛、豚系の魔物を用意してもらうことは?」
『それくらいなら大して力も使わないから構わないけど、どうしてだい?』
「仲間と同系統の魔物は食料として狩るには抵抗があんだよ。だから食用の肉といったらイノシシくらいしかあの森にはいないし」
『オークのカシ君は? 今は炎毛豚で、一応豚だよ?』
…そうだった。
「じゃあ豚はなしだ。代わりにイノシシを頼む」
『豚は駄目でイノシシはいいんだ…』
「まあ俺の認識の問題だし、問題ない。頼めるか?」
『いいよいいよ! それくらいで君がやる気になってくれるならお安い御用さ!』
「でもどうやってその拠点に行けば良いんだ?」
『今の拠点に転移門を用意しておくよ。それと孤島にも拠点を作れる様にしておいてあげる』
「【拠点作成】で二つ作れる様にしてくれるってことか? 本当…そこまで奮発…いや、贔屓するくらいなら俺以外の協力してくれるやつに使えるスキルを与えてやれば良いだろうに」
『いやいや。他の人間に、君のために使った分の力を使ってもここまで上手く行くかわからないしね。君が世界で最も早く強くなったから、見ていて楽しいから贔屓しているんだよ。それに【拠点作成】のスキルにちょっと手を加えて、制約を緩めるだけだからあまり力は使わないし、その孤島も別に僕がなにか手を加えたわけでもないからね。鶏、牛、イノシシの魔物を移動させるのも難しいことじゃないんだよ』
俺からすれば大盤振る舞いに見えるが、こいつからしたらそれらは大したことではないのか。
「まあありがたく頂戴するよ。とりあえずルナたちのところに戻って説明するから、そしたら入れ替えで呼ぶやつも指定する。それで俺は水中訓練して水棲の魔物をテイム。その後は余計なことせずにダンジョンを踏破。それでいいか?」
『それで僕らは満足だよ!』




