閑話
本編が書けていないので閑話です。
今回も第三者視点です。
短めです…。本当何気ない一日…ですね。本当は別の内容を書きたかったのですが、間に合わないので次回にでも(>△<;)
明日は本編です!
マコトが拠点から消え二十五日。
その日もいつものように拠点に残された者たちは思い思いに過ごしていた。
「ルリさん! セイジさん! おはようございます!」
「おはようございますっ」
「ああ、おはよう」
「はい、おはよう。二人とも今日も元気ねぇ」
セイジとルリが一階で朝食をとっているとメイとミミの二人がやってきた。
リビング…そう表現するにはいささか広すぎる一階の広間にやってきて、一角にあるテーブルで食事をしているマコトの両親であるルリとセイジに声をかける。
「メイちゃんたちは今日どうするの?」
「今日はレベル上げします! レベル五十が見えてきましたから!」
ルリに聞かれ、メイはそう答える。
現在メイのレベルは四十五、ミミが四十一だ。
何故いつも行動を共にする二人のレベルに四つも差があるかというと、積極性の問題といえばよいか。パーティを組んでいてもやはり戦闘の貢献度などで経験値量に差が出てくるため、積極的に攻撃をするメイの方が獲得経験値が多い。
ちなみにミミは、この三人相手ならばつっかえることも、どもることもなく会話は可能となっている。だが、消極的な性格が変わったわけではないので相変わらず初めに声を出すのはもっぱらメイだ。
「俺もそろそろなんだよな…。少し遠くに行ってみようか」
「あなた…遠出するのはいいけどちゃんと戻ってきてくださいね? マコトやクーちゃんやランちゃんみたいにふらふらしちゃ駄目よ?」
「ちゃんと毎日帰ってきているだろう…?」
そんなふうに言われるような行動はとっていないんだが、と思いながらも、朝から晩までこの城や拠点のことをルリに任せ、狩りに行っている日の方が多いのは事実なので反発はできないセイジ。
「あ、それならたまには三人で行きませんか!」
「それはいいが…魔物たちはいいのかい?」
メイの提案にセイジはテイムした魔物たちも一緒に行きたがるんじゃないかと暗に聞く。
「いえ、私達のテイムしてる子達はマコトさんの魔物達と狩りに行くと昨日行っていたのでもう出かけてると思います」
「あぁ…メイちゃんとミミちゃんのところの子もか…」
「「え?」」
「ふふ。メイちゃんたちと一緒でこの人の魔物もマコトの魔物と頻繁に狩りに出ちゃうのよ。ほら、あの子の魔物達ってあの子に似て戦闘狂…というか強くなることを全ておいて優先しているでしょ? もちろんマコトの意思を汲むのが最大限優先されるでしょうけど、マコトのいない今は、って意味ね」
「あー、はい」
「それに感化されたのかこの人の魔物たちは主人であるこの人がどうしても必要としない限りはマコトの魔物達と狩りにでかけちゃうの。一晩帰ってこないなんてこともザラだし、この人がいないことを把握していないこともあるのよ」
「うちの子達はそんなことはないですが…今後そうならないように気をつけておきます」
「そうした方がいいわよ〜」
「だがなぁ…。マコトの魔物達と狩りをしてれば強くなるのも事実だぞ? それに安心できるしな」
現在、相性はあれど一番攻撃力という点で劣るのはリヒトパンダ(元レッサーパンダ)のパンである。攻撃スキルはあまり成長しておらず、隠密と状態異常回復特化となっている。
そのパンにすらセイジたちは敵わない。隠密を駆使すればもちろん、身体能力の差でもだ。ただ防御力は大したことないのでスキル無しで正面から戦ったり、仮にセイジ達がスキル使用中のパンに一撃でも与えられればかなりの痛手となるのは間違いないが。
「だからと言って自分でテイムした子たちでしょ? もう少し気にかけてあげるべきよ?」
「そうだな…。そうする」
「じゃあ今日は三人ですね! あ、ルリさんも来ますか!?」
「私はいいわ。マコトの魔物たちの声が聞けるのは私だけだしね。外の集落…とでも呼べばいいかしら? 集落で魔物達と人間が問題起こしてないか見に行ったりしないといけないしね。まあ私がやらなくてもクレナイちゃんとハクちゃん、ラックちゃんが見回ってくれてるけど…一応今の仮の主は私だからね〜」
「分かりました! じゃあ三人で行ってきます!」
「行ってきます」
「メイちゃんもミミちゃんも気をつけてね? いざとなったらこの人を囮にして逃げるのよ?」
「「はい! あっ…」」
「ふふふ」
「おい…ルリ」
「ん〜? この子達を守るのは当たり前でしょう? それともなに? 見捨てるというの?」
「そんなわけないだろ」
「ならいいじゃない。将来の義娘になるかもしれないんだから…ふふっ」
「ルリさんっ!?」
「!?」
揶揄われ顔を薄ら赤くする二人となんとなく居心地が悪くなったので黙々と食事の後片付けをするセイジ。
「恋と呼ぶほどじゃなくても多少は気があるんでしょう? 私、応援してるから。ただあの子…そういうのに鈍感…というか興味がないみたいだし、強引に行かないとハクちゃんやラックちゃんに取られちゃうかもよ? 人間より魔物の方が好きみたいだし?」
頬杖をつきながら、顔を赤くする二人をニマニマと見つめるルリ。
メイとミミはなんで言えばいいか分からずお互い視線を交わし合う。
「…俺は支度出来たが…もう行くか…?」
「「っ! 行きます! 行ってきます!」」
「可愛いわねぇ〜。はい、行ってらっしゃい〜」
二人がバタバタと出ていき、その後にセイジが続く。
「本当…こんな世界で恋愛云々で可愛い子を弄ったり出来るのもあの子のおかげね。集落の人たちはまだマシだけど森の外にいた時の話を聞くと奪うか奪われるかといった感じだし。はぁ…。メイちゃんたちがあのまま森の外にいたら毎日タガが外れた人を警戒して、自分の食糧、命、純潔。それらをいつ奪われるか怯えながら生きていくことになったのかもしれないと考えると本当によかったわ」
ルリは何度も本当に良かったと呟く。この今を親だからと与えてくれた息子への感謝を忘れないために。
「さて、見に行きましょうか!」
ぱちんっと軽く頬を叩き物憂げな表情を改める。
ルリが城門を潜ると、自ら門番を買って出たオーガ二体が挨拶をしてくる。
「お出かけですか?」
「お供しますか?」
「ええ。柵の外には出ないから安心していいわ」
「かしこまりました。お気をつけを」
以前、大半のオーガ達はカタコトだったが、今では全員が流暢に話せるようになっている。
【拠点作成】によって作られたコンテナ群が入り口から近いところに並んでいる。
また別の場所では家を作るためと薪に使うための丸太が山積みになっている。そして風の魔法がつかえる人間たちが集まり乾燥させる。すぐに乾燥するわけではないが、魔法の訓練も兼ねているので皆積極的に行っている。
また別の区画では既に耕された畑で雑草を毟ったりする者。人が増えたため農作物を増やそうと別の場所を耕す者と皆が皆なにかしら仕事をしている。
戦闘を厭わない人間は狩りにでているので全員がいるわけではないが。
「今日も平和ねぇ〜」
皆に挨拶しながら見回りをした後は日課のスキルレベル上げるための訓練、食事や掃除をして穏やかに一日を過ごす。