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203 クー太

お待たせしました(T ^ T)

 

 召喚出来た!? 


「クー太!」


『ご主人さまだぁー!』


「ガハッ!?」


 巨大化しているクー太が物凄い勢いで突っ込んできた。


 俺もフラつきながらもクー太の下に向かおうとしたのだから、抱きついてくるのは嬉しい。だが…。


「クー…太。お前…小さくなってくれ…。それとどんだけレベルあげたんだ…」


 結構痛いのだが…。


 クー太はそんなこと知らんといった感じに、吹き飛ばされ仰向けになった俺の上に覆い被さり体を擦り付けご主人さまと呼び続けている。


 うっ…。洒落にならないダメージなんだが…食べた物が逆流して…こないか。魔石しか食ってないし…。だがそれくらい痛いんだが…。これでもダンジョンでかなり強くなったと思うんだが…。


『ご主人さまぁー! もう、何も言わないで消えちゃだめだよー!』


 とりあえず顔までクー太の体で覆われているのでクー太をズラす。


「…ふぅ。約束するさ。それに次に居なくなってもすぐにお前のこと召喚するさ」


『ほんとっ!? 約束だよー!?』


「ああ…約束だ」


『ご主人よ…随分と優しい顔をしておるのう。怒り狂った時でさえ、そこまで表情が動かんから表情筋が死んでおるのかと思っておったぞ…』


『あ? 風月か。表情筋死んでるとか失礼なやつだな。というか、憑依してるのに顔もわかるのか?』


『翼を通してなら見えるからのう』


 翼…。確かに背中から生えた翼は仰向けに倒れている今、視界内にある。俺から見えるなら風月からも見えるのか。


『それで? 俺の表情筋に文句があるんだったか?』


『いやのう…。目は優しそうだったり、呆れたような物だったり、怒っていたりとわかりやすいが、そんな顔を綻ばせるとはのう…。ちとヤキモチをやいてしまうがのう』


『お前たちだって大切な仲間だぞ。だがこいつはな…俺の初めての仲間で、一番側にいたし、一緒に強くなってきた仲だからな。というか何で念話なんだ? もう憑依解除していいぞ?』


『いや、我らのことなぞ眼中にないほど、お主との再会を喜んでおるそこの狸…クー太だったかの? 水を差すのも良くないと思っての』


『そうか、気遣いありがとうな』


『…ご主人さまー。ここにいるの、だれー?』


 ペシペシと俺の胸元を叩くクー太。


「!? …なんでいるのがわかったんだ?」


『勘〜』


 勘…?


「…そうか。じゃあ紹介するか。風月出てこい」


『あいわかった』


 憑依が解除され、風月が現れるとクー太が尾っぽを逆立たせ威嚇する。


「グルルルル…」


 お前…そんな鳴き声できたのか…? 初めて聞いたぞ…?


「そう怒るではない。お主と同じ、ご主人の配下だ」


『…でもなんか違うー。皆と違うっ!』


「テイムじゃなくて契約だからじゃないか? 方法は違うが仲間なのは確かだ。落ち着け」


『…ご主人さまがそういうなら認めるー。でも、やっぱりなんか違うー…』


 何が違うんだ…。


「魔物ではないからではないか? 我は精霊。魔物とは体の作りが違う。お主から話を聞く限りだが…ラックとレイという魔物は似たような感じかもしれぬが。後は…テイムとは異なった契約方法でご主人とおるからそう感じるのではないかのう」


 ふむ…。


『むー。わかったー』


「納得してもらったのなら良いのだ。さて、クー太よ。そこにおる奴らも紹介しよう。我と同じで精霊のキキだ」


「やっほー! クー太くん強そうだねぇ。これからよろしくね!」


『むー』


 風月同様キキにも警戒しているクー太。


「それと、お主の横にいるのがルナ」


『よろしくね!』


『ルナ…? 柔らかいねー? むにむに…ルナ乗ってもいいー?』


『えぇ!? ルナ潰れちゃうからやだっ!』


『潰さないよー? 体小さくするからー』


『ほんと? なら、いいよ?』


『やったー! じゃあ待ってねー』


 そういうとクー太は体をルナの半分ほど…ドライくらいの手の平サイズまで小さくなる。


『いっくよー!』


 ピョンッと跳び上がりルナの上に…大の字になってお腹から着地した。


『ふよんふよんするー! ルリルリの胸みたーい!』


 …待て。なにか凄く聞きたくないことが聞こえてきた気がするんだが?


「クー太…ルリルリってのは…」


『ご主人さまのお母さんー』


 返事はしてもルナの上で跳ね回るのは止めないクー太。

 そしてお袋をルリルリと呼んでいることに驚けばいいのか、クー太が例えに出すほどお袋の胸の感触を知っていることに嘆けばいいのか…。いや、考えるのをやめよう。そして忘れよう。すぐ忘れるのは得意技だ。


 忘却術っていうスキルでも発現しないだろうか…?


「ふむ…。カシとシルバの紹介は後でだの。夢中になると周囲への関心がなくなるのはご主人譲りかの?」


「…クー太は元からだろ」


 しばらくルナトランポリンを堪能したクー太にカシとシルバの紹介を済ませた。

 その間にクー太のステータスを見たが驚いた。


 ————————————————————

 個体名【クー太】

 種族【妖狸(六尾)(亜成体)】

 性別【オス】

 状態【 】

 Lv【★】26 UP

 ・基礎スキル:【噛み付きLv★】2UP

 【体当たりLv9】4UP

 【気配察知Lv★】5UP

 【加速Lv7】4UP

 【風魔法Lv6】new+5UP

 【雷魔法Lv6】new+5UP

 【隠密Lv5】2UP

 【従属化Lv3】new+2UP

 【指導Lv1】new

 【身体強化魔法Lv3】new+2UP

 【魔圧Lv3】new+2UP

 【飛斬Lv2】new+1UP


 ・種族スキル: 【変化】【風纏】【雷纏】

 【自己再生】【精神攻撃無効】

 【狸王】new

 ・特殊スキル:【制限解除】【結界生成】

 ・称号:【進化・使役魔獣】【守り手】【王種】new

 ————————————————————


 何でお前、【王種】取得してんだよ…!


【風魔法】と【雷魔法】も! 俺が風月に教えてもらってつい先日取得したばかりなのに、自力で取得したとか…うちの子が優秀すぎる…!


 数日…じゃないか。結構な時間が経ってるから…だいたいひと月くらいか? あれ? ひと月も経っていると考えるとそんなに成長してない…わけあるか! 成長しすぎだわ! 進化で新しいスキルを得るならまだしも、狩りだけでこれだけスキルとスキルレベルを増やしたのなら優秀すぎるわ。


 んでだ。【従属化】があるってことは五十体の狸系魔物を仲間にしたんだろうけど…何故だろうな…。今まで狸系の魔物がいても容赦なく狩っていたのに。同族殺し、みたいな称号が手に入るなら納得するが、何故王種になっているのやら…。


「クー太」


『なにー?』


「狸系の魔物を仲間にしたのか?」


『したよー! なんかねー、ボクの元家族らしい?』


 家族!?


「親か!?」


『多分親とか兄弟とかー。匂いがボクと一緒だったからそのはずー』


「生きてたのか…」


『んー? ご主人さまが捕まえた子達だよー?』


「俺が捕まえた?」


『ご主人さまが結界内に閉じ込めた子たちー。その中にいたのー』


 …確かに狸の魔物は結界内に閉じ込めたな。


『それでねー、その後狩りしてる時に会った子達…あ、それはボクの家族じゃないよー? その子達はボクと会っても攻撃してこないし逃げないかったから付いてくるー? って聞いたら付いてきたのー!』


 ついてきたのーって…。それ無意識に【魔圧】でもしてたんじゃないのか…? だから動けなかったとか。


「そうか…じゃあ帰ったらテイムして名付けしなきゃな」


 名付けかぁ。狸たちって何番まで名付けたっけか…。いや、戻ったら考えよう。


「そうだ。結界内で思い出したが、俺が消える前に向かってきていた魔物たちは?」


『うーん? わからなーい。いなくなってたよー? 強そうな気配だったし、戦いたかったねってランと話してたしー』


 じゃあ邪神の言う通り隔離してこのダンジョンに放しているのか。

 だが、今のところ珍しくてテイムしたいと思ったのはルナとシルバだけだしなぁ。クー太が言うようにあの時いたやつらは強そうって話だったし、まだ出会ってないと考えていいのだろうか?


「さて…【恩寵】を使いたいが、魔力が心許ないし、水中探索を先にするかな。クー太、俺は探索してくるからここで待っててくれ」


『えぇー!? どこにも行かないって言ったのにー!』


「ちゃんと戻ってくるから、な? 早くここから出たいし、お前は風月やキキと仲良くしててくれ」


『むぅ…。ちゃんと戻ってきてね…』


「ああ。お前は皆のこと守ってやってくれ」


『はーい。待ってるからねー?』


「ああ。風月も皆を頼んだぞ」


「任された」


「マー君! わたしには頼ってくれないの!?」


「…キキはあまりクー太にちょっかいかけて嫌われないようにな」


「そんなことしないよー!? クー太くんと仲良くするもん! ねー!」


『やーっ』


『えぇー!? なんでぇ!?』


 …ほどほどにな。

 俺はキキの作ってくれた船から飛び降り、水中へ。




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