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196 移動

誤字報告ありがとうございます!(≧∨≦)

 

「ぷぎぃー!」


 目の前でなんとも言えない鳴き声を上げたのは小さな子豚…子供ではないだろうし小豚…である。


『ご主人様! どうでしょう!? 風月様には可愛らしいと言っていただきました!』


 さっきはそんなこと言わなかったのに…。これはつまり何も言わずに可愛いと言え、ということだろうか…。


「可愛いぞ」


『ご主人さまあぁぁ! もっと! もっと…心を込めて言ってほしいです…』


 なんだこいつ。


「心こもってるわ。可愛いと思ってるから安心しろ」


 そう言って小豚のカシを抱き上げる。


 もふもふはしていないが柔らかくて暖かいからこれはこれで…。


 見た目は赤茶色だ。人バージョンも髪色が赤茶だったのだが、オークのときは黒に近い緑なんだよな。何故赤茶? …ハイフレイムギガントになっていればその色でも不思議ではないんだが…いや、元から火属性に適性があるからか? 


 すべすべ…。


 すりすり…。


 むにむに…。


「ぷぅ〜…」


 あ、なんかリラックスし始めた。撫でられるのが気持ち良いのか?


『ご主人様っ』


 ルナの声が聞こえたと思ったら足に衝撃がきた。


『ごっしゅっじっんっさっまっ! ルナも撫でて!』


 足元にはご主人様と言う間何度も体当たりをしてくるルナがいた。


 痛くないからいいんだけど…羨ましかったのか? さっきまで風月といなかったか?


「うむ。カシのその姿は触り心地が良いだろう。ルナに勝るとも劣らずだのう」


 復活していた。


「そうだな…カシ」


『はい! なんでしょう!』


「お前当分その姿な」


『はい! …えっ? 人型ではなくですか…?』


 何故戸惑う。


「小さい方が風月が守りやすいだろ?」


『そういうことでしたら! わかりました!』


「いやいや。我は何もわからないのだが? 我がカシを抱いて移動するということかの?」


「違う違う。次の階層からだが、お前は階層を降りたところでルナとシルバ、カシを守ってやってくれ。魔法の試し撃ちもしたいし、ルナたちのレベル上げはせず単独で大穴を探しにいく。その方が早いからな」


「そういうことかの」


「ああ。それとスキルについて聞きたかったんだが、風属性の魔法スキルが統合されて【風魔法】になったんだ。んで【風魔法】のスキル詳細に習得済魔法って欄があって統合されたスキルが書かれてたんだが…習得済魔法しか使用できない、ってことはないよな?」


「うむ。それはない。基本的に風属性の物ならなんでも発動できるぞ。ただ何度も使用しておるとその一覧に魔法スキルが載る。ただの備忘録のような物だな。威力があがったり、それしか使えないなどもないから安心してよい」


 備忘録…それはかなり助かるな。


「それと、今まで何何魔法ってスキルを鑑定してきて一度もその備忘録…習得済魔法という欄は見たことないんだが?」


「自身のしか見れぬのではないか? 我のスキルにもあるぞ?」


 あー、そうなのか…。


「納得した。あとは【紫紅爆】が統合されてないんだが、何でかわかるか?」


「雷と炎だったかの? 合成魔法だからであろうな。合成魔法も教えて欲しかったかのう? 【精霊魔法】もまだ充分に教えておらぬし…また数日ここで過ごすかの?」


「あー…いや、今回はいいや。また行き詰まったりしたら教えてくれ。そうじゃなきゃダンジョンを出てからだな」


「ふふ。任せるが良い」


「じゃあ移動するか。風月はカシとシルバのことを頼んでいいか? シルバでもレイスに抵抗出来るだろうが…出来るだけここにいてくれ。俺はルナを抱えて大穴を探しに行く」


「ふむ。ここはルナのレベルを上げるにはうってつけだからのう。ルナのレベル上げをしながら、ということかのう?」


「ああ」


「ふむ…ご主人よ。再び【精霊召喚】を使う気はあるかの?」


「【精霊召喚】? 仲間が欲しいのか?」


「まあ欲しいか欲しくないかと言われれば欲しいが、そうではない。ここでカシたち守るのは我とシルバがいれば問題ないだろうが、ほかの階層で【精神結界】と【隠蔽結界】だけでやり過ごせるかわからないだろう? 我にも相性の悪い者はおるしの。だからカシたちの護衛として召喚してはどうか、と思ってな」


「いや、まあ俺の結界も張っておくが…」


 これから守る対象が増えないとは限らないし、初めから一定以上の強さを持つ精霊は即戦力になる。召喚しておくか?


「お主がおらぬ間ずっとジッとしておるのも流石に退屈だしの。我と交代で護衛出来る者がいれば助かるのだがのう」


「あー、そういうことなら了解した。ただ契約出来るかはわからんぞ?」


 俺があまり使わない属性や使用できない属性の精霊が来たら力を見せるもなにもないしな。


「それならあまり心配せずとも良い。我が召喚の魔法陣に干渉してみる。上手くいけば我と顔見知りの精霊を呼べるからのう」


 そんなこともできんのか。精霊凄いな。


「わかった。だが召喚するのは次の階層でいいか? そろそろ体を動かしたい。召喚してまた契約するのに力を見せたり、【恩寵】だのスキル確認だのしてたらまた時間がかかるしな。だからこの階層はカシとシルバのことを任せて良いか?」


「あいわかった。任せておくのだ」


「すまんな。頼む」


 風月には感謝だ。戦闘をしたいとあまり言わず、待機して皆を守ってくれる魔物は少ないから助かる。うちの連中は皆狩りが大好きだからなぁ。休めって言ってんのに気がついたらふらふら何処かに行ったり、訓練したりするやつらが多いし。

 次の階層で【精霊召喚】して風月の負担を減らしてやろう。


「まあ…まずはこの結界の周りに集まっているレイスどもを片してからだな」


 そう。ずっと無視していたのだが、レイスたちが何十体といるのだ。結界のおかげで近づいてこないが、そこら中にいる。


「まああれから五日も経っておるからのう…集まってくるのは仕方ないの」


 五日…?


「五日!? そんなに経ってたのか?」


「気付いて…おるわけないのう。あれだけ集中しておったものな。五日以上経っておるぞ」


 まじか…それは長居しすぎだろう! どれだけ集中してたんだよ! そりゃ気を失うわな…。


「じゃあ尚更さっさと大穴見つけないとな。行ってくる」


『行ってきまーす!』


 ルナを抱えあげる。


『き……けて』


「危なくなったら戻ってくるのだぞ」


『お待ちしております!』


 シルバ、風月、カシに見送られ、結界を出る。


「さて、たくさんいるからな。ルナは適当に光属性の魔法を撃ってくれ。俺は近づかれない程度に攻撃して減らす」


『うん!』


「よし! 【光球】【光槍】【光刃】!」


 連続で違う魔法を放った。


 ルナの魔法でも消滅するのだ。俺の魔力量ならどの魔法を使っても消滅するのはわかっていだが、習得したばかりの魔法。使ってみたかった。


『ルナも! 【光槍】! …あれ? ご主人様出ないっ!』


 発動しなかったらしい。


「ちゃんとイメージをしているか? 俺の【光槍】と同じものを、もしくはそれより小さいものをイメージしてやってみろ」


『わかったっ! 【光槍】っ! あ! 出た!』


 俺のよりも幾分か小さいが、レイスに命中し消滅させた。


「よくやった。どんどんやって良いぞ。魔力量には気をつけろよ?」


『うんっ』


「じゃあ俺は【光爪】!」


 左腕でルナを抱えているので右手に光の爪を作り出す。そして接近。袈裟斬りに振り下ろす。


 スッ。


「えっ…あ。倒せたか」


 全然手応えがなかった。空振りしたかと思ったがちゃんと当たっていたようだ。実体があやふやの敵相手だと切った感触がないのか。違和感が凄いな。


 そして次々に倒していきレイスを全滅させた。


 大穴を探し移動を始める。木々の上へ飛び、空を移動しながら大穴を探す。上の階層から降りてきた時、大穴は見えなかったので上空から探しても意味はないかもしれないが、木々の間を移動すると方向感覚が無くなるので上空を飛ぶことにしたのだ。


 レイスも飛べるようで木より高いところを飛んでも襲ってくる。だが、大抵は単独で襲ってくるのでルナに攻撃させた。


 木々で埋め尽くされた広い階層を見て周り、大穴を見つけるのにだいぶ時間がかかってしまった。

 大穴の周りの木の葉っぱで上手いこと隠されていたらしく一度見逃していたのだ。おかげで時間がかかった。

 その分ルナのレベルが上がって進化可能となっていたが。


「じゃあシルバたちを迎えに行って次へ行こうか」


『次はなにがいるんだろうね! 楽しみっ』


「ああ、そうだな。面倒な相手じゃなきゃ良いな」



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