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閑話 ニヒリティ2

本日は邪神の閑話です!

残念なことに本日は本編を上げる余裕がないので、本編はまた明日に…。


ちなみに時系列的には130話あたりの話です!


またしばらくしたらニヒリティsideの閑話出します。

 

 僕らは同じ空間にいつつも、地球のそれぞれ担当する国々を見守りながら、僕ら世界…マギアの担当地域も監視もしている。


 マギアの人類は今の地球よりも多いが、国は両の手で数えられるくらいしかないため、それぞれの国の周りに魔族に効果のある認識阻害の結界を張っている。

 そして一部の聖剣や英雄と呼ばれる人間に協力をしてもらっているからあちらはまだ大丈夫。


 大丈夫と言う理由はもう一つ。魔族たちは個々で暴れていないのだ。おそらく仲間が次元を越えて集まるのを待っているようで、今は活動的ではない。ただ、それもいつまで続くかわからないが…。 


 それよりも地球だ。早急に強くなってもらわなければ魔族に対抗できない。

 だから魔素を充してから精力的に活動し、成長している人間を探した。


「やっぱり日本だと神通川リュウタ君と中野マコト君かな。他は…何人か候補はいるけど環境が悪いかな」


 リョウタ君は…今は鉄パイプを使っているけど、剣術スキル持ちだね。魔法は火が得意なのかな? 火魔法と剣術スキルをメインの職業剣士か。正統派と言ってもいいかな? まあ剣士職が初めから出てるのは地球人には珍しいけど。

 幼馴染の男の子と女の子の三人パーティか。この二人は既にリョウタ君におんぶ抱っこ状態だから期待薄だね。


 マコト君は…やばいね。テイマーとして最高なスキル構成…とまでは言わないけど、そうなる可能性が高い。


「ねえ。【ボーナス(特)】と【テイム(特)】を持っているテイマーっているかい?」


 他の神たちにそう聞いてみる。


「そんな者はいない。【テイム(特)】持ちすらいないぞ」


 ベスティエ、レーツェル、他の神に聞いたところ、【テイム(特)】持ちはちゃんと三人いた。


 一人は調教師。もう一人は農作師。ただ【ボーナス(特)】は持っていない。


 だよね。大抵の人間はいくら可愛がっていたペットでも、そのペットが凶暴化し、檻やリード、ケージを壊して襲ってきたりしたら逃げる。逃げなくとも殺された者が多い。

 気性の大人しい魔化したペットに対しては、飼い主はいつも通りの反応しかしない。だから仲間にしよう、テイムしようという思考を持って行動を取る者は少ない。それにそもそもテイマーの素質がない者も多いからね。


 だから意外と、世界が状況を理解できてない状態の今、テイマーになった者は少ないのだ。


 それを考えると彼は凄い。それにマギアでもテイマーは居るが、大抵戦闘は魔物に任せ、本人は後方支援職になるか、遠距離攻撃に特化することが多いのだが…マコト君は出来るだけ戦わせたくない、もしくは戦うなら共に並び立ち戦う。といった感じだしね。


 早速、変異種をテイムしたのも凄く運がいいし、狸に狼、栗鼠、蛇、鼬鼠をテイム。更には急速なレベルの上昇とテイムした魔物たちの能力が上乗せされた結果、操作しきれていない魔力が漏れ魔魂を生み出し、蜘蛛に憑依した状態でテイム。


 正直、どんな幸運が重なったんだい? と聞きたい。


 普通のテイマーなら、テイム数に上限があるし、魔力の伸びは高いが身体能力、直接戦闘系スキルの伸びはそうでもない。更に、絶対というわけではないし、色々なパターンがあるが、テイムできる種族に相性があるものだ。


 爬虫類系と相性がいいなら猛禽類とは相性が悪かったり、草食性の魔物と相性がいいなら肉食性の魔物とは相性が悪かったりする。他にも水棲獣と陸棲獣、小型獣と大型獣などでテイムできる対象が別れたりする。


 けど…彼は今のところ何もない。


 面白い。

 地球に干渉するようになって、いや、魔族がやってくるようになって初めて面白いと思ったし、他の神にニヤニヤしていると指摘されるくらい気分が良い。


 彼はこれからどう成長するのだろうか? 何を目標として、何を成す? 仲間の魔物たちは?


 見れば見るほど気になった。

 ただ人間と接するのを避けているのか森から全然出ないのだ。どんどん強くなる理由の一つだが、普通、異変が起こったら他人を頼ったり、街に行って保護してもらおうとすると思うのたが…。


 それからも様子を見る対象はもっぱらマコト君だ。他の人間たちに視線を向けることが減った気がする。


「おお…!」


 鷲獅子もテイムした!?

 彼には相性の悪い魔物はいないのだろうか。


 その後もガルーダと戦いテイムまではいかないが友誼を結び、両生類…カエルに、魔力樹とならず、魔化した樹木に虫。更には変異した菌類も魔素から産まれたオーガすらテイムしてしまった。


 凄い! 凄いよ! マコト君。君と話してみたい。力を消費してもサポートしてあげたい。


 映像だけでなく度々声を拾って聞いてみた。

 面倒臭がり屋で、日に何度も面倒だと口にする癖に怠惰な生活は送らない。それどころか毎日、陽が暮れるまで狩りに明け暮れ、戦狂いかと思えば仲間を大事にしているし、獲物を譲ってあげることもあれば、休息もちゃんと取る。


 ただ、スキルを活用しきれていないのが気になる。確かに現在の地球にいる、産まれて時間の経っていない魔物なら大半が敵になり得ないだろう。


「ふぅ…。さてと…」


 マコト君をずっと観察していたいけどそうはいかない。


 他の人間、個人というよりコミュニティの様子を見たりしているが…レベルを上げない者が多いな…。

 無事なマンションやアパート、まだ魔力樹が侵食しておらず魔物も少ない住宅街の中心などで引きこもっている。


 最初はそれで良かったが、しばらくすると食料が心許なくなり、電気、ガス、水道という文明の利器が使えず不満を露わにする者、今後のことを考え不安に思い他人から食料を奪い始める者。

 戦闘を押し付ける者と押し付けられる者。そして力関係が変わり殺し殺され醜い争いが増えて行っている。


 そうじゃないんだよ…。引きこもっても、誰かを害し、騙し、貶めても何も変わらないんだよ。

 秩序が乱れていく。それに比例するように人類が減っていく。


「人間同士の争いが酷い…」


「ニヒリティのところもか?」


「そんなものじゃないかしら? 私が見ているところも酷いわよ」


 僕の呟きに皆が反応した。ベスティエやレーツェル、他の神のところも酷いらしい。


「正直どうにもならないよね。魔族という危機を知らせたところで自棄になるか諦めるかしてもっと秩序が乱れるだろうし…」


「敵が魔物だとわからせればいいのだろう? それならスタンピードでも起こして人間同士で争う暇をなくしてやればいい」


「ベスティエは簡単に言うけど…それだと更に人が死んでしまうよ」


「なら私たちの支配下において、殺害は禁止にして襲わせればいいんじゃない?」


 そして全員で話し合い、レーツェルの案を採用することとなった。



 ♦︎



 《やあ、日本人諸君! 気分的にも使う力のことを考えても、あまり干渉する気はあまりなかったんだけど…このままだと君たちは絶滅します!》


 本当に。本当に頑張ってもらいたい。君らに任せて申し訳ないとは思うけれど…。


 そしてマコト君の感想が…人間弱いな。ってどうなんだい?

 もっと焦ったり、驚いたりないのだろうか? そういう動じないところも気に入っているんだけどね。


 《まあ何人かは生き残りそうだから…正確には数名を除いて絶滅しそうってところだね。人間の生存が難しそうな国から順々に声をかけて…日本は24番目です! これはなかなかだよ! すでに人のいない国もあるから…残った国は30ヶ国かな。だから頑張っている国順ってなると上から6番目になるからいい方ではあるんだけど…それでも長く持たなそうだからテコ入れってやつだね!》


 まあ声をかけていないところはほぼ人類が死滅したか、生き残っていても半年、一年分の食料をシェルターに持ち込んで膝を抱えている人間しかいないところ。

 つまり僕らの力を使って声をかけても意味をなさないところばかりだけれど。


 それでも念話を届けたかったんだけど、他の神にこれ以上無駄に力を使うなと必死になって止められた…どころか、僕の力を無駄にさせる人間なんて殺すと言われたため断念したのだ。


 《いや、本当、あまりにも君たち弱すぎるよ。今生き残ってる人間は魔素に肉体が適応できた者だけだから頑張れば肉体は強くなるんだよ? それすらしない、出来ないくらい精神的に弱い人間がこんな多いとは思わなかったよ》


 とりあえずひたすら煽っておく。これで奮起して欲しいと願って。神の奇跡など起こせないから。


 《このままだと僕も楽しめないし、君たちも滅亡は嫌だろう? だからサービスをしてあげようと思ってね。

 まずは魔力樹の成長を一旦止めておいてあげる。魔力樹は君たちの生活圏を侵食していた木のことだね。

 今こうやっている間にも魔力樹は魔力や魔力を持つ者、その死体を栄養にしてどんどん数を増やしているよ。そして今日本の八割程の範囲に魔樹が生えているかな》


 いつまで止めていられるか…。

 魔力樹の上位種が発生してないのが救いかな。


 《それがどういうことかわかるかな?

 それくらい成長してしまうほど人間が養分になったということ。

 ちなみに魔力樹の養分になっていなくても魔動死体…ゾンビって言った方が伝わるかな? ゾンビになったり、初めに適応できなかった人間は人型の魔物になったりしたから今の人口は物凄く少ないよ。

 この情報もサービスになるかな?》


 言っていて、思った。これを言ってしまったら敵がもしかしたら近しい者だったかもしれないと思って攻撃を躊躇う人が出てくるかもしれない。


 だが、言ってしまった物は取り消せない。次からはもっと話す内容を吟味しようと思い直す。きっと今僕は凄く苦々しい顔をしているだろう。陽気な声色が変わらないよう気をつけて続きを話す。


 《それで、だ。おそらく未だ逃げ隠れしているだけの君たちはそんな情報を与えられても何もしないし、魔力樹のことすら自分には関係ないと言うだろうね。今まさに、僕が話しかけているのに話も聞かず喚き散らす人間がたくさんいるからね。

 まあ聞きたくないなら聞かなくてもいいけど。

 そ・れ・で! こんな世界になってまでよくもまあ醜い争いができるものだ、なーんて関心していたんだ! でもいつまで経っても残っている日本人の八割は食料の奪い合いや醜い争いをしている。ちょっと飽きて来たし、せっかく適応できたのにそんなことしていてはすぐ絶滅するよ?》


 なんですぐ諦めてしまうのかは本当に疑問だよ…。ゴブリンなんかは幼児は無理だが、年齢二桁の子供でも機転を利かせたり、複数人で石を投げれば倒せるくらい弱いのに…。


 《人間が死に絶えるのは本意ではないんだよ。僕が楽しめなくなってしまうしね。だから全員にスキルをプレゼントすることにしました! ぱちぱちー!! スキルと情報がサービスだね》


 あぁ…。自分で話してて嫌になってくる…。

 とりあえず【拠点作成】というスキルを全員にあげた。


 《そして…その上で一週間後、今まで樹の周りや定まった縄張りから動かなかった自我無き魔物達を誘導して未だ無事な街を、既に荒れ果てていても人間が隠れ住んでいる街も襲わせよう。

 人類同士、手を取り合って勝ち残ってくれることを期待しているよ》


 魔物達には無抵抗の者は殺さないように。ただ痛めつけはする。

 抵抗する者には全力で。ただトドメは刺さないように命令する予定だ。

 これでも戦おうとしない者は【拠点作成】で引きこもっていて欲しい。小さな拠点は無視するようにも命令しておくから。


 《そうそう! 僕がこんな事をしなくても頑張っている人、楽しんでいる人たちに情報をもう一つ。

 レベルの上限は教えないけど、レベルを上げて進化をし続ければいつかはこの世界のシステムに干渉できるようになるから世界を救いたい人、もっと混沌とした世界にしたい人は頑張ってね! モチベーション上がるかな?

 じゃあ今回はこれでお別れ!健闘を祈るよ》


 そう…。これで神の領域に至る人間が出れば…この世界を守れる確率がもっと上がる。

 レベル上限は種族によって違うから教えようがないってだけなんだけどね。


 そして念話を切り、すぐさま中野君の心の声を拾う。


『神になってもやりたいことは特にないが…目標にはなるか』


 そう聞こえた。

 最後の目標になると思ってくれたのは凄く嬉しい!

 今はまだ個別に話しかけない方がいいと神々と決めたから言えないが…君が何かを成した時は君の望む物を用意しよう!

 君があの森で王になりたいというのならあの森をダンジョン化させて全権限をあげてもいい。


 だから頑張ってね。僕の希望。



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