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お待たせしました。


18時間に合いませんでした…。



 

 意識が覚醒し、飛び起きる。


『おお、起きたかの。よく寝ておったな』


「…無事か?」


 周囲を見ると戦っていた場所ではない。移動させてくれたのだろう。

 戦闘跡もないし、怪我した様子もないが、こちらに歩いてくる風月に聞く。


『うむ。外側からはこちらが見えない結界を張っておるから一度も襲われてないぞ。それにアクアギガントなら相性悪くないでな。それに鬼王たちとて、距離があれば問題なく倒せる。心配しなくて良い』


「そうか…」


『ご主人様おっはっよおー!』


 ぽすんっ。


 弾丸のように飛び込んできた割には柔らかい音がし、胸に飛び込んできたルナを抱える。


「ああ。おはよう。元気か?」


『ルナ元気だよ! シルバも!』


『ぉ…ょ』


 頭上にはシルバが浮いていた。


「おはよう。シルバも怪我してないな」


『ぅ…ん』


『ご主人。服がぼろぼろだが、予備はあるかの?』


「ん?」


 そう言われ、自分の体を見ると確かに服がぼろぼろだった。だが、傷もなければ血も土汚れもついていなかった。


 聞くと傷は風月が。汚れはルナがとってくれたらしい。【精霊魔法】って回復もできんのか。そう思ったら【風魔法】の方らしい。今度教わって練習するか。


「そういや…カシはどこ言った? 逃げたか?」


『ご主人…テイムしてないとはいえ、お主を好いて着いてきているカシにその言い方は…のう』


「あ? ああ。別に深い意味はない。見当たらないから聞いただけだ。お前がカシだけでこの階層を彷徨かせるわけないしな」


 まあ別にテイムしてるわけじゃないから逃げたって責めることはないが。


『あやつは岩の反対側で寝ておるぞ。隠蔽結界の範囲ギリギリのところで防音結果を重ねがけして寝かせておる。反対側におってもいびきがうるさかったのでな』


「そうか。というかあいつ寝るのか」


『我もルナもシルバも寝る必要はないが、あやつは寝る必要があるぞ。ちなみにルナに感謝しておくのだ。ずっとお主の枕役をしておったからのう』


「そうなのか。ありがとうな」


 感触を楽しむことは出来なかったが。


『うんっ』


 さて…傷も治った。体力も回復したし、唯一使える【亜空庫(大)】から替えの服を出し着替える。


「カシはいつ寝た?」


『だいぶ前だのう』


「ならいいか。起こして移動だ」


 ついさっき寝たばかりというならもう少し寝かせてやろうかと思ったが、だいぶ前というなら起こしていいだろう。


 起こすとブモブモとうるさいカシを連れ移動する。隠蔽結界とやらを使った状態で動ければいいのだが、無理らしいので仕方ない。


 いくら強くなるためとはいえ、一体倒すのに結構な時間がかかっては面倒である。だから魔物を避けて大穴を探したかったのだがそれは無理だと判断し、一体で行動しており、近くに他の魔物がいない状況のやつを襲っていく。


 そう都合よく一体で行動してる奴が多くいるはずもなく、頻繁に二体同時に相手取ったが、武器のおかげか、慣れたおかげか初めのアクアギガント戦より短時間で倒すことができていた。


 そう、武器を無銘シリーズから別の物に持ち替えたのだ。鬼王たちからドロップした物。ちなみに武器は風月に鑑定してもった。


 鬼王から出たのは両刃だが無銘剣と比べると細身な〝鬼王剣〟という銘。身体能力を上昇させる効果があるらしい。


 ギガントオーガから出たのは無銘剣より大きな両手剣。銘は〝破剣〟というらしく、刃こぼれしない効果。


 アクアギガントから出た杖だと思ったのは棍棒らしく、銘は〝水砲棍〟。効果は吸水で、吸水した液体を砲撃として飛ばせるらしい。


 鬼王剣は無銘剣と無銘刀の間のような見た目で一番扱い易かった。身体能力が上がるし、当面のメインウェポンは鬼王剣にした。


 水砲棍と破剣もこの階層のオーガたちを倒すのには使った。関節か眼球に刺すと大抵すぐ抜けないから、そいつが死ぬまで放置することになる。だからその役割で使った。


 嬉しい誤算だったが、水砲棍をギガントオーガの眼球へ刺すと、刺した部分から血液を吸い取っているようでどんどん顔が皺々になっていったのだ。それで死ぬことはなかったが、顔の半分が無惨な姿になり、かなりダメージがあったようですぐ倒せた。


 新しい武器を試しながら移動する。

 一体、もしくは二体で行動している魔物を倒しながら移動をしているせいで真っ直ぐ移動できてるわけではなく、ジグザグに進んでいる形なので大穴を見逃していないか不安だったが。


「鬼王剣の身体能力ってどれくらいあがるんだろうや。アクアギガントを初めより楽に倒せてるってことはそれなりに強化されてるんだろうが」


『そこまでは我の鑑定では出ないのう』


「まあそれは仕方ないさ。ただ武器は配下のオーガたちに持たせることができるしもう少しこの剣を集めたいな」


 今持っている剣を含め六本。そう、六本しかないのだ。毎回確実にドロップするし、既についてきているだけのカシが疲労するくらい何時間も経っているのに、だ。

 楽に倒せるとはいえ、それなりに時間もかかる。その上鬼王が一番少ない。水砲棍と破剣は十本以上あるのだが…。


 しばらくすると大穴を見つけた。


『ようやく見つかったのう』


『穴だっ! 次はなにがいるんだろうね!』


『ぅ…ん』


「ブフォ…」


 風月、ルナ、シルバは元気なのだが、カシが腰を下ろしへばっている。


「カシ、お前はここで休んでろ」


「ブモッ!? ブモブモ! モォォォ!」


 うるさっ。


「風月…」


『ん? 通訳かの? カシはまだ頑張れるから置いていかないでくれって言っているぞ』


 ああ…置いていかれると思ったのか。


「置いていかないさ。それにまだ降りない」


『えっ? ご主人様降りないの!』


「ああ。ルナもここで休んでいろ。俺はもう少し鬼王剣を集めてくる」


『そんな気に入ったのか…』


「身体能力の上がる武器だぞ? ここで手に入れておかなければこういった特殊効果付きの武器がいつ手に入るかわからんだろ」


『それもそうだが…あんなに早く降りたがっておったではないか』


「そりゃあ早く移動したいし、疲れたし、面倒くさいけど…鬼王剣はそれらを我慢してでも頑張る価値はあるぞ。うちの配下たちにも持たせたいし、予備でいくつか持っておきたい。後十本はほしいな」


『気まぐれだのう…。まあよい。カシとルナをここで休ませるということはシルバもかの? それで我はここで結界を張って待っておればよいのか?』


「ああ。頼む」


『…無理するでないぞ?』


「んだよ。あんだけ俺が苦戦したところを見たがっていたのに」


『それはそれ、これはこれだ。お主が死んでしまっては悲しいに決まっておる。それにお主が死んだら此奴らはどうなるのだ。外にいるお主の仲間もだ』


「そんなこと言われずともわかってるって。キツかったら逃げるし無理はしないさ」


『うむ。気をつけるのだぞ』


『行ってらっしゃい! 待ってるね…』


『きを…っ…て』


「ブモッ…」


「ああ。できるだけ早く戻るよ」


 全員が心配そうにしているのが伝わったが、そんなに信用ないかね? 倒すのは時間かかるが、一人で逃げるだけなら楽なのだが…。



 そして予想以上に時間がかかってしまったが計十二本の鬼王剣を追加で手に入れ、俺が戻って来たことを喜んで飛びかかってくるルナたちを宥めすかし二十一階層に続く大穴へ飛び込んだ。



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