閑話 メイ
メイちゃん視点です( ´ ▽ ` )
《やあ! 人類諸君お疲れ様!》
「きゃっ!?」
「ミミちゃん!?」
「あ…ごめん…。ちょっと驚いただけだから大丈夫だよ」
神様の声が聞こえて驚いただけみたいです。良かった。
私も驚いてビクッてしちゃったけど…。
今はマコトさんのお母さんの瑠璃さんに編み物を教えてもらっていました。
瑠璃さんは神様の声が聞こえても編む手を休めません。すごい…。
マコトさんが服などの生活に必要な物は一通りくれたけど、今後お店で新品の服を買えるわけじゃありません。それにこれから冬がやってきて寒くなるからセーターとかマフラーがあればいいな、って思って瑠璃さんに習うことにしました。本当はレベル上げしに行きたいけどマコトさんに大人しくしてろって言われちゃいましたので…。
編み物ですけど、毛糸はなかったから藤堂さんが連れてきた人たちが持っていたり、マコトさんが持ってきてくれたセーターの中から、破けたり、虫食いが出来てしまっていたセーターを再利用しています。後はマコトさんが持ってきてくれたはいいけど子供用だったり、ちょっと着るのに抵抗がある色のとか…。せっかく持ってきてくれた物だから解いてしまうのは抵抗があったけど瑠璃さんに「あの子はそんなこと全く気にしないわよ〜。あげた物だし、自分じゃ使わないから好きにしてくれって言うに決まってるわ」と言われ納得しました。確かに言いそうです…。
マフラー作ったら…マコトさんは着けてくれるでしょうか? いらないって言われたら…自分で使います。虚しくなりそうですけど…。
《今回成長出来なかった人も、出来た人もお疲れ様。そして運悪く死んでしまった人は残念だったね》
あ、神様が話してるんでした!
死んでしまった人は残念だったねって…自分でけしかけたのに…酷いです。マコトさんが言うように邪神なんでしょうか…。
《君らが不甲斐ないようならまた同じことを起こすかもしれないから頑張ってね!》
え…。戦う力を持ってない人はどうするんですか…。特に小さい子供とか怪我してる人、お年寄り。そういう人にとっては酷です。いえ、私もマコトさんがいなければ死んでいた可能性が高いですもんね…。
《当たり前だけれど、魔物だって成長していくから、今後もっと手強くなるよ。それと新しい種族の魔物もどんどん産まれていく。例えばそうだね…魔族という種族もいる。魔族っていうのは人型の者、動物の形をした者と姿形は様々だけどとても強い。後有名どころだと、ドラゴンやフェンリルとかもいるからね。強くならないと人類がどんどん衰退していってしまうよ?》
魔族…ドラゴンはこの山にいるんですよね。見たことないし、勝てる気はしませんけど。フェンリルは…ハクちゃん? フェンリルと聞くとハクちゃんが浮かびます。真っ白くて、ふさふさふわふわで…触りたいなあ…。そういえばハクちゃんの種族ってなんでしょうね? 本当にフェンリルだったりして?
それにしても人類が衰退ですか…。もう充分衰退してる気がしますけどね。
《それと…倒すとドロップアイテムを残して消える魔物を用意したよ》
え! ドロップアイテム? ポーションとかお金とか…?
《と言っても全ての魔物がドロップするわけではない。今いる魔物と自然発生する魔物、交配で産まれる魔物はそういうわけにはいかないから、新たに倒すとドロップアイテムを残して消える魔物を生み出す。だから割合としては一割もいないし、その魔物からは経験値を得られない》
どんな物が落ちるのでしょうか! 伝説の剣とか! 神様なんだから神剣とかでしょうか!
《ちなみにドロップアイテムを残す魔物はテイムも隷属も従属も、とにかく従えたりすることはできないし、もちろん食べることもできない。そうじゃない魔物は魔石さえ無事なら、すぐには消えないから、解体してしまえば普通の動物と同じように食用にできるけどね》
テイムできない…マコトさんが残念がるのが目に浮かんで顔が緩んでしまいます。
《最後に、今回乗り切った君らにプレゼントだよ! 以前と同じようにいくつかの候補からスキルを選べるよ。じゃあ頑張ってね!》
スキルをくれるなんて本当大盤振る舞いですね。中々新しいスキルを覚えられないですし…。
でも力はいいのかな、と思います。前に力を使い過ぎて余力がないようなことを言っていた気がしますが…大丈夫なんでしょうか。
「終わり…?」
ミミちゃんが首を傾げます。多分終わりだと思いますけど…。
「終わったんじゃないかな? スキル貰えたんだよね? 見てみよう?」
瑠璃さんは…未だに編み物をする手を休めません。どうしたのでしょうか…?
とにかく、邪神様のアナウンスが終わったようなので早速スキルを確認すると、前と同じようにいくつか選択肢があったので、その中から【暗視】を選びます。
前回【未設定】のスキルをもらった時は【生活魔法】にしましたが…失敗だったかな、って思ってます。
【生活魔法】は色々試したところ今のところ出来ることは四つしかありません。
一つはビー玉サイズの火の玉を出すことで、これはどれだけ魔力を込めてもサイズも変わらないのです。
二つ目は水を出すことですが、熱湯と冷水、ぬるま湯と温度は変えられますが、出すことのできる水の量は一定で、五百ミリリットルのペットボトルを満たす量でした。味は天然水っぽい…?
三つ目はドライヤー…いえ、風ですね。暖かい風と冷たい風。風量は変えられずドライヤー程度です。
四つめは地面に三十センチ四方の穴を開けるだけです。ミミちゃんとそれを見た時「ゴミ捨て用の穴…?」と声を揃えて呟いてしましました。
そんなわけでとても微妙なのです。
「メイはなににした?」
でもまあ、私は火魔法を覚えられていないので使い道がないと言うわけではないです。それと【水球】のお水より【生活魔法】の水の方が美味しいってことくらいでしょうか?
「メイ!」
「はい!!」
「聞いてた?」
「あ、ごめん。どうしたの?」
【生活魔法】のことを考えていたらミミちゃんの話を聞き逃していたみたいです。
「もう…。スキルなににしたの?」
「【暗視】にしたよ。あんまり夜に狩りをしないせいか未だに覚えられてなかったから。マコトさんはすぐに覚えられるって言っていたけど…」
「…マコトさん大丈夫かな?」
「邪神様のアナウンスも入ったしもうすぐ戻ってくるんじゃないかな? そういえばミミちゃんはまだマコトさんとの会話慣れない?」
「少し慣れた…と思うよ…?」
瑠璃さんと藤堂さんはもちろん、誠司さんとも普通に話せるようになったのに…。
「じゃあ藤堂さんが連れてきた人たちとも会話してもっと慣れようよ。だってここには私にもミミちゃんにも陰口叩く人も嫌がらせしてくる人はいないんだし。ね?」
「うん…」
私は…というよりミミちゃんはイジメと言っていいのかわかりませんが、結構陰口を言われてました。
何故か私も根暗とか言われましたけど、私もミミちゃんも根暗じゃないですー! 聞こえるようにこそこそ陰口言う方が根暗だと思います!
一部の人からは「いつも端っこでこそこそしてて気持ち悪い」とか「陰口言ってるの? こそこそするなよ」とか言われたことがありますし。
陰口言ってるのは貴方たちでしょう! ミミちゃんは目立つのが好きじゃないし、あがり症だから周りに人がいる時は小声になっちゃうんです! そう声を大にして言いたかったけれど、ミミちゃんにいつも止められたので言われるがままでしたけど。
私と出会った時点でかなり引っ込み思案でしたが、色々と連れ回していたおかげか多少は改善したと思いますし! 登山しに来たのもインドアのミミちゃんを外に連れ出したかったからですし。
「マコトさんと普通にお話したいんでしょ?」
「もちろんそうだよ…。ちゃんとお礼も言いたいし」
「お礼言ってたよね?」
「聞く側からしたら、ボソボソと小声になってるのは自分でもわかってるから…ちゃんと感謝を伝えたい。できるなら何かお手伝いしたいけど…」
「そっか。私もお手伝いしたいけど…お手伝いできることも、タイミングも中々ないよね。ご飯作ってもマコトさん食べないし…」
飴みたいなものを食べているのを見かけたことがあるので、「マコトさんって飴好きなんですか?」って聞いたことがあります。そしたらキョトンとして、珍しい顔を見たなーって思っていたら、だんだん目が虚ろになってきて「何言ってんだこいつ」って感じの視線を向けられました。
そのあと教えてもらったら、飴だと思ったのは魔石らしく…魔石を口にするとお腹が満たされるみたいなのです。
流石に魔石を食べる気にはなりません…というかマコトさんそれで良いんですか…? そんな石より私とミミちゃんが作ったものの方が絶対美味しいですよ! マコトさんに食べてもらいたくて作ってるんですから!
…なんて言いたいけど、マコトさんが魔石で満足しているならただの押し付けですし…。
「あっ。メイ!」
「ミミちゃんどうしたの?」
「マコトさんたち戻ってきたみたい!」
城にある部屋の窓から下の方に視線を向けると拠点にやってくる一団がいました。
クー太くんもランちゃんもハクちゃんもクレナイくんもいます。しかも全員戦闘状態? 体が大きいままですし、人化もしていませんので離れていてもよくわかります。
ガタガタッ! バタンッ!
「「え?」」
後ろで凄い音がしたので見てみると、倒れた椅子と開け放たれた扉、そして瑠璃さんの姿が見えません。
「瑠璃さんどうかしたのかな…?」
ミミちゃんの問いかけに首を傾げるしかできません。本当どうしたんでしょう?
「とりあえず下に行こう? 瑠璃さんも下に行ったんでしょうし。ミミちゃんも行くでしょ?」
「もちろん!」
その後、マコトさんがいなくなった。そう報告を聞きました。
ルリさんが慌てて出て行った理由が分かりました。きっと何かを感じ取ったのでしょう。私たちの【直感】にはなにも反応はなかったのですが…母親の直感というやつでしょうか…。
マコトさん…無事でいてください。




