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188 亜種疑惑

本日は間に合いました!(*´u`*)

 

 十七階層。


 どうやって降りようかと思ったが、俺とオークのカシを風月が風で包んで運んでくれたので無事に降り立った。


 これ、風月がいなかったらどうすればよかったのだろうか?

 墜落死? それとも飛行系のスキルを使用しなくとも無事に降りられるようになっている、とか? 試す気にはなれないが。


「また草原か」


 十六階層と同じ大岩がゴロゴロとしている草原だ。

 違うところは魔物の数が違う。降り立った瞬間からこちらに敵意を向けて駆け寄ってくる複数のゴブリンとオーク。少し離れた、視認できる場所にも魔物がうろうろしていた。

 更に…。


『狼がおるのう』


 そう。ゴブリンが全員、狼に乗っているのだ。オークは徒歩だが。

 オークが狼に乗ったゴブリンを追いかけて走っているところを見ると仲間なのか逃げるゴブリンをオークが追っているのかわからないな。まあどの魔物も、視線は俺に向いているので仲間関係なのだろうが。


「魔狼…森狼?」


『草原狼らしいぞ。ゴブリンの方はゴブリンライダーと鑑定したら出た。オークはオークファイターとあるな』


 十六階層にいたやつらの上位種か。

 自分で鑑定するより鑑定結果を教えてもらった方が楽だな。その方が好物だとか余計な情報に感情を乱されないし。


 そして戦闘はあまり参考にならなかった。


 ゴブリンライダーは槍を持っていたが、俺はオオカミなどに騎乗しての戦闘はしないし、ゴブリンライダーの乗っているオオカミ…草原狼は大して強くない。森狼程度だろう。まあそれでもゴブリンよりは強いが。


 まあその草原狼は正面から突っ込んでくるので無銘棒で殴り飛ばすと騎乗しているゴブリンも吹き飛び頭から地面に着地。そのまま動かなくなったのだ。

 その要領で襲ってきたゴブリンとオオカミを五匹ずつ倒す。


「弱い…」


『仕方なかろう。…ん? あのゴブリンまだ生きておるのではないか?』


 死んでないのか? 確かに吹き飛んだゴブリン全て消えてないが…。


「ルナ。飛んでったゴブリンを分解してきてくれ。死んでないならお前の経験値にもなるだろ」


『わかったっ! 風月連れてって!』


『仕方ないのう』


 風月…足代わりにされてるのか。


 そうこうしていると剣を背負ったオークが三匹向かってきた。


「剣か…」


「ブモッ!」


「ん? カシ?」


「ブモォ」


 後ろにいたカシが俺の前に出てきた。


「戦いたいのか?」


 そう聞くと大きく頷いた。カシはハイオークリーダーだし、名前だけで判断するならオークファイターよりも上位種、もしくは亜種だし、一対一ならいけるか?


「なら一体はお前にやろう」


「ブモォォ!」


 許可するとすぐさま突っ込んで行くカシ。


 三体並んで向かって来ているところに突っ込むとか三体とも相手にする気かよ…。俺は一体って言ったんだがな…。


 まあいいか。カシに任せることにした。ただいつでも飛び出せるようにはしておく。


「オォォォ!」


「「「ブモォォ!」」」


 三体のオークはここでようやく背負っていた剣を握った。だがその間にカシは槍を突き出し、右にいたオークを串刺しにする。そのオークは死ななかったが、カシは体を捻り、オークごと突き刺した槍を横に振ると中央のオークにぶつけた。更によろけた中央のオークが左から剣を振り下ろしていたオークに斬られたのだ。


『ぉー…』


「シルバ、おーってなんだ…。というか、カシ強かったんだな。三体相手でも余裕じゃないか」


 二体のオークは地面に転がる。そしてカシが左のオークへ穂先が光った槍を脇に構えながら体当たりをする。


「グオォォ…」


 土手っ腹に槍が貫通した。カシの勝ちだな。


 その後、息はあるものの動きの鈍ったオークを一匹ずつ仕留めていき、フガフガと鼻を鳴らしながら戻ってきた。


「お疲れ。なかなか強いんだな」


「ブモッ!」


「…今度俺と模擬戦でもするか」


「ブモッ!? ブモブモ!」


 めちゃくちゃ縦に首を振っているし、了承ってことだろう。


『ご主人様! 分解してきた!』


『ゴブリンはどれも生きていたぞ』


「ルナもお疲れ。それならよかった」


 それからはゴブリンとオオカミに関してはルナに任せた。もちろん瀕死にさせてからのトドメをだ。オークに関しては毎回複数で出てきたので、一体とは俺が訓練のつもりで戦い、残りはカシに任せた。


 剣や槍、棒など色々試しているうちに、それが思いのほか楽しく、十六階層で感じた怒りは徐々に収まっていた。


 十八階層。やはりここでもスキルは使えなかった。

 そして出てくる魔物も変わった。ゴブリンが出て来なくなり、オークとオーガに変わった。


『オークリーダーとオーガファイターだの』


 んん? あれがオークリーダー。俺の横にいるのは…ハイオークリーダー?


「カシお前亜種か?」


「ブモ?」


『そうかもしれないのう。出てきては居ないがハイオークは普通に存在しておるし、オークリーダーはあそこにおる。だがハイオークリーダーだしのう…亜種なのか、特殊進化個体なのかどちらかであろうな』


 特殊進化個体…通常の、どの個体でもレベルさえ上がれば進化先に表示される種族でなく、何かしら条件を満たした時にでる進化先、ってことか?


「テイムして鑑定すればわかるんだがなあ…」


『二十一階層でスキルが使えるようになるのではないかの』


「…そうだな」


 今回、オークとは打ち合いせず、カシに任せるか、即死をさせないように吹き飛ばした後ルナに分解させる。その後にオーガと戦った。


 オークファイターよりもオーガファイターの方が武器の扱いが上手く、膂力もあった。

 剣でも槍でも同じ武器で打ち合っていると、大抵相手の武器が折れ戦闘が終了する。武器が折れるとゴブリンは体当たりするように突っ込んでくるか、逃げる。オークは折れた武器を遮二無二振り回しながら。オーガは? そう思い、武器が壊れた後追撃せずにいると、バックステップで数メートル離れたと思ったら体を横に向け両方の拳を胸元で構えた。ボクシングと空手の中間のような構えだ。


 それでどうするのかと思ったら動かないのだ。いや、ジリジリとすり足で前に進んできているが、どうも俺から来るのを待っているかのような…。


 格闘関係のスキルでも持っているのだろう。仕方ないので俺から接近すると、それまですり足だった足を踏み出しストレートパンチをしてきた。


 お! こっちの方が強いんじゃね? 一瞬そう思ったが数度打ち合っていると、だんだん力任せになっていき、雄叫びを上げながら俺の何倍も太い腕も横に振ったり、縦に振ったりと隙だらけの動きをし始めたので終わらせた。


「まあまあだなあ。最後まで自棄にならずに戦ってくれればよかったんだが…」


 残念なことに出会うオーガは全て、最初こそちゃんと構えてくれるのだが、だんだんと攻撃が雑になっていった。


 大穴を見つけたのでとっとと飛び降り、十九階層。

 今度はオークジェネラルとオーガリーダー、鬼長らしい。オーガリーダーと鬼長って同じだよね? とは思うが、きっと何かしら違うのだろう…。


「カシ。お前あいつら倒せるか?」


 視線の先にはオークジェネラルが三体。今回種族ごとに分かれて行動しているようだ。


「ブモ…」


 なんか自信なさそうだな。


「ルナ、シルバ。カシとオークジェネラルをやってみてくれ」


『わかった! カシのお手伝いするっ』


『ゎ…った』


 今回はカシたちの戦闘を見るためオークジェネラル二体をとっとと倒す。と言ってもさすがジェネラル。一撃では死なず追撃の必要があったが、問題はなかった。


「さて、ルナたちは…」


『我も参加した方がよいかの?』


「いや、風月はここにいろ。必要なら俺が出る」


 シルバが空中から【帯炎】を出し、オークジェネラルの体に炎を巻きつける。

 ルナが少し離れたところから小さな雷の球を連続で撃ち出す。

 そうして動きを阻害しているところにカシが槍を突き出した。


 オークジェネラルはカシの槍を打ち払ったが、ルナとシルバの攻撃を煩わしそうにしており、場から動かない。

 ただ決め手になるほどのダメージはないらしく、唯一決め手になりそうなカシの攻撃は見事打ち払われていた。


『時間かかりそうだのう…』


「だなぁ…」


 しばらく観察していると他のところからも魔物が集まってきたのでそちらを片付けながらルナたちを待つ。


『お待たせっ。強かった!』


『ん…』


「ブモォ…」


 倒し終えたか。

 ルナとシルバは元々弱いというのもあるが、根本的にスキルを使いこなせていない。急激に成長した弊害だろうが、ひたすら【帯炎】と雷の球しか使っていなかったからな。


【帯炎】をもっと腕を拘束するように使ったり、【火球】を併用したり。

 ルナは球形態の魔法だけじゃなく槍や矢、刃の魔法を使って胴体狙いではなく頭や脚を狙えばいい。


 戦闘経験がほとんどないから仕方ないが、これから覚えていってほしいから改善点を話す。風月からも気付いたこと直したことがいいところを話してもらって終了だ。


 次からは俺がダメージを与えたやつを三体で協力させた。


 この階層では俺はほとんど訓練せず、ルナたちのフォローに回っていた。


 そして見つけた大穴に飛び込み二十階層へやって来た。



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