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182 燐火


181話の変更点


鬼火→ 燐火(リンカ) 

出現する魔物が変わる階層を5の倍数の階層からにしていましたが、6、11、16に変更しました。






 十五階層にたどり着き、ダンジョンの壁沿い…外側から内側に円を描くように歩いて行く。


 空中移動して確認するだけだと大岩の影に隠れている燐火を見落としてしまうからだ。


 魔動死体と骸骨は基本俺が倒している。ただ、必要最低限の力で倒す練習も兼ねているため、たまに即死しない個体が出てくるので、そういう手合には腕の中にいるルナが魔法でトドメを刺す。


 ルナは進化したのが五階層で、それから十階層に渡ってレベル上げをしているが未だに八だ。いかにここの魔物の経験値が低いかわかる。


 ルナがクレナイやハクのようにレベルの上がりにくい種族というなら別だが、スライムだし、【恩寵】で一気にレベルが上がったことを考えるとそれはないと思う。


 勘だが、風月の言っていた俺が出会ったことのある虫系魔物やアンデット系魔物とは種族が違うのだと思う。帰ってゾンビたちを鑑定してみればわかるのだが…。


 そうでなくとも、【亜空庫(大)】に入っている魔石の名前を見ればわかるかもしれないが…それが進化した個体の魔石なのか進化前の個体の魔石なのかはわからないし、ズラーっと並んでいる名前からわざわざ探すのは面倒臭い。そんなことに時間割きたくないしな。


 それにあの森にいた魔物は、例外はもちろんいたが、進化する前の個体はほとんど漢字表記だったし、〝魔〟とついていた。カワセミなんか邪神の遊び心で作られたのでは? と思うほど変な名前だ。魔蝉でいいだろう。

 つまりここの魔物は拠点周りにはいない弱い魔物、もしくは邪神がわざわざ作り出した弱い魔物。それか進化個体でも俺がこれ以上急激に魔素を吸収しないように弱い種族を連れてきたか…。もちろん答えは出ないし、まさに神のみぞ知る、だが。


『ご主人様っ!』


「ん? どうした?」


『あそこ! あそこ!』


 …あそこと言われてもなぁ。ルナ目がないからどこ見てるのかわからないし、手もないから指差すこともできないからわからんよ。


『もぉっ! み、みぎ…じゃないっ。ひだりっ!』


 ひだり?


 左に視線を向けてみるが特になにも…。


『あの燐火、白っぽいが…銀色ではないか?』


 俺の中から風月がそう言う。


「あれ白じゃないのか…?」


『キラキラしてるよっ』


 ルナがそう言うなら信じてみる。確かに普通の白の燐火より光が強い気がする。


 近づいてみると本当に銀色だった。


「ルナ偉いぞ!」


 金色ではなかったが、銀色も珍しい。というか銀色は初見だ。今度こそテイムする。


 ギリギリまで弱らせようとせずともいい。ダメージが全くなくてもいいから弱く【風球】を放つ。


 ふわっと風球を避けるように横にズレる燐火。何発か連続で放つとそのうちの一発が当たり火が小さくなった。


「テイム!」


 ……まだできないか。


 それからも何度も魔法を放ち、バスケットボール大の火がソフトボールくらいの大きさになったところでもう一度テイムと念じた。


 《燐火が仲間になりたそうにしています。テイムしますか?》

【Yes or No】


 おおお! YES!


 《燐火が仲間になりました。テイムした魔獣に名前をつけてください》


 名前か…どうしようか。銀色だし…。


「名前はシルバだ」


『安直だのう…』


 うっさい。


「そんなこと言うなら風月ならどんな名前にすんだよ」


『我はそういうのは得意ではないからのう』


 なら文句言うなよ…。


「シルバよろしくな」


 ……反応なし。


『ルナの時と一緒で、自我が芽生えて戸惑っておるのではないか? それか弱っているか』


 それなら…テイムの技、[遠距離回復]で回復させてやる。


『ぁ…』


「今喋った…よな?」


『声は出したのう』


『シルバッ! よろしくね!』


『ぅ…』


「シルバ、無理しなくていいが、意識ははっきりしてるか? はっきりしてるならそばに来てくれ」


 そう言うとふわふわっと近寄ってくるシルバ。


「意識はちゃんとあるし、言ってることもわかるみたいだな。なら無理して話すことはない。とりあえずステータスを見るな」


『ぅ…』


 ————————————————————

 個体名【シルバ】

 種族【燐火】

 性別【オス】

 状態:【 】

 Lv【4】

 ・基礎スキル:【発光Lv3】【熱吸収Lv2】

       【光吸収Lv2】

 ・種族スキル: —

 ・特殊スキル:【光魔法】【闇魔法】【水魔法】

 ・称号:【銀色魔素体】

 ————————————————————


 またこれか…。ルナと同じで特殊スキルは進化前個体としては破格…というよりチートだな。ただ基礎スキルに戦闘用スキルがないし、魔力量もそう多くないから育成するのは相当大変だろう。


 だがしかし! 俺には【恩寵】がある!


「今から魔素を分け与えるから少し我慢してくれな」


『おっ。ルナに使うときは渋っておったのに、シルバには早速【恩寵】を使うのかのう?』


「このままじゃ戦闘もままならないし、比較対象が無いのもあるが、今のところデメリットは感じてないしな」


 そりゃあ、スキルをたくさん覚えてからの方が、レベルの上がるスキルが多い分得だろうが…ここまで弱いと、基礎レベルが上がってスキルをいくつも得るまで付きっきりで戦闘補助してやるのも難しい。

 多少は自力で何とかしてもらわないとな。


「【恩寵】!」


『ぅっ!?』


「害はないから安心してくれ」


『…ん』


【恩寵】を与え終わり、ステータスを確認するとやはり基礎スキルはどれもレベルが三つ上がっており、更にはいくつも新スキルを覚え、進化が可能だった。


 進化先は二つ。


 ————————————————————

【幽霊】

 ・半透明で肉体を持たない種族。

 ・物理攻撃手段を得られないが、魔力が高い。


【蓑火】

 ・弱点である水魔法を克服した種族。

 ・攻撃力は低いが、物理耐性、魔法耐性共に高く、補助魔法を得意とする。

 ————————————————————


 悩む。

 シルバに聞いても明確な答えは得られないからな。


 幽霊は肉体を持たないってことは物理攻撃が無効ってことだよな。


 蓑火…ミノヒだよな? 蓑火は耐性が高いだけで無効ではない。しかも攻撃力が低い。その代わり水魔法という弱点を克服したとある。


 …蓑火かな? 別に攻撃力が無いわけでも、攻撃手段がないわけでもない。それならそこまで攻撃力が高い必要はない。シルバが自身の身を守れる程度にあるのならば。水魔法を克服しているのも耐性が高いのも魅力的だし、補助魔法を使う魔物は俺の仲間には少ないしな。


「よし! 蓑火にするぞ」


『ぅ…!』


 多分、うんって言ったんだよな?


 進化を終えたシルバのステータスはこれだ。


 ————————————————————

 個体名【シルバ】

 種族【蓑火】

 性別【オス】

 状態:【 】

 Lv【★15】

 ・基礎スキル:【発光Lv6】3UP【熱吸収Lv2】3UP

       【光吸収Lv2】3UP

       【空中移動Lv4 】new+3UP

       【火球Lv4 】new+3UP

       【吸魂Lv4 】new+3UP

       【帯炎lv1】new

 ・種族スキル: 【水魔法無効】new

 ・特殊スキル:【光魔法】【闇魔法】【水魔法】

       【共生】new

 ・称号:【銀色魔素体】【恩寵を受けし者】new

 ————————————————————


 あれぇ? 【共生】がバグってるのはいいのだ。それよりも補助魔法どうした? どこにも無いぞ。


【共生】で手に入れたのは【空中移動】【火球】【吸魂】【共生】【恩寵を受けし者】。

 進化によって得たのが【帯炎】と【水魔法無効】


 水魔法という弱点を克服…耐性だけじゃなく無効なのは凄くありがたい。

 ただ耐性系スキルと補助魔法を得てないのが納得いかない…。スキルを持ってなくても種族の特性で耐性が高いというならわかる。だが補助魔法はスキルがなければ使えないだろ。使えるならスキル欄にあるはずだし…【帯炎】の詳細を見てみたが攻撃スキルだった。


「攻撃魔法より補助魔法を覚えやすいってだけかな…?それならそのうち覚えるか」


『どうしたのだ?』


 風月が訝しげに聞いてくるが…問題ないと答えておく。実際、思っていたのと違っただけで支障はないしな。


 それより進化だ!


「シルバ。もう一度進化できるからさせるぞ」


『ぅ…』


『ご主人よ。その前に[知識譲渡]をしてはどうだ?』


「ああ…忘れていたな。じゃあ早速…[知識譲渡]!」


『んぅ…!?』


『…シルバに説明してやらぬか…いきなりやるやつがおるか…』


「あ…すまん。シルバ」


『ぅぅぅ…』


 俺から流れ込んでくる知識に戸惑っているだろうから少し、そっとしておく。テイムされて数分と経たず【共生】、進化、[知識譲渡]だもんな。精神的な負担が多いか。

 だがなぁ…【共生】すれば進化可能になるし、[知識譲渡]してやらないとスライムや燐火みたいな自我をあまり持たない種族は意志の疎通も大変だし…。

 うん。我慢してもらおう。死ぬわけじゃないんだ。

 ただその三コンボ…進化がもう一度あるから四コンボか。それが終わったらしばらく労ってやろうと思った。


 まだ落ち着かないみたいだし、次の進化先でも見ておくかな。

 進化先はまたもや二つだ。


 ————————————————————

【ウィルオウィスプ】

 ・最終進化

 ・魂を穢す炎を操る種族。


【天火】

 ・最終進化

 ・魂を浄化する炎を操る種族。

 ————————————————————


誤字報告助かります!

ありがとうございます╰(*´︶`*)╯♡




ダンジョン内で今のところまでに出てきた魔物を書き出しました!

今後出番はないかとは思いますが…。(虫苦手なので…)


カワセミだけは邪神の遊び心で鳥のカワセミに掛けた名前なので他の魔物とは名前の毛色違いますが…。


他の魔物は基本的に〝魔〟か〝大〟(英語or日本語)がつきますが、これが付いている魔物は元々地球上にいた生物が魔化して進化した物だとお思いください!

例外は出しますが、基本的に〝魔〟か〝大〟がついていない魔物は魔素から生まれた者か進化した個体だと思っていただければ!



1〜5階層

スライム、ビックスラグ(ナメクジ)、ビックスネイル(カタツムリ)、グラウンドワーム(ミミズ)、ボールスパイダー(クモ)、ビックセンチピード(ムカデ)、ビックピルバグ(ダンゴムシ)。


6〜10階層

カワセミ(セミ)、カラフルレイディバグ(てんとう虫)、グラスシックル(カマキリ)、大飛蝗(バッタ)大蜻蛉(トンボ)大金蚊(カナブン)


11〜15階層

魔動死体、魔動骸骨、燐火(リンカ) 



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