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178 検証

お待たせしました。本編です!



遅くなりましたが今日中に間に合いましたので投稿します。



 


「まずは分霊をするぞ」


「ああ、頼んだ」


 風月が目を閉じしばらくすると、突然体がブレたかの様に見えもう一人の風月が現れた。


「「どうだ?」」


「…全く同じだな」


 腰に手を当て得意げにしているところも全く同じだ。


「意識は一つか?」


「いや…おそらく別々だの」


「繋がっている気はするがの」


 二人の風月がそう言う。


「どっちが本体とかあるか?」


「もちろんあるぞ。我が本体だの。我は分霊の分だろうが二つの視界があるし、分霊を解除することもできる。念話のように意思疎通もできるし、分霊の考えていることはわかるぞ」


「我が分霊だが、我はそんなことできぬな。念話は我からでもできるが…それは【精霊魔法】でもできるしのう…。それと自身が分霊である自覚はあるぞ。本体と同じ思考だからか、自分が分霊というのは不思議な物だが」


 ややこしいな!


「スキルは同じか?」


「同じ…分霊の方は称号がないのう」


 スキルとスキルレベルは同じか。


「七人増やしてくれるか?」


「あい、わかった」


 スッと三人目の風月が増え、四人目、五人目と増えていき本体を含め八人の風月が目の前現れた。


「「「「「「「「ほう…面白いのう」」」」」」」」


 八人の風月がお互いを見やって声を揃える。


「一番魔力量が多いのは初めの分霊か? 他は魔力はかなり落ちているな」


「それはそうだのう。初めの分霊は本体である我の半分の魔力量だ。その後は等分したからのう」


 魔力量としては…俺が狸人になる前くらいの量か? これだけ分霊を出してもそれなりに多いってすごいな。


「では次に行くかの! お主ら、行くぞ」


「「「「「「「うむ」」」」」」」


 ポンッという音と一瞬、光に包まれるとそこにら八匹の狸が居た。


「「「「「「「「どうだ?」」」」」」」」


「気持ち悪い…」


「「「「「「「「気持ち悪い!?」」」」」」」」


「あー、お前がじゃなくて、八人、同じ声を揃えられるとなんかキモい」


 緊急会議だっ! 風月たちがそう言うと八匹で顔を突き合わせ話し始める。しばらくすると一匹が前に出てきた。


「本体である我が代表で話すことになったぞ。他に意見があれば分霊たちも話すが、意見が食い違うことなんてあまりなさそうだから大丈夫だろう」


「それは助かるな」


「それで、我らへの感想は?」


「あー、狸だな」


「「「「「「「「当たり前だっ!」」」」」」」」


「すまんすまん。代表が話すって話はどうした」


「お主がなんともつまらぬ解答をするからだろう。もっとないのか! お主狸が好きなのだろう?」


「狸が好きというか…クー太とランが好きなだけだしな。もちろん好きと言えば好きだが」


「お主が狸人の精霊種だから我がこのスキルを得たのだ。もっと喜ぶが良い」


 …といってもなあ。クー太たちの様に尻尾が複数あって極上のもふもふ、というわけでもないし。珍しい模様もなく大きさもおそらく普通の狸(意外と大きい)だ。


「可愛いが…特色無いな」


「そう言うなら触るではない! 気に食わぬという癖に何故撫でる!?」


「気に食わないなんて言ってないだろ。普通だなって。とりあえず全員触り心地を確認させろ」


「触り心地など同じだわ!」


 そう言いつつも素直に撫でられる風月+分霊七匹。


 あぁ…クー太とランは元気にしてるだろうか。グレイは俺が居なくとも楽しんでそうだから特に心配してないが、俺にべったりな二匹は心配だ。


「よし、さっさと他のスキルも確認してダンジョン攻略だ」


「お主…我を撫でてクー太とランという狸のこと思い出したからそんなこと言うのか? それは我に失礼というものだろう?」


「気のせいだ。ほら、【共生】試してみてくれ」


「…まったく。贔屓は良くないぞ? 【共生】」


 贔屓は…仕方ない。

 風月が【共生】と口にすると一瞬で光の球に変化し俺へと向かってくる。そのまま俺の体にぶつかると衝撃もなく消えた。


「おい。風月? 無事か?」


『無事だぞ。お主の一部になったのだろう。こうやって話しかけることと外に出ることくらいしか出来ることはなさそうだが』


 そしてすぐさま光の球になった風月が俺の胸元から出てきて人型に戻った。


「【憑依】も試して良いかの?」


「ああ」


【憑依】を試すも結果は変わらず。光の球になって俺の中に入るのも、中に入ったら何もできないのも、だ。


「うーむ…何故かのう? スキル名が違うのだし全く同じとはありえないのだが…。魔力譲渡もできぬしのう」


「なんでだろうな。お前が分霊してるからとか?」


「魔力や魂を分割しておるからか…その可能性はあるのう。分霊たちよ。元に戻るのだ」


 その瞬間、スッと【狸化】した分霊七匹が消えた。


「うむ。これで試してみるのだ。【憑依】」


【憑依】すると今度は風月が中に入ってきたのがしっかりとわかった。

【憑依】の状態だと魔力と生命力を少し分けてもらうこともできた。俺の中からスキルが使えないのは変わらないみたいだが、俺的には魔力と生命力を補充してくれる携帯充電器が手に入った様な気分だ。


「お次は【共生】だの。行くぞ」


【共生】という言葉と共に光の球となり俺の体に入る風月。


「どうだ?」


『うーむ…。語りかける以外なにもできないのう。いや…何故我の視線がご主人の背中なのだ?』


「どういうことだ?」


『ほう! お主の背中も見れるし背後も見れる。お主の正面は見えにくいが…ご主人、背中を見てみるのだ』


 背中?


「は?」


『おお、ご主人と目が合ったのう』


「ちょっ。待て待て。目が合ったって…もしかしてこの翼、か…?」


『やはり翼になっておるのかのう? 自分では見えぬからの』


 背中には翡翠のような色合い…風月の翼と同じ色の翼が四枚二対生えていた。


「体の一部になるってこういうことか…」


『らしいの。飛べるかの?』


 翼を動かしてみるが何も起きない。というか動かし難い。


『違う違う。翼に魔力を流すのだ』


 翼に魔力を…。少しずつ流してみる。

 すると足が地面から離れていく。


「おっ、おお。浮いた…」


『込める魔力量次第で高低差を調節できる。その状態で翼を動かせば推進力が生まれる』


 色々試してみた。


 感覚は【重量制御】とあまり変わらない。ただ翼が四枚あるためか、風月が宿っているからかわからないが、こちらの方が楽に飛べた。


「【共生】している間、お前に負荷はあるか?」


『特にないのう。というか、自分で歩くよりも楽だのう』


「そうか」


『うむ。ずっとこのままでよいぞ。それと我のスキルを試してみるのだ』


「風月のスキル? なんでだ?」


『我は翼を動かすこともスキルを使うこともできないが、翼を動かし飛べるご主人なら我のスキルも使えるのではないかと思ってな。ほれ、【共生】している間自身はスキルが一切使えないとあったが、それは我だけだしの。もしかしたらお主が我のスキルを使えるやもしれん』


「それは曲解じゃね? 試してみるが…何に試すか」


『その手につけている物を鑑定してみてはどうだ? 口に出す必要はないが、そのアイテムの詳細を見ると念じながら鑑定と言えばできる。我のスキルが使えれば…だがな』


「まず、【精霊魔法】の使い方がわからないんだが。使うの体内の魔力じゃないんだろ?」


『何言っておるのだ。魔力感知と魔力操作のやり方を教えただろう? 大気中の魔力は感じとれるだろう? 後は…これは我の感覚だが、自身の魔力を大気中の魔力に混ぜるのだ。自身の魔力が混ざっておれば操れるだろう? そして【精霊魔法】を発動する』


 ……大気中の魔力だけじゃなくて自分の魔力も使うのかよ。いや…魔力を集めるのに使うだけで、【精霊魔法】を使うのに自分の魔力を使うわけではないからスキル詳細の内容は間違ってないのか?


 とりあえず風月の言うように大気中の魔力を集めてみると思いのほか簡単に集まった。そしてメリケンサック…無銘拳鍔を【精霊魔法】を発動することを意識して鑑定してみる。


 …鑑定。


 ————————————————————

 ○無銘拳鍔(命名可能) (鍛治神の祝福)


 ・種類: 拳鍔

 ・材質:魔銀100%

 ・効果:不壊

 ————————————————————


 おお! できた!


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