表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
194/250

174 訓練

誤字報告ありがとうございます!

 


 せめて【体当たり】とか持っていて欲しかったが…まあいいか。


「ルナ、俺に向かって魔法を使ってみてくれ」


『まほう…。どうやってつかうの…?』


 まじか…。

 わからないと言われるとは思わなかった…。


「本能とか…感覚でわからないか?」


『ほんのー…? ごはん?』


「ふっ…ふはは!」


「…風月。笑い事じゃないからな。今までテイムしたやつは多少の差はあれど、皆自分のスキルは把握してたし、ちゃんと教えたことないんだ」


「可愛くていいではないか。これから色んなことを教えてやれば良い。知識を与えるスキル…技と言っておったか? それもあるのだし、問題ないだろう」


「だが、魔法が使えないってなるとな…。俺教えるの得意じゃないし」


「手本を見せてやれば良いだろう。魔法とは魔力とイメージだからな。我も雷魔法なら風魔法で似たようなものができるしのう」


 ああ。そうか。見せてやればいいのか


「そうだな。ルナ」


『うん?』


「俺が今からやる事と同じことをしてみろ」


『おなじこと?』


 とりあえずやってみせるか。

 手のひらの上に【雷球】を作る。


『お主、それは無理だろう…。ルナにそんな大きな物は作れぬぞ』


 俺が作った雷球はルナよりも大きな球だった。


「あー、使う魔力量を考えてなかった。まあ…いいだろ。ルナ、これは雷の魔法で出来る球だ。やってみてくれるか?」


『やってみるっ! うぅぅぅぅー…』


 唸るルナ。人間だったら手に力を入れ、目でも閉じていそうな感じだな。


 しばらく見ているとビー玉サイズの【雷球】…のようなものができた。

 バチバチ音もしてないし、本当に雷かはわからないが…。


「できたな。偉いぞ」


『やったあ』


 撫でてやると【雷球】は消えてしまったが、まあいいだろう。


「やはり、【恩寵】を使った方がいいのではないかのう?」


「…もう少し試してからでもいいだろう」


 正直、ビー玉サイズの雷球で敵を倒せるとは思えない。スライムでもだ。

 だが、練習させれば? もしくは俺が弱らせた個体なら? それらを試してみることにした。


【土球】も教え、ルナに使えなくなるまで【雷球】も【土球】を何度も練習するように言う。


 他にも教えようと思ったのだが…よく考えたら、あと使えるのは【放電】くらいで見せてやるものがないのだ。

 光の魔法なんて一つも使えないし、俺って意外とたいしたことない? もっと練習して覚えた方がいいか? もしかして邪神が言っていたことって無意識に現状に満足していた俺に、自分の手札が大したことないことを教えたかったのか? などなど、色々考えてしまった。


「風月。ルナが練習している間俺に魔法を教えてくれ」


「それは構わぬが…」


「なんだよ。なんかあるのか」


「いや、なに…そろそろルナの魔力が切れるぞ?」


 は?

 ルナを見てみると…、うぅぅぅ…とは唸っているがふらついたりしているわけではないのでわからない。


「あれだのう。ルナはそろそろ気絶する。そしたらお主にまず魔力を感知したりすることを教えようかのう」


「それはいいが…ルナってそんな魔力少ないのか?」


「それはそうだろう。スライムの上、進化もしておらず、レベルは…三だったかのう? か弱いに決まっておるだろう」


 そりゃそうか。


『ひゃっ』


「ルナ? どうした?」


「魔力が無くなって驚いたのだろう。それに気絶したようだのう」


 なんでわかるんだよ!? ルナは何も変わって…いや唸り声がしなくなったな。


 ルナに触れるがなにも反応しない。スライムが気絶すると見た目じゃわからないんだな…。


「では、やるかのう。まず魔力を感知することからか。自身の魔力はわかるかのう?」


「わかるぞ。それに相手の魔力だってわかる。ただお前みたいに魔力が多い相手に対して、魔力が多いから強そう、という感じしかしないが」


「ならルナの魔力量や残量魔力、大気の魔力濃度なんかもわかると思うのだが…まあ良い。我の手を握るのだ」


 その後、風月の魔力を感じること、そしてその魔力の属性を感じることを練習した。

 風月の使う魔力は全て風属性だから、風属性の魔力がどんな物か感覚を覚えさせられた。

 そして風月に手伝って貰いながら自分の魔力を体内でゆっくり流し、小さな【水球】を出す練習。


 そして【魔力操作】と【魔力感知】のスキルを覚えられた頃ルナが目を覚ました。


『ごしゅじんさま…どこ?』


「後ろにいるぞ」


『っ! ごしゅじんさまっ』


 ぴょんっと飛びついてくるルナ。可愛いし柔らかい。だが、クー太を思い出してしまう。元気だろうか? 早く会いたいな。


「さて、ルナ。スライムを連れてくるから戦ってみてくれるか? あそこにいるやつらと戦えるか?」


【魔力感知】のスキルを得たおかけでルナの魔力が回復しているのがわかったし、同族と戦えるかわからなかったので一応聞いてみる。


『がんばるっ』


 それは戦いを? それとも同族相手だから? まあ無理そうなら【恩寵】を使って他の魔物を相手させるか。


 わらわらと来られても面倒なので集団で固まっているスライムではなく離れているところにいたスライムに狙いをつけて軽く殴る。


 コロコロ…コロ…。


 動かなくなったが…死んでないだろうな?

 ダンジョン産なら死んだら消え、そうじゃなければ消えないのだが…どちらにせよ死ぬまで区別出来ないから、死んでほしくない時は判別に困るな。

 飛散してないし生きていると思いたいが。


 突くともぞもぞ動いたのを確認し、スライムを掴んでルナの前に連れて行く。


「よし。ルナ【雷球】だ!」


『らいきゅー!』


 声は元気いっぱいって感じなんだが…ぱっと見微動だにしていないから分かりにくい…。


 ぱち。


 小さな【雷球】は敵スライムに当たると弾け…スライムが消え、薬包紙が残った。


 ダンジョン産のスライムだったか。というか…。


「倒せたな。よくやった」


『たおせたっ。たおせたっ』


 喜んでぴょんぴょんと跳ねるルナ。残念ながらレベルは上がっていなかったが。

 その要領で十回やると、やっとレベルが四に上がった。


「気が遠くなりそうだ」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ