172 スライム
167話、168話改稿しました!
風月の基礎レベルは変更なく無し。
スキルレベルは有り。
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個体名【風月】
種族【中位精霊(風)】
性別【メス】
状態【 】
・基礎スキル:【風魔法Lv7】【精霊魔法Lv6】
【精霊覚醒Lv5】
・種族スキル: 【転生】
・特殊スキル:【憑依】
・称号:【契約精霊】
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元々スキルレベルは付けるつもりだったのですが、書かずに投稿してしまっていました…(⌒-⌒; )
えーっと…。
「赤、青、緑、茶、黄、黒、白…?」
そこはスライム広場とでも呼ぶべきか。多種多様…とは違うか?
木々に覆われていなく、ダンジョンの光がまるで陽光のように差し込む場所。そこにはいろんな色のスライムが大量にいた。
「数は少ないが、キラキラしてるのやまだら模様のもおるし、金色や銀色に見える者もおるのう」
「あそこにいるやつは紫だろ。桃色もいるな。スライムってなんなんだ」
風月のいうように金や銀もいる。光を反射してキラキラしているのだ。しかもここにいるスライムは襲ってこない。
「ここのスライムは創造神が作ったか、外から連れてきたのだろう? 不思議色の者がいてもおかしくはないが」
「そうかもしれないが…」
襲ってこない理由とか、根本的にスライムってなんなのか気になる。微生物が魔化したのか?
疑問が顔に出ていたわけではないだろうが、風月が説明してくれた。
「スライムはのう…魔物の成り損ないと言えばよいか…残り滓とでも良いか。死んだ魔物の魔核…お主は魔石と呼んでいるんだったかのう? 魔物が死ぬと、体は朽ちても魔石は朽ちぬ」
「ああ。魔石は残るな」
「その魔石は徐々に魔力が抜け、大気へと還るのだ。割れたりヒビが入っているとすぐ抜けるのう。そうやって魔力が抜け、空っぽになった物を核として生まれたのがスライムだ」
「てことは、そこら辺に魔石を放っておけばスライムを大量生産できるのか?」
「いや、そんなすぐに生まれたりはせんよ。魔力の抜けた核を置いておいたからとスライムになるとは限らないしの」
「そうなのか」
なんだ。ポンポン生まれるならここでテイムせずとも拠点に魔石放っておけば良いかと思ったんだが。
「魔石は死んだ魔物の魔力を含む。その魔力が抜けきると、大気や大地、海などの属性を持った魔力を新たに吸収するのだ。勿論、そうして吸収した魔力もどんどん抜けていくがの。だが、抜けずに蓄積していく魔力もある」
「んで、蓄積するとスライムになると?」
「まあそう言うことだな。つまり、スライムとは魔力の塊だ。言っておくが、魔力体とはいえ魔石を持っているのでな。我ら精霊とは違うぞ」
スライムと精霊を同列にはしないわ。
「魔力体なのに殴ったら霧散するんだな」
「お主が殴る…まあ触れるような程度だったが、それで魔石にダメージがいき霧散するのだろう」
ええー…。
「…弱すぎだろ。テイムしても育てられるか不安なんだが」
「うーむ…そうだのう。【恩寵】を使えば良いのではないか? それでも難しいならお主が瀕死にした魔物を倒させれば良い。それにスライム同士、一対一なら【恩寵】を与えた魔物の方が強いだろう」
た、確かに。
スキルについて教えたとは言え、俺よりも俺のステータスをちゃんと把握出来てるってどうよ。
え? 俺が気にしなさすぎだって? それはスキルが多いのが悪い。
「でも恩寵って確か同じ個体には一度しか使えないんだろ。成長してから使った方がいい気がしてな」
「それはそうかもしれぬが、儚いと言っても良いくらい弱い魔物を鍛えるならそれが手っ取り早いのではないか?」
「確かにそうか…。まあテイムしてみてから決めればいいか」
ここのスライムたちは襲ってこないし、もしかしたらエサで釣れるかもしれない。【亜空庫(大)】から食べられる物を取り出しながら、ふと思った。
「もしかして魔力体なら固形物食わないか? 前に食べていたように見えたのは溶かしただけとか…」
スライムの粘液は酸とか溶解物だったりすることが多いからな。漫画やアニメだと。
「魔力が含まれた物ならなんでも食べるのではないか? お主があげたものを体内で分解して魔力だけを吸収してるのだと思うぞ」
「じゃあゴミとかでもいいのか?」
「…ゴミに魔力がこもっていれば、おそらくは」
「ふむふむ…」
じゃあゴミを…って言っても仲間にするつもりの子にゴミあげるのもなーと思って普通に食べ物をやる。
実際に缶詰などに魔力がこもっているのかわからないので、缶詰の蓋を開けたあと、魔力で包むようにイメージをし、地面に置く。
「近くまで持って行かないのかのう?」
「近くに行って襲われたら嫌だしな。食事する意思があるなら近くに寄ってくるだろ」
そういうわけで缶詰から少し離れて見守る。
しばらくすると数匹のスライムがこちらに向かってきた。
「おっ。来たぞ」
ポヨンポヨンと黄色…いや、金色か? 金色のスライムが缶詰に覆い被さった。スライムは透き通っているわけではないから中の魔石も缶詰も見えない。
金色のスライムは缶詰に覆い被さったまま動かず、一緒にこちらに向かってきていたスライムは金色のスライムの周りでポヨポヨと跳ねている。
「あれ、食べてんだよな?」
「そうだと思うが…そこまで生態に詳しいわけではないからのう。それにあれがダンジョン産かどうかもわからぬし、無駄に終わるかもしれぬぞ?」
充分詳しいだろうとは思うが。
それに無駄に終わったとしても仕方ない。ダンジョン産かどうかの区別なんて出来ないんだから。手加減するストレスよりマシだ。
そうこうしていると、他のスライムは動かない金色スライムを置いてポヨポヨと戻って行った。
「よし、風月はここまで待っててくれ」
「わかった」
ゆっくりと、出来るだけ足音をさせないよう近づきテイムと念じてみる。
《スライムが仲間になりたそうにしています。テイムしますか?》
【Yes or No】
おっしゃ! YES!
《スライムが仲間になりました。テイムした魔獣に名前をつけてください》
おおお! テイムするのにこんな苦戦したのは初めてじゃないだろうか。それだけにかなり嬉しい。
そして近くで見ると黄色じゃなくやっぱり金色だった。
黄色くて丸いフォルムだからテイムできた時の名前は考えていたのだ。黄色じゃなく金色だったが…まあ問題ないだろう。
「お前の名前はルナだ」
『ふぇ…?』
名付けた瞬間、可愛らしい声が聞こえた。