165 風月
今回はスキル名がたくさん出てくるのでごちゃごちゃしてるかもしれません…。
————————————————————
【テイマーLv8】
・使役魔獣との意思の疎通が可能になり、魔物に好かれやすくなり、魔物との遭遇率が上がる。
・使役魔獣の身体能力が一部使役者に上乗せされる。レベルによって上乗せされる能力が上昇。
・テイム枠4。
(使役魔獣の賢さと信頼度によって意思疎通できる度合いが変わる)
Lv1念話(使役)、Lv2危機感知、Lv3所在把握、Lv4知識譲渡、Lv5接触回復、Lv6魔力譲渡、LV7魔力譲受、Lv8遠隔回復。
[感情理解]
・対象限定:自他関係なく使役された魔物。
・魔物の表情や行動に伴う感情を理解できるようになる。
・共に過ごした時間が長いほどわかるようになる。
[危機感知]
・対象限定:使役している魔物のみ。
・使役している魔物の生命に危機が迫った場合、その状況が表示される。
[所在把握]
・対象限定:使役している魔物のみ。
・所在を知りたい対象を思い浮かべると対象とその距離・方角が表示される。
[知識譲渡]
・対象限定:使役している魔物のみ。
・接触により対象を選択。
・譲渡される知識は言語や概念、知覚対象の意味などの使役者が人間社会において常に必要とした知識・常識。
・テイム時に魔物が記憶できる量の知識は譲渡されているため、対象とする魔物が成長しなければ使用不可能。
[接触回復]
・対象限定:使役している魔物のみ。
・接触により対象を選択。
・自身の生命力・魔力を消費し、体力、肉体異常、精神異常を回復させる。
[魔力譲渡]
・対象限定:使役している魔物のみ。
・接触により対象を選択。
・互いの了承の下、任意の魔力量を与える。
[魔力譲受]
・対象限定:使役している魔物のみ。
・接触により対象を選択。
・互いの了承の下、任意の魔力量を受け取る。
[遠距離回復]
・対象限定:使役している魔物のみ。
・視線により対象を選択。
・自身の生命力・魔力を消費し、体力、肉体異常、精神異常を回復させる。
————————————————————
まじか。
なんだこれ。
ツッコミどころ多すぎだろ。
というか…。
「何故気づかなかった…! 確認しろよ俺! めちゃくちゃ使えるやつあるじゃんか!」
戦闘スキルはもちろん、テイムの『技』はどれも有用だろ!?
「まずはこれだ。[所在把握]クー太!」
————————————————————
○クー太の所在。
・距離:不明
・方角:不明
《対象表示》
————————————————————
おい! なんだよそれ。
《対象表示》ってのが点滅しているので触れてみる。
「クー太!?」
ステータスが表示される物よりも大きく、二メートルほどだろうか。八十インチほどの画面が現れクー太と巨大鳥が映った。
「クー太! 聞こえるか!」
…聞こえないのか。
よく見るとクー太も巨大鳥も動いていない。俺が[所在把握]を使った時点でのクー太を映しただけみたいだ。
ただ、この画像で一つ分かることがある。物凄くクー太が落ち込んでいる…!
「クー太…待ってろよ。すぐ戻るからな」
帰ったら今後こそ離れないからな。
気合いを入れ直す。邪神の思い通りになるのは少し癪だが、【不眠】のスキルを活用して、さっさと強くなってやろう。
【回避術】と【防御術】の『技』は、技名を口にしても変化しないのを見る限り、技というよりも体の基礎性能を底上げしている感じだろうか。
【魔力増大】や【制限無効】もスキル欄にはあるが、発動するタイプじゃないんだよな。【蹴術】と【拳術】の[不壊]もそんな感じかな。
[火纏波]は手脚併用可能だ。手脚で水と火ってのもできた。ただ左右の手で火と水など違う属性は無理だった。
そして【精霊化】。
【精霊化】した後に手と脚に[火纏波]…。
「出来たな…」
雷の体に、炎と、わかりにくいが風を螺旋を描くように纏う。そして手と脚の部分は火を纏う。
「これ、【雷装】と【魔装】も併用出来んのか?」
【雷装】。バチバチという音が強くなったので発動しているのだろう。
そのまま【魔装】。バチバチという音が元に戻った。
「【雷装】と【魔装】は併用出来ないのか…」
【精霊化】と【雷装】、【拳術】と【蹴術】の[火纏波]、更に【身体強化魔法】や【邪纏】なども併用可能だった。
魔力がゴリゴリ削られていくのが分かるが、回復も早いから一時間くらいはこの状態でいられそうだ。
「【魔圧】だけでも過剰だと思ってたんだがなあ…。これでも魔族って倒せないのか…? どんだけ強いんだよ」
だが、これ以上強くなっても意味ないんじゃ…? そう思っていたから魔族と戦うのは楽しみである。
スキルを一旦全て解く。
「ふう…。やばいな。色々と併用すると消費も激しいけれども、力が湧き上がって全能感のような物を感じる」
どんな敵が来ても問題ないと勘違いしそうになる。油断していい敵じゃないから邪神は俺をここに放り込んだんだろうからな。そう思い気を引き締める。
「さて…戦闘で試したい『技』や、クー太達に試したい物もあるがそれは後でだな。後は【精霊召喚】か」
どうやればいいんだ?
【精霊召喚】と呟くだけでは反応しない。霊狸のように触媒が必要ってわけでも…いや、魔力が必要なのだろうか。
手のひらに魔力を集め…。
「【精霊召喚】!」
その瞬間突き出した手の先に魔法陣のような、けれど文字はなく、大きな円形の中にいくつも円が重なり合い、それらが流動している物が現れる。
パァーッと一瞬光るとエメラルドの様な光り輝く一つの球が現れた。
『お主が召喚者か。うむ…良い魔力だ』
少し低めだが、凛々しい感じの女性の声だな。女なのか?
「精霊か?」
『お主が呼び出したのだろう。我は風を司る精霊である。お主は人間…ではないな。狸人の…精霊獣か?』
「ああ…」
『ふむ。【精霊化】せよ。そして全力で風の魔法を使ってみるが良い。我の納得いく物ならば契約し、配下となろう』
偉そうだな…。まあいいか。
「全力でやればいいんだな?」
『うむ』
よし。
【精霊化】。【魔纏装】。手に[風纏波]。脚に[風纏波]発動。
魔法の発動に必要かは微妙だが…。
【魔圧】、【邪纏】、【身体強化魔法】発動。
『おお…』
精霊に当たらないように後ろを向く。
風属性の魔法だよな。【風球】、【風刃】、【竜巻】のどれがいいか…。スキルレベルは低いが【竜巻】の方が威力はあるか…?
「【竜巻】」
ゴオオオォ!
全体がわからないほど大きな竜巻が現れ、物凄い音とともに辺りの木々を巻き込んで真っ直ぐに進んでいく。
ガガガガガガッ!
そう時間をかけず、目の前の草木を根こそぎ巻き込んでダンジョンの壁に激突する。
『むっ。ここはなんだ? 結界内か?』
「邪神が作ったダンジョンだな」
しばらく轟音を鳴らしながらダンジョンの壁にぶつかっていたが、壁を破壊することなく竜巻は消滅した。
「チッ。壊せないか」
『お主…ダンジョンならば、ここを破壊などしたら空間の崩壊に巻き込まれて大変なことになるぞ…』
あー、そうか。この壁壊しても地上に繋がっているとは限らないしな。邪神が作ったんだし、別次元って可能性の方が高いか。
うん。壊れなくてよかったわ。
「んで? 合格か?」
『想像以上だ。人種でこれほどの力を持っているとはな…。喜んで契約しよう』
ほっとする。
これで契約に値しないとか言われたら本気で落ち込むところだった。
「よろしくな。どうやって契約するんだ?」
『我に名を。それが契約になる」
また名付けかよ。
風の精霊だし、女っぽいし、風子とかでいいだろうか?
風子…声のイメージに合わないな。
風…精霊…球…。
『まだかの』
「考えてんだよ。もう少し待て」
ジーッと風の球を見つめる。
丸いしなぁ…風月、風陽…。
「風月」
『フウゲツ…。風と月かの? うむ。気に入った」
その瞬間召喚時とは比べものにならないほどの光が溢れ、風月とパスが繋がった感覚がすると光が収まった。




