162 武器と魔石
最後の便箋に目を通す。
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このダンジョンもそうだけど、当初の予定よりも干渉し過ぎてかなり力を消費しちゃっているんだ。だからそこにいる間は自力で頑張ってね!
それじゃあ! 次会う時までに強くなっておいてねー。
by,親友ニヒリティより
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おいこら。誰が親友だ…!
「友達にすらなった記憶ないわっ」
それに力を消費してんなら余計な干渉やめろよ。ほっとけば勝手に成長するわ…ってそれじゃあ遅いのかもな。今回は素直に従っておいてやるが、次はないぞ。
直接文句を言うことができないことが腹立つ。次会ったら絶対殴る。
「はあ。とりあえずステータスだな」
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個体名【中野 誠】
種族【狸人(精霊種)】
職業【テイマーLv8(使役上限数♾)】
性別【男】
状態【 】
Lv【29】
・基礎スキル
【拳術Lv9】【防御術Lv3】【速読Lv2】
【造形Lv2】【料理Lv2】【毒耐性(大)Lv5】
【精神耐性(大)Lv5】【回避術Lv4】
【テイムLv8】【蹴術Lv7】【夜目Lv5】
【細胞活性Lv2】【回帰Lv3】【風球Lv6】
【雷球Lv6】【水球Lv4】【火球Lv6】
【土球Lv3】【棍術Lv2】【身体強化魔法Lv5】
【風刃Lv6】【跳躍Lv3】
【雷装Lv1】【魔装Lv1】【爆炎Lv5】
【痛覚軽減Lv1】【亜空庫(大)Lv1】new【魔圧Lv5】
【地操作Lv3】【硬化Lv2】【重力操作Lv3】
【火炎放射Lv2】【統率Lv1】【放電Lv3】
【竜巻Lv3】【紫紅爆Lv1】【念話Lv1】new
【全言語解析Lv1】new【水中呼吸Lv1】new
【不眠Lv1】new
【未設定】【未設定】new
・種族スキル:
【無特化】【変化】【魔力増大】
【制限無効】【浮遊】【精霊化】【精霊召喚】
【恩寵】
・特殊スキル
【ステータス鑑定】【ボーナス(特)】【テイム(特)】
【結界生成】【使い魔作成(特)】【拠点作成】
【リミッター】【邪纏】 【物質複製】new
【想像具現化】new
・称号
【適応する者】【魔物を屠る者】
【魔物に好かれる者】【守り手】【希望】
【不殺】【恐怖を産む者】【創造神の祝福】new
○パーティメンバー:0人(0/5)
○使役魔獣:469匹(469/∞)
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なんかなぁ…増えすぎて見難い。いちいち目で追うのすらめんどくさい。なんとかならないのか。
よし。次ニヒリティに会ったら、まずは殴るだろ? その後にステータスをもっと見やすくさせよう。
手紙にあったように【跳躍】の次くらいにあった【亜空間倉庫】が無くなって、【亜空庫(大)】にバージョンアップしている。
あの扉で出し入れするの気に入っていたんだけど…。
扉の中に入って何があるか直接目で確認できるのもいいよな。【亜空庫(小)】に入れた物を全て覚えてられるかと言われたら絶対に無理だし。
「【亜空庫(大)】」
口にすると、ふっと小さな扉が左の手のひらの上に現れた。
「どうしろと?」
空いている方の手の指で小さな取手を掴み扉を開ける。
「おお…。色々入ってる!」
じゃねーよ。小さすぎて見にくいわ! 俺が目で確認できるように扉が良いとか思ったせいか?
「腕入らねーし。どうやって出すんだよ」
左の手のひらを下に向けて振ってみても中の物は落ちてこないし、動いてすらいない。
「じゃあ…魔石を出してくれ」
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・魔狸の魔石(1)
・魔栗鼠の魔石(1)
・魔狼の魔石(1)
・大赤蛇の魔石(1)
・森狼の魔石(1)
・
・大赤蛇の魔石(2)
・森狼の魔石(2)
・
・トロールの魔石(3)
・幻狼の魔石(3)
・
・鷲獅子の魔石(4)
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お…おお!?
ステータス画面みたいにズラーーッと出たぞ!?
魔石は全て同じじゃないのか?
えーと、カッコはなんだろうか? 個数? いや、それはないか。もっとたくさんあるし。
なら、魔石のランク…? んー、森狼の魔石でも一と二があるから違うかもしれないが…。
「どうすりゃ良いんだ? 触れれば良いのか?」
魔狸のところをタッチする。
コツッ。カンッ。カカカカカンッ。
「おいこら…」
扉の前に一つの魔石が現れて地面に落ちたと思ったら、何十個もの魔石が現れ、足元に魔石の山ができた。
「扉から出てきてないじゃねぇか!」
扉の前…というより手のひらの正面にフッと現れたのだ。扉だと思っていた物は覗き窓としての役割しか無さそうだ。
「扉、邪魔なだけだろ!」
そう叫ぶと扉がフッと消えた。
「はあ…それより一つだけ出せないのか?」
今度は手のひらを上に向け、一つ取り出すと念じながら魔狼の魔石と書かれているところに触れると、ちゃんと手の上に魔石が出てきた。
「これでいいんだよ。余計な機能つけんなよ…」
それでなんだっけ。えーっと…。
ニヒリティからの手紙をもう一度読む。
「そうそう。武器くれたんだっけか? 武器を出してくれ」
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・無銘剣(鍛治神の祝福)
・無銘刀(鍛治神の祝福)
・無銘槍(鍛治神の祝福)
・無銘斧(鍛治神の祝福)
・無銘鉈(鍛治神の祝福)
・無銘棒(鍛治神の祝福)
・無銘盾(鍛治神の祝福)
・無銘短剣(鍛治神の祝福)
・無銘拳鍔(鍛治神の祝福)
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おお! たくさん入ってるな!
剣と刀、槍、斧。…………鉈に棒? 盾と短剣…ケンツバ?
鉈と棒は使い方次第では武器だけど…武器でいいのか? そんな物に祝福していいのか鍛治神。そしてケンツバってなんだ。
とりあえず短剣を出す。斧とかが魔石の様にたくさん出てきたら困るから、出来るだけ小さな物で。と思ったが、出てきた短剣は一本のみ。
黒い鞘に収まっているが、鞘にも柄にも特に意匠などはなく、柄も刃も漆黒のような黒だ。
盾、剣、刀、槍、斧と出してみたが、全て黒一色。
「まあ派手な色より黒一色の方がいいか。さて…次は鉈と棒だな」
現れたのは直径三十センチほどの鉈。まあ鉈って書いてあるしな。棒の方はそれなりの太さ…鉄パイプよりは細い? バットのグリップよりは太いかな? 握るのに丁度いい。長さは一メートルほどで、やっぱり光を反射しないような漆黒だ。
「これが一番使いやすいかもしれん…」
槍はもっと長くて振り回し難かったし、刀の使い方なんてわからないから、力任せに戦う俺が使えばすぐ折りそうだ。盾もそれなりの大きさだったから常に手に持って戦うには邪魔だな。鉈は…まあうん。
短剣は魔石を剥ぎ取る時用。戦闘で使うのは棒>剣>斧かな?
「最後に拳鍔だな」
そして手元に現れたのは指を通す穴が四つあるメリケンサックが二つ。
「ケンツバってメリケンサックのことなのか!?」
指に嵌めてみると物凄くしっくりきた。
「よし…拳鍔をメインウェポンにして、棒がサブウェポンだな」
剣とか刀を使って敵をバッタバッタと斬り倒してみたい…とは思うけど…。
誰か教えてくれる人がいればいいんだが、独学となると結局力任せに振るだけになるんだよな。なら棒と拳鍔の方がいい。というか使いやすい。しかも【拳術】のレベル九だし、棒はまた扱いが違うかもしれないが、【棍術】もあるからこの二つに決めた。
漆黒の拳鍔を両手に付け、漆黒の棒を持つ俺。
「どこの蛮族だろうか?」
他の武器は仕舞い、足元に落ちた魔石も仕舞ってからステータス画面の確認に戻る。
えーと、【未設定】が二つに増えているな。それと【念話】に【全言語解析】、【水中呼吸】、【不眠】か。基礎スキル以外は【物質複製】に【想像具現化】【創造神の祝福】だな。邪神の祝福とかいらないんだけど。
「あー、いや。邪神じゃなく創造神の祝福か」
詳細は確認するとして、欲しいスキルもないからといって設定していなかった【未設定】。
それに勝手に付与されたスキルだし、なんか怪しいとか思っていたんだが…今更だよな。【拠点作成】も使ってるし、めちゃくちゃ干渉されてるし。
それに以前は選べるスキルの名前だけを見て、微妙だと判断した記憶がある。詳細が見れないので名前で判断するしかないのだが…意外と使えるスキルがあるかもしれないよな。ということで設定しておこう。
そして選択肢を見てみると以前よりもいくつか増えていた。選択肢はどちらの【未設定】も同じだ。
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※基礎スキルを選択してください。適性のあるスキルを表示します。
・【直感】
・【探知】
・【遠目】
・【生活魔法】
・【水術】
・【槍術】
・【罠術】
・【変色】
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んー、【水術】と【変色】はどんなスキルか気になるな。詳細が出てこないので名前で判断するしかないが。
それと多少欲しいと思えるのは【探知】か【生活魔法】。この四つから決めようか。槍があるから【槍術】でもいいが…とりあえず槍は使うつもりないし、除外だな。
【水術】は水魔法みたいなものだろうか?
【変色】はクレナイの【体色変化】みたいなものか?
【探知】は魔物を探すのに使えるかもしれない。…というか鳩を探してた時にこれを取ればよかったな…。今更だが…。
【生活魔法】は…火を出したり水を出したりは他の魔法系スキルで補えるし、そこまで必要というわけではないよな。
じゃあ…【水術】と【変色】かな。【探知】も欲しいが…おそらく俺がその気になって、真面目に訓練すればすぐ取れるスキルだと思う。探知系のスキルは俺の魔物たちが結構持っているから覚えやすいはずだ。