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157 真実

説明回です。

神様が色々説明してくれます。


神様サイドも載せる予定です!

 


「君はそこに座ってね」


 そう言って指さすのは人間側にある唯一の空席。邪神は反対側の空席に座るのか歩いて行ってしまった。

 今更うだうだしても仕方ないし、大人しく座る。


「お待たせしたね! じゃあ始めようか! まず君らに【全言語解析】のスキルをあげるね。そうしないと会話にならないだろうから」


 これがなんなのか、ここにいる人は、邪神に似た靄のようなものはなんなのか。疑問だらけの集まりが始まった。 


「じゃあ自己紹介…はいらないみたいだね? 皆そんな怖い顔しないでよー。ちゃんと説明するからさ!」


「おい。やはり、お主のそう言う態度が良くないのではないか? そのような軽薄な態度は良くないと思うぞ」


 邪神の右隣にいた靄がそう苦言を呈する。


「ええー? 堅苦しいより良いと思うんだけど。ねー?」


 ねー? と言われても困るだろ。誰に言ってんのか分からんし。


「そんな話をする為に集まってもらったわけではありませんよ。我々も彼らも暇ではないのですから」


 今度は左にいた靄が邪神を嗜める。

 …個人的には、襲撃が終わったのなら暇だけどな。


「はいはーい。じゃあ人間の皆さん初めまして! 僕の声に聞き覚えはあるよね? さっき知らないって言われてちょっとショックだったんだけど…うん。あるみたいでよかった!」


 嫌味か。この野郎。


「質問とか文句は後にしてね。まず僕らのことを話すよ。僕らは神、邪神、超常の者、呼び方はなんでも良いけど、一応種族は神族だね。神族でも魔神だの獣神だのと違いはあるけれど、ここにいるのは全員神だ。それとこの世界の神じゃなく、この世界と隣り合っている異次元世界のだ」


 えっ。異世界あんの!? さっきの願い、異世界へ行ったり来たりできるスキルとかにすればよかったかな…。


「まあ信じられない人、納得する人、なんか見当違いの感想を抱く人、それぞれだね。それで何故、この世界の神でもない奴が、って思うだろうね」


 というか、この世界の神は?


「残念だけどこの世界の神は消えたよ。この世界は神が干渉しなくとも安定していたのもあって見守っていたんだけどね。安定と共に純粋な信仰も減ってきて力は全然なかった。だからか、次元に穴が空き始めた頃、その穴を塞ぐために力を使い果たしたみたいなんだ。それがなければ僕らがこちらの世界の危機に気づくことも、被害を抑えることもできなかったかもしれない」


 ほほお。地球にも神がいたんだな。てか被害を抑える?


「他にもこんな世界にした理由、たくさんの人を死に追いやった理由、魔物を作った理由、皆、色々聞きたいことがあるみたいだけど、とりあえず僕の話を聞いてほしい」


 周りの人たちを見ると皆険しい顔をしている。神たちに怒っているのだろうか?


「まず、知っての通り、僕らが世界を変革させた。これはどうしようもなかった。変革させなければこの世界はもっと酷いことになっていたから」


 どういうことだ? まあ変革に関しては、クー太たちと会えたし、個人的にはあまり文句はないけどね。


「僕らの世界、こちらから見ると異次元世界…マギアというんだけど、マギアの創造神が暴走したんだ。そのせいで世界は歪み、こちらに次元の穴が空いた。それもかなり昔のことだけどね。今までは僕らがその穴を塞いでいたんだけど、他に問題が起きた。僕らが気づかなかった穴を利用して悪魔、魔族、呼び方はなんでも良いけど、負の属性を持つ超常の物が現れた。それに対抗する様に人間側が勇者召喚なんていう魔法を使ったんだ」


 なんだそりゃ? 勇者召喚って…ファンタジーだなあ。


「勇者召喚…正確には超遠距離無作為召喚術式とでも言えばいいかな? 特定の生き物を召喚するのではないし、国や世界を救済できるほどの凄い力を持った存在なんてたくさんいるわけでもないし、逆にそれほどの力を持った存在には召喚魔法なんてレジストされるしね。

 それに僕ら神が次元に穴を空けたような人間に能力を与えることもない。なのに能力を持たない人が召喚されると、失敗だなんだと言ってまた召喚魔法を使う。まあつまり創造神がきっかけだけど、魔族や人間が次元にポンポンと穴を空けてくれたおかげで、僕らの手が回らなくなったんだ」


 へえ。本当にそういう世界があったんだな。まあ魔物がいる時点で異世界がありますよって言われても大して驚きはないが。


「その結果、こちらの世界にも影響が出始めたんだ。この世界は魔力が薄く、あちらの世界の魔素や魔力が入って来やすかったんだ」


 地球は魔力が薄いから、魔力が入ってきやすい? 


「水で満たされたコップには水は入らないだろう? 注いでも注いだ端から溢れるだけ。地球は空っぽのコップのようなものだね。あちらの魔力がどんどん流入する」


 …わかりにくい。


「まあつまり、放置していたらこの世界は、あちらの魔力や魔素で満たされ、あちらの魔物や悪魔が生きやすい環境になってしまう。そうなるとあちらにいる力を持った魔物や魔族たちがやって来やすくなって蹂躙されていただろうね」


 生きやすいとかあるのか。人間が他の宇宙では呼吸ができないようなもんか? 酸素濃度の違いとか…? それとは違うか。まあ生きやすい生きにくいとかがある程度って認識でいいか。


「……だから、この世界に魔素を僕らの手で充満させたんだ。死んだ人や人外に変わった人には申し訳ないと思う。けど、僕らがやらなかったらもっと急速に魔力が充満して、こうやって適応できた君らですら死ぬか人外…魔物に変わっていただろう。だから許せとは言わないけど、理由があったことは知っておいて欲しい」


 へえ。邪神かと思ったら善神だった?


「それぞれ、担当の神から説明があったと思うけど、魔素や魔力に適応できず人外になった人は、戻せない。戻したところで、適応できないのなら同じことがまた起こるから。そんな人たちに唯一出来るのは、変質したり、弱くなった魂を元に戻して意思を取り戻してあげることだけ。もちろん制約はあるから全員とはいかないけどね」


 ふぅん。ゴブリンやオークが人の感情を取り戻したら農作業が捗りそうだな。いや、人間としての意識を取り戻したら使役魔獣としての扱いに暴動とか起こるか?


「次は君らを呼んだ理由だけど、君らはこの地球で早々に適応でき、善悪を分けるとしたら、善性な人間で、強い人間だ。人殺しや目を覆うようなことを好き好んでやるような人で強い人はいるが、そういう人間は除いて世界でトップ十の強さを持つ人間が君らだ」


 おお! 俺そんな凄いのか! 世界で十番になれるとか強運だな。酔っ払って乗り過ごした自分を褒めてやりたい。そしてクー太に出会えたことに感謝だな。


「そして君らには協力をお願いしたい。生きている人間を纏め、生存率を上げ、これからも魔物を倒してレベルを上げる。そして今後やって来るであろう魔族や異次元世界の魔物を倒して欲しい。僕らの本体はあちらの世界のことで手一杯であまり手伝えない。これだけ次元に穴が空いてしまっている現状、魔族に蹂躙され草木や生物が死に絶えたら、世界は滅ぶ。片方の世界が滅んだらもう片方も」


 さすがにそれは困るな。


「魔族たちの世界も滅ぶはずだけど…彼らはどちらかと言えば僕ら神に近い生命体だからね。僕ら神のように制約を定めていないなら、いくらでもやりようはあるから、二つの世界の生命力を奪うことしか考えてないんだ」


 悪魔、魔族ねぇ。ピンと来ないが、テイムできるだろうか?


「…ぶふっ!」


「おい。真面目に話してると思えば突然なんだ」


「本当ね。まあ、理由はわかるけど」


 邪神が突然吹き出し、肩を震わせる、笑っているのか? 他の神も口々に文句を言う。

 あの邪神がリーダーみたいな立ち位置で大丈夫だろうか?


「君のせいだからね!? 他の人たちは真面目に話を聞いて、内心怒っている人もいるし、協力しようと思ってくれる人もいるのに! 君だけが的外れな感想を言うから…!」


 誰だ? こいつら目がないからどこ見て言ってんのかわからないんだよな。体の向きくらい変えて欲しい。靄みたいな魔物をテイムしたらお面でも付けさせた方がいいな。


「ふははっ! マコト君、君だよ君!」


 は? 俺? …俺そんな的外れなこと考えたか?

 いや、テイムのこと考えてたからか?

 その後も肩を震わせる邪神。良いから話始めろよ。こちとら早くテイムしに戻りたいし、【物質複製】で菓子パンと酒をたくさん複製して宴会したいんだから。


「ひふっ…はぁ…。皆ごめんね。君ら全員、それぞれ個性が強かったりマイペースだったりするけど、真面目な話してるのに、ここまでどうでも良さそうにしている彼が面白くてさ」


 世界がどうだとか異次元世界がどうだとか言われても実感が湧かないのだし仕方ないだろう。それに人間を纏めるなんて嫌だし、後はレベル上げしろって、つまりいつも通り生活してれば良いだけだろ? おかしなことじゃないだろうが。


「うんうん。君はそれで良いよ。それでこそ君だから」



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