閑話 クー太5
連続投稿十三本目ですー。
とりあえず今回でクー太終了です!
もっと書きたいのですが、それはまた今度…。連続投稿できてるうちにまたクー太の閑話も載せたいと思います!
『待ってなのですー!』
『『『あ』』』
アキのこと忘れてた。少し後ろから追いかけてくるアキを待つ。
『はあ…はあ…。追いついたです』
『何してるのよ。これくらいついて来れるでしょう?』
『充分速いです! 置いてかれたら迷子になるのです……それに木の実を取ってる時間がないです…』
アキ…まさか寄り道してたの? 木の実を取りに?
『次寄り道したら置いてくわよ!』
『ええー!? ひ、ひどいのです…ランから誘ってくれたのに…わたしが迷子になってもきっと誰も探してくれないのです…』
あ、ネガティブアキだ。久々に見た気がするー。
『アキー』
『クー太さん? なんです?』
『二つ言いたいことがあるのー』
『な、なんです?』
『クー太! アキに言ってやって!』
ランが思ってることじゃないと思うけど…。、
『ボク達全速力じゃないんだから寄り道してもすぐ追いつけるくらい本気だしてー。もっと速く動けるでしょー』
『でも疲れるです…』
『アキ? ご主人さまにサボってたって報告しちゃうよー?』
『ひぅ!? そ、それってもしかして怒られるです…?』
『きっとすっごく怒るよー。一週間木の実禁止とかになるかもー』
絶対にないけどねー。アキがサボってたって言っても、「アキだしな」としか言わないと思うー。
『そ、それは…! 拷問なのです…! お、恐ろしいのです…』
『じゃあ頑張ってくれるー?』
『が、頑張るのです!』
ふふっ。アキ可愛いなー! 面白いなー! クレナイが文句言いながら構う理由がよくわかるよねー。
『もう一つだけど…』
『ごくり…』
目を見開いて何を言われるのかビクビクしながら待ってるアキおもしろーい! ご主人様が揶揄いたくなるのがよくわかるよねー。
『ボク達のことさん付けやめないー?』
『え…?』
ずっと気になってたんだよねー。
『人間さんって仲良い人たちは呼び捨てにしたりするでしょー? 僕たちもルリルリのこと愛称? ってやつで呼んでるしー。だから呼び捨てにしよー』
『え、え?』
目を白黒させるアキ。そんな意外なこと言ったかなー?
『ハクとクレナイにも言ったことあるんだー。ハクもクレナイも全く変えてくれないけど…』
『あ。私、いつもランさんって言われるけど、ランちゃんって言われたことあるわ!』
『私も…結構呼ばれる…かも? フェリちゃんって…』
『えー? ボクのことはクー太さんなんだけどー?』
帰ったらハクに抗議だー! クレナイにも!
『クー太…君?』
アキはなんでそんな恐る恐る言うんだろー?
『クー太でいいんだよー?』
『私のこともランでいいわよ。というか私たちの間に上下関係ないんだからそんな気にすることないわよ』
『…その通り』
『うぅ…わかったのです…。ランちゃん、フェリちゃん、クー太君って呼ぶです。でも…ハクさんは…ハクちゃん? クレナイさんはクレナイ君?』
凄く悩んでる…。そんな悩むことないのにねー。
『…はっ!? クレナイ君なんて呼んだらお仕置きされるです! クレナイさんはクレナイさんなのです! ハクさんもハクさんです! 他の仲間には君とかちゃんで呼べそうです』
『なんか新鮮ね』
うんうんとボクとフェリが頷く。
『じゃあ…ご主人のことはマコト君…?』
『『『は?』』』
『ひゃっ!? な、なんでそんな怒るです!?』
『ご主人様はご主人様なのー。アキだけ名前呼びなんてしたら皆に袋叩きされるよー?』
『そうよ』
『……でも呼んでみたいかも…?』
『『え?』』
ボクとランがアキに注意していたらフェリがご主人様のことを名前で呼びたいと言い始めた…。駄目だよ! ご主人様はご主人様なのー!
『ご主人様ってなんて呼ばれてもきっと気にしない…はず。呼んでいいか聞いてみればいい…。私たちだけ…ご主人様から主力メンバーって言われる仲間だけだけ特別に名前で呼んでいい…とか…』
特別!? マコト…マコトさん? マコト君? マコト様? うーん…呼んでみたいって思ったけど想像できないや…。やっぱりご主人様はご主人様ー。
『想像してみたけどやっぱりご主人様はご主人様だわ。特別な呼び方とか私たちだけっていうのは魅力的だけど…』
ランもボクと同じみたいー。
『…そうかも』
フェリの提案は無かったことにした。アキにも忘れるように念押ししておいた。そうじゃないとアキなら名前で呼びそうだし…。
『そろそろ行くわよ! いつまでもここで話してたら陽が暮れちゃうわ』
別に急いでるわけじゃないから気にすることないと思うけどねー。
オーガの元村にたどり着くと、そこには緑色の…ゴミさん…なんか違う。ゴ…ブ?
『ゴブさんだっけー?』
『ゴブリンよ。ご主人様が倒しても旨味がないって言ってたわ』
『…弱いし』
『でも、強そうな顔してるです』
おしいー! ゴブリンさんだった! でもゴブさんでいいやー。
フェリの言う通り弱いんだよねー。アキの感想はよく分からないけどー。
たくさんいるから早い者勝ちってことにして襲う。今日のルールはボクらより弱い魔物相手には、ボクとランは巨大化、フェリは霊体化をしないことにしている。移動中アキが全然戦闘に参加できなかったのと、ランが訓練にならない! って怒ったのが理由ー。
といってもあんまり変わらないんだけどねー。爪を振るうどころか、ぶつかっただけで死んじゃうから。
ゴブさんが集まってる中心に飛び込み、尻尾を振る。それだけで突撃してくるゴブさんは吹き飛んでいく。正面から来るゴブさんはペシッてする。ぺちっ? ぺいっ? とにかくあんまり力をいれなくても倒せちゃう。
目の前のゴブさんをぺいっ! ってするとアキが見えた。
な、なにしてるんだろ…。
ベチャッ。
『あっ』
アキの行動に気を取られてゴブさんを潰しちゃった。ごめんね?
アキはこちらの方に背を向けて、お尻を突き出し、ボリュームのある尻尾をふりふりしていた。その尻尾にゴブさんたちは群がって弾き飛ばされていく。
なんか尻尾の動かし方が挑発されてるみたいでむかつくー。可愛いとも思うけどー。
それにしてもなんでアキの尻尾にだけ群がってるんだろー? ボクの周りにいたゴブさんを倒し終えた。ランもフェリも終わったみたいで立ってるゴブさんはアキに群がっているのだけ。
違う…ボクらの周りのゴブさん以外はアキに群がってるからボクらの周りにいなくなっちゃったんだ。
『ねぇ。何あれ?』
『見たこと…ない』
隣に来たランとフェリが不思議そうに首を傾げる。ボクも首を傾げてるんだから知らないに決まってるでしょーもー。
『アキってなんで戦闘を避けるのかしらね? 尻尾だけで何十匹ものゴブリンを倒せるくらいは強いのに』
ランの言う通り、本当不思議だよねー?
ゴブさんを倒し終わったアキがこちらにやってきた。
『お待たせなのです!』
『アキさっきは何してたの? 尻尾ふりふり、お尻ふりふりして』
『【挑発】なのです! そういうスキルを持ってるので練習した結果、あれが一番挑発できるっぽいです』
挑発…。挑発されてゴブさんたちはアキの尻尾に集まってたってことー?
『それより尻尾が汚れてないか見てほしいです。汚れてご主人とメイさんとミミさん。あとルリルリがもふもふしてくれなくなったら嫌です』
『『『ルリルリ!?』』』
『え!?』
『なんでアキもルリルリって呼んでるのよ!?』
『ええー!? さっきクー太君がルリルリって言ってたです。ルリさんのことじゃないです?』
『ルリルリはルリだけど…』
ランが凄く動揺してる! ボクもだけど!
『わたしが皆のことを愛称で呼ぶって話で…皆がルリさんのことルリルリって呼んでるならそう呼んだ方がいいのかなって…思ったり、思わなかったり? です』
あー…。ボク達が呼んでたらからかー。それなら仕方ない…かも? 呼び捨てとか愛称で呼ぼうって話したし…。
『そういうことね…。まあいいわ。アキがルリルリなんて呼ぶとは思わなかったからびっくりしちゃっただけだし』
『うん…。凄くびっくりした…』
ランもフェリもやっぱりびっくりしたらしい。
『えとえと…それで尻尾は…大丈夫です…?』
『大丈夫だよー。汚れてたらルリルリに綺麗にして貰えばいいよー。それかメイメイでもミミミミでもー』
喜んでやってくれそうだよー。
『メイメイ? ミミミミ? メイさんとミミさんの愛称ってやつです? わたしもそう呼ぶです!』
アキもミミミミって呼ぶみたい。皆、アキが愛称で呼んだら驚くだろうなー。ちょっと楽しみ。
『待ちなさい! ミミミミは変よ!』
『…言いにくい』
『えー? でも仲間はずれみたいで可哀想だよー?』
それにランとフェリが呼ばなきゃいいだけだと思うー。
『うっ…確かに。…じゃあ私もミミミミって呼ぶわ!』
『え…? ランも…? じゃあ…私も…』
なんだー。ランもフェリも呼ぶんじゃんー。
『あっ! それならご主人のお父さんはどうするです? お父さんだけ仲間はずれです』
はっ!? アキの言う通りお父さんだけ仲間はずれになる…!?
『お父さんの名前ってなんだったかしら?』
『えーと…せい…じ…?』
ランもフェリも曖昧なんだねー。確かに皆お父さんとしか呼んでないもんねー。
『セイジで合ってるはずだよー』
『じゃあセイセイって呼ぶです!』
セイセイー? 悪くないかもー。
そんなこんなで、今回は一泊して帰った。一晩経ったら、ご主人様が帰ってきてるかもって皆気になって仕方なかったから帰ることになっちゃった。
当初の予定だとひたすら狩りをするって話だったのに、お喋りしてることの方が多かったかもしれないなー。
でも楽しかった! 次は三日くらいかけて遠出しよーってなったし、楽しみー!




