閑話 クー太4
連続投稿十二本目ですー。
もう少しクー太視点続きます(^◇^;)
「それでどうする? 食べてみるかしら?」
『んー? あけてー』
「わかったわ」
ルリルリが開けてくれた缶詰は美味しそうな匂いがした。
でも…ご主人様がくれた缶詰の方がおいしそーな匂いがする。
ぺろっと舐めてみる。味が薄い…? でも美味しいー。
『美味しいし、食べられるー! ラックも食べる?』
「じゃあ一口もらうの!」
「あっ。ラックちゃんは…」
ルリルリがラックを止めようとする。
「『駄目なの?』」
「いえ…駄目ではないわ」
なんかあるのかな?
「そうよね。ラックちゃん人間じゃなかったものね…。多分、人間でも食べて問題ないでしょうし…私たちも食糧が少なくなったらこういうの食べなきゃだものね」
ルリルリが小声で呟く。つまり人間用じゃないなら止めたの? でも美味しいよ?
「ちょっと匂いが強いのに、味はそんな薄めなの。でも不味くはないの!」
「そう…ならよかったわ。今度私がお菓子作ってあげましょうか?」
『ルリルリ作れるのー!?』
「作れるわよ」
お菓子! お菓子…? 菓子パンと違う…?
『前にね、ご主人様が作ってくれるって言ってたけど、まだ作ってくれないのー。菓子パンはくれるけどー』
「確かに言ってたの!」
ラックも覚えてた。多分フェリが一番楽しみにしてる。ご主人様がくれる菓子パンも美味しいけど、ご主人様が作ってくれるの楽しみにしてるのー。
「あの子…多分忘れてるわね。戻ってきたら催促しなきゃ駄目よ? 私からも言っておいてあげるから」
「『わかったー(の!)』」
ルリルリもお菓子を作ってくれるみたいだから帰ったら楽しみにしてるーって言うと、明日ねって言われちゃった。今日食べたかったなー。
日が暮れ始めるまで走り回って物資を集めた。ラックのスキルで収納できない物はボクの体に括り付けられて少し動きにくい。けど「これから寒くなるから必要なのよ」って言われたから納得しておく。
人間さんは毛が薄いからねー。
「そろそろ帰りましょうか。私は夜目があまり効かないからクーちゃんとラックちゃんお願いね」
『はーい!』
「任せるの! 敵が来たら魔法をぶっ放すの!」
ここに来るまでも出来るだけ魔物を避けて移動してきたけど、それなりに出会ったから暗くなったらもっと出てきそうだもんねー。
その後、人間と出会うことも、ルリルリが怪我することもなく戻ってきた。
夜はルリルリがペットフードって言ってた缶詰を皆で食べることにした! ワンちゃん用とネコちゃん用って言ってたのは本当みたい。ケンタとその部下。イチロウたちとその部下。あとアメリが物すごく気に入ってた。
ハクは少し顔を顰めてたから口に合わなかったんだと思うー。アキも「歯応えないです。水っぽいのです…」って言って残りをアメリにあげていた。
それからまた何日も経った。狩りをして、戦闘訓練して、建物建てるお手伝いして、街へのお使いの護衛して、また狩りをして。たまに、戻ってきた巨大鳥さんと戦った。
やっぱり巨大鳥さんは強くて楽しい! お互い怪我をしないように力は抜いてるけど、周りの木々が飛んだり、倒れたり、燃えたりしちゃうから、クレナイとハクが見ているとこでしか戦っちゃ駄目って言われちゃったけど…。
『クー太! たまには遠出しない?』
ある日ランにそう誘われた。確かにご主人様がいない間、拠点を護らなきゃいけないからあまり遠くにはいかなかった。
『でもここを護らないとー』
『でも今まで何もなかったじゃない。ハクとクレナイに聞いたら、私たちが出かけるならその間はずっと拠点に居てくれるって!』
今まで交代で狩りに出掛けてたけど…任せっきりにしていいのかなー?
『ほら! 思い立ったらなんとか! ってご主人様も言ってたじゃない! 早速行きましょ!』
『わかったよー…。ボクとランだけー?』
『後はフェリも行くって言ってたわ! 私たちの全力についてこれるのってハクとクレナイ、フェリだけだし』
『クロとラック…後はアキはー? 攻撃手段は少ないけど身体能力はたかいよー?』
『アキを誘うって考えがなかったわ…。あの子あんまり好んで戦闘しないじゃない? でも声かけてみるわ。 それと、クロは戦い方が違うし基本的にルリルリの護衛でしょ? ラックは魔法を使えば強いし、飛べば速いけど、長時間は厳しいでしょ?』
『確かに…あれ? ランもルリルリって呼んでるの?』
『そうよ! あんたたちだけずるいじゃない。ルリとかルリさんよりルリルリの方が仲良さそうだわ!』
いつのまに…。
『じゃあフェリと合流して、ルリルリに出掛けることを言ってこよー』
『ルリルリにはもう言ったわ。さて行きましょ! まずはアキのところね! フェリももう待ってるんだから早くしないと』
ええー…。
『ほら! 行くわよ』
なんとなく納得いかないけどランについて行き、アキのところに行く。
『『アキ!』』
『ひゃう!? あっ…クー太さんにランさん。どうしたです? 驚かさないでほしいのです。木の実を落としてしまったです!』
アキ…。
『あんたちょっと鈍ってない? 私たちが近づいてきたのに気づかないとか…。これはもう強制ね! 狩りに行くわよ!』
『ええー!? そろそろお昼寝しようかと思ってたです…』
木の実を大事そうに抱えながら嫌そうにするアキ。そんなに木の実美味しいのかなー? 全然美味しそうじゃないけどなー。
『良いから行くわよ!』
『引っ張らないでほしいのです! ちゃんと行くのです!』
嫌々な感じはするけど顔は笑っているから嬉しいんだよねー? アキって文句言うけど構ってもらえて嬉しそうだよねー。
フェリと合流した後は森を駆ける。とりあえずシドーがいたオーガの村を目標にしてるみたいー。前はたくさん仲間がいたからゆっくり移動したけど、ボク達だけならそう時間はかからない。
『クー太…なんか久しぶり』
四匹で走っているとフェリが近寄ってきた。
『んー? そういえば最近会ってなかった気がするー』
『クー太はほら…ルリルリのとこにいるから…。私は他のところにいることが多いから…』
そういえばーそうかもー?
『あっ! フェリもルリルリって呼んでるー!?』
『…? 皆ルリルリ呼んでるよ…?』
みんな…? いいもーん。ボクの方がルリルリと仲良いもんっ!
『ルリルリのこと好き…?』
『もちろん! 人間さんだとご主人様の次に好きー。その次はメイかなー? お父さん…セイジさんはあんまりお話してくれないからなあー。撫でてくれるのは嬉しいけど、あんまり気持ちよくないしー』
『あー…わかるわ。ご主人様のお父さん優しいんだけど、撫でるの下手よね』
『…確かに。抱っこも下手』
フェリは抱っこしてもらったことあるんだー? ボクはないなー?
『でも…ルリルリとか…メイメイとか…』
『『メイメイ…?』』
『…? メイメイ』
『なんでメイメイなのー?』
メイメイも悪くないけどー。フェリが首を傾げる。特に意味はないのかなー?
『んーと…。ルリルリがルリルリだから…メイメイもメイメイ…?』
『じゃあミミはー? ミミミミー?』
『クー太。それは言いにくいわ』
ランの言う通りちょっと言いにくかった…。でもミミミミって可愛いよねー? 今度呼んでみよーっと!




