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閑話 クー太3

連続投稿十一本目です!


クー太視点3話目です。

 

 無言で移動し続け、初めに沈黙を破ったのはランだった。


『……仕方ないじゃない。ずっと一緒だと思ってたもの。私とあんた。ハクにクレナイ、アキ、クロ、ラック、フェリの八匹は…あとまあ一緒にいることは多くないけどグレイもね。ご主人様にとって特別で…これからもなにするにも一緒だって…ぐすっ』


 …うん。ボクもそう思ってたよ。ボクたちはどこにでもついて行けて、連れて行ってもらえるって。別行動しても感知できる距離以上離れるなんて滅多になかったし…。


 珍しく泣いているランに、言い過ぎたかな? って思って謝る。


『言い過ぎた…ごめん…』


『別にいいわ。…私もごめん』


 その後は会話する気にならず無言で狩りを続けて、日が暮れる前に帰った。


 翌日。ご主人様がいなくなって七日目。その日は何もやる気が起きなくてダラダラしたり、リーフの上でお昼寝して過ごしていた。


 《やあ! 聞こえるかい?》


 ガバッ!


『!? クー太突然動かないでよ!』


 寝転がるリーフの上で寝転がっていたら突如声が聞こえてきて起き上がったら怒られた。


『ごめん…じゃなくて神ってやつ! ご主人様戻ってくる!?』


『え? 私聞こえないよ…?』


 《力の節約ってことで、今回はご家族と同居人、【制限解除】を持っている子とガルーダにしか話しかけていないよ》


『リーフ。なんかねー、【制限解除】ってスキル持ってないと聞こえないみたいー』


『そっか…。後で教えてね』


『わかったー』


 《まずは、マコト君はもうしばらくは戻らない》


 まだ戻ってこないんだ…。


 《それでだ。ちょっと遅くなっちゃったけど!マコト君のお母さん。瑠璃さんにマコト君の共有者になってもらうからマコト君がいない間魔物たちのことよろしくね》


 その瞬間お母さんとのパスが繋がったのがわかった。


 《それとこれをクレナイ君に》


 クレナイに? 何か貰ったのかな?


 《マコト君を借りてるのはこちらだからね。そのお詫び…ってわけでもないけど、クレナイ君に渡したアイテムは一度だけ使えるアイテムだよ。それを使ったら僕に繋がる。緊急時にでも使ってね。そしたら助けになれると思うから》


 ふーん? 


 《マコト君が戻るまでは出来るだけそちらの状況を気にするようにはしておくけど、もっと強くなってね。君らが戦えば戦うほどマコト君は強くなって、その分早く戻れるから。それでも誰も死なないでね? そんなことになったら僕がマコト君に殺されそうだから。じゃあまたね!》


 ふふふっと笑う神さん。なんで笑ってるんだろー?ご主人様に殺されたいのかな? でもご主人様を悲しませたくないから誰も死なないよ。ボクが…ボクたちが絶対に守るんだから。


 神さんが言っていたことをリーフに伝えると、ふーんって言われた。何がしたいのかよくわからないよねー。アイテムとかどうでもいいから早くご主人様を返してほしいよ…。


『とにかくボクたちのやることは強くなること。それはいつも通りだよねー』


 訓練や狩り以外のこともするようになったけど、別にサボっているわけではない。ご主人様とだらだらする時間がなくなった分を充ててるだけ。


 その後、クレナイを探して移動する。


『あっ。クレナイー! 何もらったのー』


 どうでもいいって思ったけど、やっぱり気になった。


「クー太殿。これです」


『ご主人様!?』


 クレナイの手の上にはご主人様の姿をした石があった。


「この石が手元に来た時に使い方はなんとなくわかりました。魔力を込めればいいだけらしいですね。ですが…あまり使いたくありません。ご主人様を連れて行った者に渡された物など。裏があるかもしれませんし」


『確かにー。ならお部屋に飾っておこー! ご主人様の石像!』


「ふむ…。そうですね。あんな得体の知れない者を呼ぶ気はないですし、私が持っていて戦闘中に壊してしまう可能性を考えると持ち歩かない方がいいですね。あとで飾っておきます」


 それから更に数日が経った。毎朝皆でご主人様の石像に挨拶をしている。神さんがくれたものだけど、本当にご主人様そっくりだから、本物のご主人様に繋がってるかなーなんて思って毎日挨拶をしている。


 未だご主人様は戻って来ず、巨大鳥さんはすぐまた来ると言って帰っていっちゃった。巨大鳥さんも仲間がいるから仕方ないよね。ここはボクたちが絶対護るから大丈夫だよー!


 今日はご主人様のお母さん…(ルリと呼んでって言われたからルリさんって呼ぶことにした)ルリさんと街にお出かけ。


 ルリさんはパスが繋がっているのもあるけど、ご主人様と似てるから側にいると落ち着く。それは他の皆も一緒みたいでルリさんのところに行くと誰かしら一緒にいる。護衛の意味もあるけどねー。


 街までの護衛はボクとラック。ラックは荷物をたくさん入れられるスキルがあるから。ボクはラックとルリさんを背中に乗せていく係。


「ルリルリ聞きたいことがあるの」


「ラックちゃんなあに?」


 ラックはルリさんのことルリルリって呼んでる。なんで二回も繰り返すんだろー? 


『ねえねえー。ラックはなんでルリルリって呼ぶのー?』


「可愛いからなの!」


 ルリルリ…ルリさん…ルリルリ? ルリルリルリルリ…。


「クー太ちゃんもルリルリって呼んでいいわよ? というか好きに呼んでほしいわ」


『わかったー。ボクもルリルリって呼ぶー』


 ルリルリールリルリー! 本当だー。なんか可愛いー。


「それでラックちゃん。聞きたいことって?」


「うん。人間に会ったらどうすればいいの?」


『あ、確かに! 殺さない方がいいー?』


 ご主人様は人間は殺そうとしない。人間に似てるやつらも殺したくなさそうにしてるし…どうすればいいのかなー? いつも通り避ければいいー?


「あんまり遭遇したくはないわね…。極力避けるようにして? 会ってしまったら無視ね。何かされたら攻撃していいわ。ただし出来るだけ殺さないようにね?」


「わかったの! クー太君任せたの! ワタシじゃわからないの」


『任せてー!』


 森を抜け街に向かう。「こっちは前に行ったから今度はあっちね」とルリルリの先導で移動する。


「人の気配はあるかしら?」


 しばらくするとルリルリにそう聞かれた。


『人間の気配? ないよー?』


「まったくないのかしら?」


『まったくなーい!』


「どこに行ったのかしらね…」


『ルリルリ? 人間探すー?』


「そうねぇ…いえ、いいわ。物資を集めるのを優先しましょ」


『わかったー』


 いろんな建物で止まって、ルリルリとラックが用途がわからない物をたくさん集める。何に使うんだろー? 人間さんが色んな物を使うのは知ってる。何に使うかはわからないけど。だってご主人様は他の人間さんが使うような物なんて滅多に使わないから。


『ここにも菓子パンないー?』


 だからルリルリたちが集める物には興味ない。けど、菓子パンは欲しいー。建物に入るたびに小さくなってついて行くけど未だに菓子パンはない…。


「ないわね…。もうだいぶ時間が経っているから食べられる状態の物はあんまりないし、あっても他の人が取って行っているんじゃないかしら?」


 むー。ご主人様はまだ持ってたはずだから早く戻ってきてほしいなぁー。


「ドックフードは食べる?」


 コレ。と言ってルリルリが見せてきた物。

 前にご主人様に食べさせてもらったことがあるけど…。


『それは美味しくないー』


「じゃあこれは?」


 缶詰?


『その缶詰は食べたことないー』


 ご主人様がくれたのは焼き鳥?とか蒲焼き?ってやつ。ルリルリが見せてきたのはそれとは絵柄が違うやつー。


「これもワンちゃん用なのだけど…」


『ボク、ワンちゃんじゃないよー? ケンタ用のはあるのにボクとランの専用のはないのー?』


「そうねぇ…狸用って見たことないわ。ごめんね?」


 残念…。



クー太視点もう1話続きますm(_ _)m

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